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「おえっ…」ってならない?痛くない?内視鏡のしくみと歴史

2017.08.02

「おえっ…」ってならない?痛くない?内視鏡のしくみと歴史


病院で、「内視鏡検査」という言葉を聞いたことはありませんか?「胃カメラ」のことだと思っている人もいるかもしれませんが、実はまったくの別物だそう。では、この「内視鏡」ってどんなものなのでしょうか。今回は、消化器内視鏡の世界シェアトップを誇る『オリンパス』のCSR推進部・松井雄二郎さんにお話を伺いました。

取材協力・監修


オリンパス株式会社


1919年に顕微鏡事業で創業。現在では、デジカメ、ICレコーダー、医療機器など幅広い製品を取り扱っている。多くの女性に支持されているミラーレス一眼カメラ「PEN(ペン)」で有名だが、実は売上高の約8割が医療事業。人々の健康に役立つ製品を目指して、日々研究開発を行っている。


オリンパス「おなかの健康ドットコム」

http://www.onaka-kenko.com/

■そもそも内視鏡って何だ?

「内視鏡というのは、簡単に言えば『体の中を見ることのできる医療機器』です。口や鼻から挿入する場合は食道や胃、肛門からの場合は大腸といった部分の様子をリアルタイムで映像として見ることが可能です」(松井さん)


私たちがよく聞く「内視鏡検査」とは、この内視鏡を口や鼻、またお尻から体内に挿入し、病気がないか検査をするもの、ということですね。


古くからヨーロッパでは、胃の中をのぞき見ようとさまざまな試みが行われていました。そして、世界で初めて『胃カメラ』を実用化したのがオリンパス。1950年のことです。これは柔らかい管の先端に小さな電球やレンズ、フィルムを入れたカメラを取り付けたものでしたが、進化を重ねることで現在のようにリアルタイムで体内を観察できる『内視鏡』になりました。体内に挿入する管の先端から処置具を出し異物の摘出や病変部の切除など、内視鏡を用いたさまざまな治療が行えるようになっています。


松井さんによると、ほかにも『NBI』と呼ばれる、特定の波長の光を当てることで、発見しにくいがんなどの微細な病変部の発見をサポートするといった新しい技術が開発され、取り入れられているそうです。


内視鏡の管の太さや長さは使用する部位や用途によって異なり、食道や胃の検査で用いる上部消化管用内視鏡の他、耳鼻科用、気管支用、泌尿器科用、大腸用等数10種類もあるとのこと。適用部位や太さによって搭載している機能も異なっているのだとか。


また内視鏡は体内に入れやすいようにホースのような軟性の素材で作られていますが、ほかに、金属製の「腹腔鏡」と呼ばれているものもあります。検査ではなく、患部に小さな穴を開け、そこから挿入して手術を行うもの。手術の際の傷が小さく、術後の回復が早いというメリットがあるそうです。

■内視鏡でどんな病気の検査をするの?

口やお尻から挿入して体の中の様子を見ることのできる内視鏡ですが、どんな病気の検査に用いられるのか聞いてみたところ、多いのが「胃がん」や「大腸がん」の検査なのだそうです。どちらも40代以上に多い病気なので、20代だとまだあまりぴんとこないかもしれませんが、大腸がんは女性のがんの死因で最も多いものなのです。また、胃がんも女性のがん死因で上位に来る病気です。


内視鏡は、このふたつのがんの検査だけでなく、胃炎や胃潰瘍、ポリープといった胃の病気や、逆流性食道炎や食道がん、また十二指腸潰瘍や大腸ポリープなど、さまざまな病気の検査や治療に用いられています。

■飲み込むときに気持ち悪くならない?

検査の際、「気持ち悪くなったり痛くなったりしないの?」と思う人も多いでしょう。もちろん管を挿入するのですから、何も感じないことはありません。しかしできるだけ苦しい思いをしないように、さまざまな工夫がされています。


たとえば管の細さ。太さによって搭載できる機能も異なりますが、食道や胃を検査する上部消化管用内視鏡では、細いもので5mm台のものもあり、鼻からの挿入も可能です。口から挿入するよりも息苦しさや嘔吐(おうと)感を感じさせないようにしています。また、内視鏡以外の部分でも、苦痛を感じにくくするため鎮静剤と呼ばれる睡眠作用のある薬剤を用いる検査もあります。しばらく病院内で安静にしている必要はありますが、眠ったような状態で検査を受けられるメリットがあるそうです。


先ほど女性のがん死因の第1位として大腸がんが挙げられましたが、その理由のひとつとして「がん検診や精密検査の受診率が低いこと」が挙げられるそうです。オリンパスが行ったアンケートによると、なぜ内視鏡検査を受診しないのかの理由については、「苦しそうだから」とか、「10年以上前に受けた内視鏡検査が苦しかったから」という意見が多いのだとか。そのため早期に病気を発見できず、効果的治療の選択肢が少なくなってしまうことが考えられるようです。


しかし内視鏡自体の改良や、医療従事者による検査方法の工夫によって、昔よりも「苦しくない検査」を行うことができるようになりました。筆者も最近、内視鏡検査をしましたが、気が付いたら終わっていた程度で、非常に楽でした。同じように、実際に一度受けてみると「こんなものか」と感じる人は多いそうです。



胃や腸の検査というと、バリウム検査を想像する方がいらっしゃるかもしれませんが、今回取材した体内を直接見ることができる内視鏡検査という選択肢もあります。大きな病院でなくとも、内科・消化器科を標榜する街のクリニックでも受けられることが多いため、その手軽さも特徴です。若い世代だとまだお世話になる機会は少ないかもしれませんが、家族に教えてあげたり、将来受ける際に不安にならないよう、どんなものなのか覚えておくといいですね。



(中田ボンベ@dcp)