ヒールを美しい姿勢で履きこなしたいけれども、膝(ひざ)が出る、腰が曲がる、あげくに猫背になり、靴が悪いのか自分の歩き方が悪いのか分からないことがあります。足と靴専門の理学療法士で、馬喰快歩堂(ばくろかいほどう。東京都中央区)所長の三浦賢一さんは、「靴と歩き方、どちらにも問題があります。まず、安定性の高いヒールを選ぶことが重要です」と言います。詳しく聞いてみました。

取材協力・監修

三浦賢一氏


理学療法士。足のケアと靴の製作の馬喰快歩堂所長。シューカスタム研究会主任研究員。一般社団法人日本ソーシャルウォーク協会理事。


馬喰快歩堂: 東京都中央区日本橋横山5-18中村横山ビル1F

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■数歩で足首がぐらつく靴はNG

筆者はヒールを購入するとき、慎重に試し履きをします。それでもいざ街を歩くと、思いのほか歩きにくいことがあります。試し履きで自分に合う靴を見抜くコツはあるのでしょうか。三浦さんはこう説明します。


「まず、試し履きのときに少し歩くだけで足首がぐらつく靴は、足に合っていないので、例えデザインで気に入ったとしてもあきらめましょう。足を長く見せたい、すらりと美しい立ち姿を目的にヒールを選ぶのなら、靴の構造として安定性が高いタイプを選んでください。


足首が不安定になる靴は、歩くときにそれを足や体でかばうことになり、姿勢が悪くなります」


では次に、安定性の高いヒールのタイプを三浦さんに教えてもらいましょう。



(1)チャンキーヒール

「ずんぐりしたかかと」という意味で、ヒールが太めのタイプの総称です。細めのヒールに比べ、履いたときの安定性は高くなります。また、ストラップがついているタイプを選ぶと、靴と足がホールドされるので足元がより安定するでしょう。


(2)インセットヒール

ヒールの中心がかかとの真下にセットされ、履いたときの重心位置が後ろよりになるタイプです。ヒールは太め、細めとさまざまな形状がありますが、太めを選ぶと安定感が増して歩きやすさを実感するでしょう。ただし、土踏まずに力が加わるため疲れやすく、長時間の歩行には向きません。


(3)ウェッジソール

靴底にくぼみがなく厚みがあり、かかと部分が高くてつま先に向かって低くなるタイプです。接地面積が大きいので足首が安定しやすくなります。靴底がドアストッパーに使う楔(くさび。ウエッジ)に似ていることから、ウェッジ(楔型)ソールと呼びます。


(4)プラットフォーム

靴底全体にほぼ均等な厚みがあるタイプです。「プラットフォーム」とは、周辺よりも高くなった水平な場所という意味合いで、駅や舞台で使う言葉に由来しています。このタイプも接地面積が大きく安定性が高いですが、高さが2センチメートルを超えるとつまずきやすくなります。


なお、このごろ一般に、「プラットフォーム・シューズ」と言えば、(5)で紹介する土踏まずが空いているタイプを呼ぶことが多いのですが、本来はプラットフォーム・ヒールとはこちらのタイプを指します。


(5)前底厚プラットフォーム

土踏まずより前の部分の靴底にストームと呼ぶ厚みがあり、かかとのヒールは細め、太めとさまざまなタイプがあります。ストームが3センチメートルでヒールが8センチメートルの場合、靴の中で足は5センチメートルのヒールを履いているのと変わらない状態になります。見た目の高さよりも歩きやすい特徴があります。ストラップが付いているタイプは安定性が高まります。

■つま先立ちを毎日実践し、試し履き時に姿勢チェックを

安定性の高いヒールを選ぶポイントが分かりました。続いて三浦さんは、これらのヒールを履いて姿勢よく歩くために次のアドバイスを加えます。


「背筋を伸ばして歩くにはまず、つま先で踏み出す力、ふんばる力が重要です。それには日ごろから、『つま先立ちをして5~10秒キープを1日に3~5回ほど行うエクササイズ』を実践してください。階段など段差がある場所で、つま先立ちとかかとダウンを同様にくり返すのも有用です。


継続するとつま先からふくらはぎまでの筋肉が強くなり、足元が安定する、また、足の筋肉が引き締まってくるメリットがあります」


さらに姿勢よく歩くコツについて、三浦さんはこう話します。


「試し履きのときに、膝、腰、背中が曲がっていないかをショップの人に聞くなどして確認してください。


歩くときには腹筋にやや力を入れて目線を正面にすると背筋が伸びます。そして、直線上に足を運ぶようにまっすぐ歩くことを心がけましょう。目線が下向きになると猫背に、体が左右にブレるとお尻をふるような歩きかたになります」


筆者は、これまでヒールを慎重に選んでいるつもりでしたが、靴底のタイプや履いたときの姿勢などは何も考えずにデザインや見た目の感覚で選んでいました。これからはまず、靴底を見て安定性の高いタイプで試し履きをし、歩いて猫背にならないか、姿勢を確認しながら選びたいものです。


(取材・文 小山田遥/ユンブル)