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その症状、「鉄欠乏性貧血」かも?原因と対策方法

2017.08.25

その症状、「鉄欠乏性貧血」かも?原因と対策方法


日常生活の中で、「疲れやすい」「めまい」「立ちくらみ」といった症状に悩んでいる人は少なくないでしょう。その症状は「鉄欠乏性貧血」かもしれません。特に女性は、生理があるため自分でも気付かず鉄欠乏状態になることが多いのです。今回はこの鉄欠乏性貧血について、『中野司朗レディースクリニック』の院長、中野司朗医師に取材をしました。

取材協力・監修


中野司朗院長


1956年、奈良県吉野郡十津川村生まれ。1982年『奈良県立医科大学』卒業。1982年『京都大学 ウイルス研究所』勤務。日沼頼夫教授の下で「ATLウイルスの母子間感染経路の解明」の研究。1986年『奈良県立医科大学』大学院卒業、1990年『兵庫県立西宮病院』産婦人科医長、1991年『済生会奈良病院』産婦人科部長を経て、2006年『中野司朗レディースクリニック』開設。現・同院長。


⇒『中野司朗レディースクリニック』公式サイト

http://www.clinica.jp/

■「鉄」は人の体にとって大事な金属!

まず「鉄」は人の体内で一番量が多い生体金属です。普通、成人では体内に「3-4g」の鉄があるといわれています。


体内鉄の65%はヘモグロビン(Hb)の形で存在します。ヘモグロビンは、血色素であるヘムとタンパク質のグロビンのふたつのパーツからなります。血色素であるヘムが酸素を運ぶ働きをしていることは、学校で習ったことがあるでしょう


体内鉄の4%が筋肉中のミオグロビンに、15-30%が「貯蔵鉄」として肝臓に蓄えられています。ごく少量ですが、血清中には「血清鉄」があります。また鉄はさまざまな酵素等の材料にも利用されており「組織鉄」と呼ばれています。


体内の鉄が不足すると、まず貯蔵鉄が使われます。貯蔵鉄が枯渇すると組織鉄が不足して、さまざまな体調不良や精神的な不調まで引き起こします。この状態が「かくれ貧血」の状態です。さらに鉄欠乏が進行すると、血液検査でも貧血の診断がつくようになります。


「かくれ貧血」の状態では、体調不良を訴えて医療施設を受診しても、血液検査では異常を指摘されないことを知っておきましょう。


中野院長は「鉄分は生体金属の中でも非常に重要なものです。自分でも気付かず鉄欠乏になっている女性は少なくありません」と指摘されています。

■鉄欠乏性貧血になるメカニズム

では、鉄欠乏になってしまう原因とは何なのでしょうか? 


中野院長によれば「女性に鉄欠乏性貧血が多い理由は、生理があるからです。食事で摂取する鉄よりも生理によって失われる鉄のほうが多い人は、鉄の収支がマイナスになってしまう」とのことです。


鉄は食物から摂取されますが吸収が悪く、体内の鉄利用は、赤血球(寿命は約4カ月)が壊れた「ヘモグロビン鉄」のリサイクルが大半です。このリサイクルだけでは鉄が増えることはありません。


リサイクルを除いた、1カ月の鉄の収支はだいたい以下のようになります。

・1日に食事から約20mgの鉄を摂取。

・20mgのうち体内に吸収できるのが10~20%で、汗や糞便で失う鉄を入れると、毎日「1~2mg」の鉄を貯蓄。

・1日「1-2mg」 × 30日 = 1カ月に「30-60mg」の貯蓄。

・生理による支出は、多い人では1回の生理で「50mg」以上。

ですから生理の多い人では、容易に「鉄の収支はマイナス」また「慢性的に鉄が足りない状況」になってしまいます。

■「かくれ貧血」の可能性も…

上記のとおり、生理のある女性は慢性的に鉄が欠乏した状態になりやすく、鉄欠乏による「かくれ貧血」が思いのほか多いそうです。


中野院長は「血液検査でヘモグロビン値が11g/dl以上であれば、ほとんどの人は『貧血』と診断ません。しかし、以下のような症状があれば鉄欠乏の疑いがあります」と指摘されています。

・頭痛、めまい、立ちくらみ

・動悸(どうき)、息切れ

・疲れやすい、倦怠感、朝がつらい

・気持ちが沈む、生理前後のいらいらが強くなった

・爪が割れやすい(二枚爪)

・髪の毛や肌のつやがなくなった

・抵抗力の低下(風邪をひきやすいなど)

・氷をかじりたくなる(氷食症)

■鉄欠乏性貧血の予防法

鉄欠乏性貧血を予防するには、どのようにすればよいのでしょうか?中野院長に伺いました。


――女性が鉄欠乏症貧血を予防する方法を教えてください。


中野院長 まず、「生理のある女性は鉄欠乏状態になりやすい」ということを知ってください。体内の貯蔵鉄が減ってくると、鉄を使う酵素群がうまく働かなくなり、先ほど述べたようにさまざまな鉄欠乏症状が起こります。


生理が多い人は、食事だけでは十分な鉄が取れません。足りない人は「鉄剤」を飲んで補いましょう。鉄剤を飲むと1錠で「50-100mg」の鉄を補うことができます。


鉄には、


・ヘム鉄

・非ヘム鉄


があるのですが、「病院で処方される鉄剤」には非ヘム鉄しかありません。この非ヘム鉄の場合、胃に不快感が生じやすいのです。これは、難溶性のFe3+(三価鉄)を、腸管で吸収しやすい可溶性のFe2+(二価鉄)に還元する過程でフリーラジカルが発生し、これが胃を攻撃するためです。


非ヘム鉄とビタミンCを同時に取ると、フリーラジカルの発生が減って胃腸症状が緩和されます。同時に、可溶性の鉄のFe2+が増えるために、鉄の吸収は2倍以上になります。


――なるほど。ヘム鉄はどのように取ればいいでしょうか?


中野院長 ヘム鉄は「レバー」など、非ヘム鉄は「ホウレンソウ」「小松菜」などに多く含まれています。食物から鉄を摂取する場合は、そういった食材を使ったメニューを意識すると良いでしょう。ただし、生理が多い人では食事だけでは補えません。ですからヘム鉄のサプリメントを1年365日、毎日10-20(mg)摂取することです。生理のある人はこの量で鉄過剰になることはありません。


――鉄剤を飲む際に注意すべきことはありますか?


中野院長 継続して飲むことです。繰り返しになりますが、生理のある女性は慢性的に鉄欠乏状態になっていることに注意してください。鉄剤を1-3カ月内服すると症状は改善しますが、それで鉄剤を完全にやめてしまうと数カ月後には元の状態に戻ってしまいます。


血液データや自覚症状が改善しても、週に3日は鉄剤を内服するとか、生理後は10日だけ鉄剤を内服するなど、鉄剤を継続することが大切です。


――ありがとうございました。



鉄は人体にとって非常に重要な金属です。女性は生理のために鉄が不足しがちです。めまいなど貧血の自覚症状がある人は鉄欠乏症の可能性もありますから、一度専門医を受診するのが良いかもしれません。


(高橋モータース@dcp)

●サプリで対策

体内に吸収されやすいヘム鉄のほかに、葉酸やビタミンB12を配合したサプリメントです。

一日に必要な2.6倍量の鉄を1粒で補給できるだけでなく、バランスよくビタミンを補給できるので、食事バランスが気になる方も試してみてはいかがでしょうか。(マイカラット編集部)

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