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薬、カフェイン、風呂、運動。内科医が教える。二日酔い対策にしてはいけないこと6つ

2017.08.21

薬、カフェイン、風呂、運動。内科医が教える。二日酔い対策にしてはいけないこと6つ


二日酔いの不快感が嫌で、今日は控えめに飲もうと決めて出かけるも、その場が楽しいとつい飲みすぎてまた不調で後悔……をくり返しています。何か良い対策はないものでしょうか。そこで、内科医で泉岡医院(大阪市都島区)の泉岡利於(いずおか・としお)院長に聞いてみました。

取材協力・監修

泉岡利於氏


医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人宏久会泉岡医院院長。


泉岡医院: 大阪市都島区東野田町5-5-8

http://www.izuoka.com

■二日酔いの原因は「アセトアルデヒド」と「脱水」

体は動かすのがおっくうなほど重い、頭はずきんずきんと痛む、胸がむかつく、のどはカラカラに乾く、吐き気があって吐くこともある、胃が痛い……こういった症状がある二日酔いのとき、体では何が起こっているのでしょうか。泉岡医師はこう説明します。


「摂取したアルコールは肝臓へ運ばれ、アルコール脱水素酵素の働きで毒性のあるアセトアルデヒドに分解されます。さらに、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きで毒性のない酢酸になり、最終的に水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。


飲み過ぎると、肝臓の分解能力が限界を超えて、分解できなくなったアセトアルデヒドが血液中に流れます。すると脳の血管が拡張され、頭が痛む原因になります。


また、アルコールの利尿作用により、体内の水分やミネラルが減少して脱水症状が起こることも二日酔いの原因になります。脱水症状になると、筋肉の収縮や血圧の調整に必要なカルシウムやナトリウムなどのミネラルが不足するために疲労感や脱力感を覚えます。さらに、水分の不足で胃や腸への血流が減少して機能低下による吐き気が起きます。


逆に見ると、二日酔いの症状は、体の機能がうまく働いていないサインだと言えます」


ドキッとするお話ですが、では、どれくらいの量なら肝臓に負担をかけないのでしょうか。


「身長や体重、体質による個人差がありますが、肝臓で1時間に分解できるアルコールの量は、体重50㎏の女性で、およそ5gです。缶ビール1本分(500ml)のアルコール(約20g)を分解するのに約4時間かかる計算になります」


えっ、肝臓が1時間あたりに分解するアルコールの量は、もっと多いものだと思い込んでいました。ここで泉岡医師は、お酒にまつわる誤解やしてはいけないことの代表例として、次の6つを指摘します。

■飲酒後に汗をかく行為をしてはいけない

(1)頭痛薬を飲む

二日酔いで生じる頭痛は、片頭痛や風邪などの病気とは原因が異なるので、頭痛薬を飲んでもほとんど効果はありません。また、二日酔いとは、肝臓がまだアルコールの分解を行っている状態なので、頭痛薬を服用すると、飲んでいないときと比べて、肝臓で分解できない薬の成分が増えます。頭痛薬によっては酔いが激しくなる、頭痛薬の副作用である胃の痛みが強く出る、さらには意識障害や肝機能障害を起こすことがあります。


頭痛薬にかかわらず、風邪薬や抗アレルギー薬も同様に危険症状が現れやすくなります。「お酒を飲んだらどのような薬も4時間以上は飲まない」、もしくは、「薬を飲んだら4時間以上はお酒を飲まない」ようにしてください。ただし、常備薬については医師の指示通りにきちんと服用してください。


(2)お茶やコーヒーを水の代わりに飲む

お酒を飲むとき、お茶やコーヒーなどカフェインを多く含むドリンクを同時に飲むのは控えましょう。カフェインには酔いや眠気を覚ます作用があるため、過度なアルコールを摂取すること、つまり飲み過ぎにつながります。お酒の合間には、お酒と同じ量の水を飲むようにしてください。


(3)迎え酒

アルコールは脳の機能を麻痺(まひ)させる働きがあります。迎え酒をすると、その作用で二日酔いの不快感をごまかすことになるだけです。結果的に、アルコールを分解しきれていない肝臓に、さらにアルコールを送りこむことになります。当然、肝臓の負担は増し、分解できないアセトアルデヒドが増えてさらにつらい二日酔いの症状が表れるようになります。


(4)サウナや温泉、長風呂で汗をかく

汗をかくとアルコールが体外に排出されると思っている人は多いのですが、それは間違いです。汗で体内の水分を失うため、血液中のアルコール濃度が上昇します。すると血液がドロドロの状態になり、脳卒中の危険性があります。


また、飲酒後の酔いが覚めていないときは、アルコールの作用により血管が拡張し、一時的に血圧が下がっています。その状態で高温のサウナや風呂に入ると、貧血や心臓発作などを引き起こす可能性もあります。


(5)ウォーキング、ジョギング、筋トレなどの運動

(4)でも述べたように、アルコールは汗では排出することができないため、飲酒後に汗をかくと脱水状態を深刻化することになります。危険な行為です。


(6)二日酔いでの運転

二日酔いはアルコールが体内に残っている状態です。飲酒運転であるほか、事故の危険がとても高くなります。飲み過ぎた翌朝の運転は、絶対に避けなくてなりません。単車、自転車も同様です。

■顔が赤くなる人はアルコールの害を受けやすい

泉岡医師はまた、お酒に注意するべき体質について、こう説明を続けます。


「お酒を飲んで顔が赤くなる理由は、アセトアルデヒドによって顔の毛細血管が拡張されるからです。このタイプは、アルコールを分解する酵素が少ないか持っていないために、その毒性に長くさらされることになります。奈良漬(塩漬けした野菜を酒粕に漬けた漬物)を食べたときにアルコールによる体の変化を感じる人は、飲酒の量や飲みかた次第で、急性アルコール中毒を発症する可能性が高くなります。


会社の上司やクライアントにお酒の席に誘われたときなどでも、無理をして飲酒することは避けてください。仕事での付き合いのお酒、友人との飲み会でも、自分はお酒が飲めない、弱いことを率直に告げて、ノンアルコールドリンクをオーダーしてください」



最後に泉岡医師は、

「どんな対策をしても、お酒を飲み過ぎると体の不調が起こります。顔が赤くなるなどお酒に弱いという自覚がある人は、二日酔いにならいことを考えるのではなく、これを機会にお酒を少量に抑えて適度に楽しむよう、お酒との付き合いかたを見直しましょう」とアドバイスを加えます。


飲酒後、帰宅してからの熱い風呂や長風呂、翌日の迎え酒、また顔が赤くなることに心あたりがある人も多いのではないでしょうか。お酒の量を抑え、体に負担をかける習慣を改めることが、健康的で楽しいお酒の飲みかたと言えそうです。


(取材・文 小山田遥/ユンブル)