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ネガティブ思考が止まらない!不安感の原因・心の中はどんな状態?

2017.08.17

ネガティブ思考が止まらない!不安感の原因・心の中はどんな状態?


ネガティブ思考のみなさん、こんにちは。マイカラット編集部のマス山です。

コンプレックスと一口に言っても、外見から内面までさまざま。特にメンタル面のコンプレックスは、なかなか人には相談しづらいですよね。

今回、編集部にこんなお便りが届きました。



「いつも、自分のネガティブっぷりに悩んでいます。


うれしいことを言われても、『何か裏があるんじゃないかとか、褒められた部分以外はクソだと思われているんじゃないか。』

『会社の業績が悪いのは、自分のせいなんじゃないか。』

と考え込んでしまい、夜、悲しくなって涙が止まらないこともあります。


ポジティブな子達はなんだか毎日キラキラしていて、心もすぐ晴れて、うらやましいです。こんなネガティブ思考は、なんでうまれるんでしょうか?わたしの心の中はどうなっているんでしょうか?」


(Mさん/都内会社員24歳)


みなさまのリアルなお悩みを、西條先生が徹底解説。あなたの「知りたい!」を叶えます。



取材協力・監修

西條朋行医師


2011年より西條クリニック開業。

大学卒業、武蔵野赤十字病院のレジデントを修了後、東京医科歯科大学、都立松沢病院、浅井病院、日本医科大学付属病院に精神科臨床医として勤務。放射線医学研究所やスウェーデン・カロリンスカ研究所にて脳科学研究にも従事したほか、2002年より東京藝術大学との共同プロジェクト「Epoch-making」に参加。「医療」、とりわけ精神科医療をめぐる社会とのあり方を模索している。


▼西條クリニック

http://saijo.net/

■「ネガティブな考え」は本当にネガティブ?

まず、「褒められたこと」に対してネガティブな感情を持ってしまうのは、Mさんのような程度であれば病的とはいえません。

人間、誰しも嫌な思いはしたくないもの。いいことばかり言ってくる人に傷つけられたことがある、とか、調子に乗ってついていったら宗教の勧誘にあった、とか。


このような過去の経験をちゃんと覚えているからこそ、ある意味「自己防衛」のひとつとして「発言の裏」を考えてしまうのです。


自分のせいで会社が潰れるかもという不安も、「現実をちゃんと直視できている」という危機管理能力の高さの表れでもある、と考えてもいいのです。難しいことかもしれませんが、ネガティブに思う事象について、客観的な目線を持つのも大事ですよ。


疑いや不安を持つこと自体はネガティブではないけれど、それをネガティブだと捉えてしまうことがネガティブなワケで、簡単にいうと「度がすぎる」のが問題なのです。

■でも、不安なものは不安!


例にあがっていることだけじゃなくても、日々の出来事をだいたいネガティブに捉えてしまう場合はどうなんでしょう?もう性格が問題なんじゃ…?



もしかしたら、あなた自身の人格が原因となっている可能性もあります。

不安を抱えがちな、人間のパーソナリティ(人格)について焦点を当ててみましょう。



①演技型パーソナリティ

過度に演技的に振る舞って、周囲の注目を集めないと不安でたまらなくなるパーソナリティのこと


②妄想型パーソナリティ

相手に対して、現実とはかけ離れたことを被害的(本当はそんなことないのに、「あの人は私を陥れようとしてこんな悪口を言いふらしている」とか)に捉えて、人間関係を構築するのが難しいパーソナリティのこと


③統合失調型パーソナリティ

奇異な思考や行動様式を特徴とし、親密な対人関係を構築するのが難しいパーソナリティのこと


④自己愛性パーソナリティ

一般的によく聞く「ナルシスト」の解釈とは少し違っていて、自分のことを何らかの理由で健全に愛せておらず、相手に「もっと自分だけを愛して!」というような過度な行為をすることで不安を抑制しているパーソナリティのこと

