低血圧に悩んでいる女性は多いのではないでしょうか。体がだるい、朝起きづらいなど、低血圧のために生活に支障が出ることもありますね。この低血圧を改善することはできるのでしょうか?『千代田国際クリニック』の永田勝太郎院長に取材しました。永田院長は日本でも希有な「低血圧についての深い知見と長い経験を持つ医師」です。

取材協力・監修


永田勝太郎医師


1948年千葉県生まれ。医師・医学博士。『千代田国際クリニック』院長。『公益財団法人 国際全人医療研究所』理事長。WHO(世界保健機関)心身医学・精神薬理学 教授。リヒテンシュタイン国際学術大学院大学 ビクトール・フランクル講座 名誉教授。


⇒永田医師の著作『本当は怖い低血圧』(刊行:秀和システム)

http://amzn.asia/ge72eW9


⇒『千代田国際クニリニック』公式サイト

https://www.ciclinic.net/

■「女性に低血圧の人が多い」は真実!

「女性に低血圧の人が多い」というのは本当なのでしょうか? 日本人の血圧分布について調べたデータがありますので見てみましょう。

●男性

高血圧:11.7%

正常血圧:80.5%

低血圧:7.8%


⇒男性1,861人を調査


●女性

高血圧:11.8%

正常血圧:66.3%

低血圧:21.9%


⇒女性3,246人を調査

高血圧の人の比率は男女でさほど変わりませんが、低血圧は圧倒的に女性のほうが多いことが分かります。低血圧の女性は男性の2.8倍もいるという結果ですから、一般にいわれている「女性に低血圧の人が多い」は本当です。


※上記のデータ出典は永田医師の著作『本当は怖い低血圧』。データの詳細は同本(※永田院長のプロフィール欄参照)内にあります。

■低血圧の「よくある症状」を確認!

低血圧によって起こる「よくある症状」には次のようなものがあります。


●立ちくらみ、あるいは目まいを起こしやすい

●立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる

●入浴後、あるいは嫌なことを見聞きした際に気持ちが悪くなる

●少し動くと、動機あるいは息切れがする

●朝はなかなか起きられず、午前中調子が悪い


また「ときに起こる症状」は下のようなものです。


●顔色が青白い

●食欲がない

●ときどき強い腹痛を訴える

●倦怠感がある。あるいは疲れやすい

●しばしば頭痛を訴える

●乗り物に酔いやすい


上記の「よくある症状」にふたつ以上当てはまる人は低血圧の可能性が高いといえます。一度きちんと自分の血圧を計測してみましょう。

■自分の血圧を測定してみましょう!

女性の場合、血圧計で測った数値によって「高血圧」「正常血圧」「低血圧」の判定は下のようになっています。

●血圧計による女性の血圧判定


170- 高血圧

160-169 高血圧

150-159 高血圧

140-149 高血圧傾向

130-139 正常血圧

120-129 正常血圧

110-119 正常血圧

100-109 低血圧傾向

90-99 低血圧

80-89 低血圧

-79 低血圧


※数字の単位はmmHg

永田院長によれば「病院で計測すると『正常』といわれることがありますが、それは『白衣性高血圧』(昇圧効果)かもしれません。白衣を見るなどして緊張すると血圧が上がることがあります。低血圧の方は、緊張しやすいので、自宅で測ったほうが正確な値になります」とのことでした。


また病院では、シュッシュとポンプ式に腕を締め付けて計測する機器で、1回だけ測ることが多いですが、本当はそれでは正確ではありません。永田院長によれば「面倒くさいからみんなやりませんが、血圧を測るには、2分おきに、


・臥位で3回

・立位で5回


と血圧を計測して、その変動を診るのが正確」とのことでした。

■「貧血」と「低血圧」は違う!

混同しがちなのは「低血圧」と「貧血」です。


永田院長は「このふたつの症状は似てはいますが、まったく違うものと認識しないといけません」と指摘していらっしゃいます。それぞれ、


●低血圧:血流が遅いこと

●貧血:血液が薄いこと


によって症状が生じるとのこと。


「血液の循環は生物が生きるために非常に重要です。人間をつくっている38兆個もの細胞に血液が循環しなければ生きてはいけません。そのために心臓が絶え間なくポンプのように動いているのですが、心臓によって生み出される血液の流れが遅い、いってみれば渋滞しがちになっているのが低血圧なのです。


高血圧については指摘して注意を促す医者は多いけれども、低血圧については『放っておけば改善する』なんて思っている人が多いでしょう。しかし、それは違います。上記のようなさまざまな症状を引き起こし、日常生活に支障を来すことも多いのです。


低血圧を放置すると、余病を引き起こす可能性もあります。線維筋痛症はそのひとつと考えられます。これは全身に痛みがあり、ひどい疲労感を伴って、ついには動けなくなってしまうこともある病気です。低血圧は生活習慣病と考えるべきです」(永田院長)

■低血圧の改善方法はある?

では、「低血圧」はどのようにすれば改善できるのでしょうか?


――生まれつき低血圧という場合が多いと思うのですが、低血圧の症状を改善する方法はあるのでしょうか?


永田院長 そうですね。低血圧は確かに遺伝的体質が大きな要因となっています。ただ、これはほかの生活習慣病も同じです。たとえば「糖尿病」も遺伝的体質が大きな要因ですが、そこには「食べ過ぎる習慣」などのライフスタイルの影響が大きく関わっています。それらを正すことで、症状も改善できます。低血圧を生活習慣病と捉えれば、同様に症状を改善することができます。


――具体的にどのようにすればよいのでしょうか?


永田院長 ライフスタイルの改善が基本です。


・規則正しい生活を送る!

……早寝早起きが基本

……睡眠をたっぷり取ること


・規則正しく食事を取ること!

……朝食は必ず取ること


・疲れたら十分に休息を取る!


・強すぎるストレスは避けること!


といった点に気を付けるとよいでしょう。もし、朝どうしても食欲がない、というときには温かいミルクを1杯飲むなどをしてみましょう。食欲がなくても口に何か入れることを心掛けると良いですね。


チェダーチーズをひとかけら口にするだけでも1日の調子はかなり良くなります。チェダーチーズには血圧を上げてくれるチラミンという物質が含まれていますから。おかゆを食べるのもいいですね。


――低血圧で朝どうしても起きられない、という人に何かおすすめの目覚め方はあるのでしょうか?


永田院長 そうですね……。寝ているときは副交感神経優位な状態で、起きているときは交感神経が優位な状態です。目覚めるためには交感神経が優位な状態にしてやる必要があります。たとえば、なんとかバスルームまで行って熱いシャワーを浴びるなどし、無理にでも交感神経優位な状態をつくり出せば目覚めやすくなります。


低血圧の人が気の毒なのは、低血圧が病気だということを周りの人が理解してくれない点です。「やる気がない」なんて言われたりね。でも、それは違います。


低血圧は見えない病気なのです。


生活習慣病ですから、上記のようなライフスタイルの改善で良い方向に向かうことができます。一般にもっと低血圧に対する理解が深まることを望みたいですね。そうすれば低血圧の人もより生きやすくなるのではないでしょうか。


――ありがとうございました。



筆者などは「低血圧」と「貧血」はごっちゃにしていました。今回の取材で目からうろこが3枚ぐらい落ちました。皆さんはいかがだったでしょうか?永田院長の指摘どおり、低血圧を生活習慣病と捉えて世間の理解が広まれば、低血圧の女性は現在よりストレスの少ない生活を送れるようになるのではないでしょうか。


(高橋モータース@dcp)