(本当の意味で自分を愛することが出来ている人は「自分だけ!」というような行為をすれば、誰からも愛されないということがわかっているため、しないものです。)


⑤抑うつ性パーソナリティ

慢性的な自責感があり、物事がいいように変わっていく、という期待がもてないパーソナリティのこと。


ネガティブさんの共通点として、この⑤抑うつ性パーソナリティを持っているということも挙げられます。

幼児期に両親との離別を経験して孤独感を味わったり、あまり評価・承認されなかったことから自分に自信が持てず、「もっと完璧を」とか「これじゃ間違ってるかも」という自責の念が加速してしまい、適切な段階でストップすることが難しくなるのです。

■じゃあ、どこで不安の連鎖を断ち切るべき?


悩みを相談するたびに、「考えすぎだよ~~」なんて簡単にあしらわれてしまうこともありますよね。そう思えてたらこんなに悩みはしないんですけど。


先ほど「適切な段階でストップすることが難しい」とありましたが、どこが適切な段階なんでしょうか?



それでは、不安の階級について説明しましょう。


人間の心はちょっと複雑ですが、「自我」「イド」「超自我」に分かれているといわれています。


この考え方はフロイトという心理学者によって提唱されていて、氷山のように浮かんでいるもの、とたとえられることもあります。大学の心理学を履修した人なら記憶の奥底にあるかもしれませんね。

①自我

現実との間に接触を保ち、イドと超自我の仲介をしながら表にも出ている意識的な人格のこと。


②イド

表面には出ていないけれど、内在的にある攻撃欲求・性的欲求など意識下に収まっているもの。


②超自我

簡単にいうと「道徳的規範」。無意識にも意識にも表れている、親の教えや教育によってインストールされたマイルールのこと。


不安の段階で最も「成熟した不安」は、超自我からもたらされる不安です。

「もっときれいにアイラインを引けたらかわいくなれるんじゃないか」とか、「もっといいものが作れれば、クライアントが喜ぶんじゃないか」とか。自分の規範に反することを自分はやっていないか、という苦悩ですね。


これが1段階退行すると、「このままでは嫌われるかも…」という、少し未成熟な願望を投影した不安になっていきます。

2段階退行すると、「愛されるべき家族にも見捨てられてしまうかも……」と、どんどん心の深層部につながる未成熟で未分化な不安に変わり、幼い頃の経験と紐づいて余計に怖くなってしまうのです。


「適切な段階」は、超自我内での不安であり、このネガティブ思考は徹底したプロ意識を持っているが故に発生したのではないか、(故に、何も自分を卑下することなどない)ともう一度見直してみるのが大事です。

ひとりで考えていると、どんどん不安も未熟になっていくばかりか、「こんなに悩むなんて情けない」といった新しい不安も生まれるもの。ひとりでうまく解決できる人なんていませんから、ここで他人の意見を取り入れるという意味で、僕ら精神科医の出番ですね。

■自分で未熟な不安への退行を止める方法はない?


どうにか自分でネガティブ思考の連鎖を断ち切る方法、ないんでしょうか?




悩んだときに働いている脳の思考回路と、違う脳の回路を使うといいですよ!

意外とシンプルですが、体を動かすとか。

僕がオススメしているのは「けん玉」です。







あまりにもけん玉が得意な人には向いていませんが、通常は案外難しくて集中してしまうもの。それは、それまで働いていた思考回路を一度休止させて、別の思考回路を働かせることになります。


方法はなんでもよいのですが、このように別の思考回路に切り替えてあげるのが、ネガティブ思考・不安の連鎖を断ち切るいい方法です。



■ネガティブな私だって、悪くない!


特に「ネガティブなことだと捉えてしまうことがネガティブ」という考え方に、ハッとしました。「自分はネガティブだ」って、知らない間に決めつけてしまっていることもあるかもしれませんね。


また、けん玉もおもしろそうです。レトロでかわいいし、インテリアにもなじむかも!(笑)


ひとりでも、ネガティブ思考に悩む読者さんの気持ちが晴れますように…。


(取材・文 マス山)