湿布薬を選ぶとき、ドラッグストアの棚にずらり並ぶ中からどれをどう選ぶべきかと迷うことはありませんか。テープタイプと白の分厚いタイプ、冷感と温感、塗るタイプやスプレー、市販薬と処方薬の違い、また、効き目は何時間ほど続くのか、副作用など、湿布のさまざまな疑問について、大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんに聞いてみました。

取材協力・監修

近藤直緒美氏


薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店、ケアプランセンター(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。


なのはな薬局:大阪府高槻市城北町1-4-18

■鎮痛消炎剤が含まれる「第二世代」のタイプがある

はじめに、湿布の役割について近藤さんはこう説明をします。


「湿布剤とは、ねんざ、打撲、関節炎、筋肉痛を緩和するために、患部に貼りつける外用薬です。大きく分けて、肌色で薄いテープタイプの「テープ剤」、白地に泥状の薬剤が施されている分厚いタイプの「パップ剤」と呼ぶ2つの形状があります。それぞれに温湿布と冷湿布、また、『第二世代の湿布』と呼ばれるタイプが出ています。使い分ける方法を具体的に紹介しましょう」


次の説明は近藤さんによります。


(1)「第二世代」と呼ぶ「痛み止めの成分が含まれる湿布剤」とは?


CMなどでよく耳にする成分の、「インドメタシン」、「フェルビナク」、「ジクロフェナク」、「ロキソプロフェン」といった鎮痛消炎剤を、皮ふから吸収する「経皮吸収型鎮痛消炎剤」を含むタイプが複数、出ています。このタイプは湿布剤の「第二世代」と総称されています。


筋肉痛の原因は現在、まだ解明されていませんが、筋肉にダメージがあると、痛み物質と呼ぶホルモンが生成されて痛むのではと言われています。


そこで鎮痛消炎剤は、痛み物質の生成を抑えて痛みと炎症のもとに作用するようになっています。


ただし、鎮痛効果が高いということは、内服用の鎮痛剤と同様に、副作用の可能性もあります。1回に貼る枚数や1日に貼り替える回数の用量と用法、また、かぶれ、発疹、胃の不快感など副作用に関することや、アレルギー、ぜんそくがある方は使ってはいけないなど、使用上の注意をよく読んでから用いてください。


(2)「肌色のテープ剤」、「白くて分厚いパップ剤」の違いとは?


テープ剤は「プラスター剤」とも言いますが、これらもパップ剤も形状が違うだけで、配合されている薬はほぼ同じです。


テープ剤は薄くて粘着力が強く、ひじやひざなど、曲がる部分に貼るのに適していて、目立ちにくいというメリットがあります。ただ、毛深い場所には向かないこと、また、皮ふが弱い人にとっては、ぴったりくっつくだけに、かぶれや発疹の副作用が出ることがあります。


パップ剤が分厚いのは水分を多量に含んでいるからで、貼るときに冷やっとする感覚があります。また、水分が多いためにテープ剤に比べてはがれやすいのですが、同時にかぶれにくいというメリットがあります。


どちらがいいかは、皮ふの状態、使用シーン別、自分にとっての使いやすさで選ぶといいでしょう。


(3)湿布剤を貼るとスーッとするのはなぜ?


配合成分に、「メントール」が含まれているからです。成分表示では、「l(エル)-メントール」などになっています。これはハッカやミントに含まれる成分で、清涼剤として、夏用の化粧品やボディソープ、シャンプー剤、また歯磨き剤やお菓子、チューイングガムなどに用いられることがあります。


冷湿布に配合されていることが多いのですが、スーッとするからといって患部を冷やすものではなく、清涼感をもたらす成分です。


(4)「冷湿布」、「温湿布」の用途の違いは?


冷湿布には(3)で紹介した「メントール」が、温湿布にはトウガラシの成分である「カプサイシン」が配合されていることが多く、それぞれ、貼ったときには冷んやり感やホット感があります。


ただしそれは、皮ふの表面温度を短時間だけ多少下げる、上げることはありますが、実際に血流に影響して筋肉を冷やしたり温めたりする作用ではないとされています。


つまり、冷湿布か温湿布かは感触の違いなので、好みで選べばいいということになります。ただし、ぎっくり腰やねんざ、打ち身で腫れているなど筋肉に激しいダメージがあったとき、患部は炎症を起こしています。この場合は、炎症を鎮める意味で皮ふの温度を少しでも下げるタイプの冷湿布を用いましょう。


慢性的な肩こりや腰痛には、温まる感覚のほうが心地よいと言う人が多いようです。


(5)湿布剤の効き目が続く時間はどのぐらい?


第二世代の鎮痛消炎剤は、「1日に1~2回の貼り替え」で効果が持続するようになっていますから、この場合は12~24時間が継続の目安です。第一世代は、「1日に数回貼り替え」と説明されているものが多く、3~6時間と考えてください。


たまに、2~4日間も貼り続けているといった声を耳にしますが、特にテープタイプは皮ふに密着するためトラブルを起こしがちです。かぶれやすい人は3~4時間ではがし、同じ場所に続けて貼らないようにして皮ふを休ませましょう。


(6)湿布の副作用に胃痛があるの?


「なぜ湿布剤で胃痛が?」と聞かれることが多いのですが、内服用の鎮痛剤は胃薬とともに処方されることからも分かるように、効き目の強い鎮痛剤は胃粘膜障害や胃痛、また腎臓にも負担が大きくてむくみや腎機能障害が起こることがあります。


第二世代の湿布剤を全身のあっちこっちにたくさん貼ると、「数時間で胃痛がひどくなってじんましんも出た」という症例はたくさんあります。大量に貼る、長時間貼ることがないよう、必ず、「1回あたり2枚を超えて使用しないでください」といった、説明書に記載されている用法と用量を守ってください。また、日ごろか胃の調子が悪い場合は、湿布剤を貼るときには胃薬を飲むようにするといいでしょう。



第二世代と呼ばれるタイプには鎮痛消炎剤が配合されていること、それだけに副作用もあること、パップタイプとテープタイプの使い分け、スーッとする感覚の正体、冷感と温感は実は働きは同じであることなどが分かりました。


湿布剤に関する疑問は尽きず、次の項目に近藤さんがずばり答える「後編」に続きます! 

(7)スポーツ時に、痛む前から貼っておいてもいい?

(8)貼り薬のほかに、塗るタイプ、ジェル、スプレーなどがありますが、効き目に違いはある? 使い分ける方法は?

(9)ネーミングの「○○15」や「○○30」といった数字は何を表す? 数字が大きいほうが効き目は強い?

(10)医療機関で処方される湿布剤と市販の湿布剤で、ほぼ同じネーミングのものがあるけど、どう違う?

(11)妊婦、授乳中は使用できる?

(12)風邪やインフルエンザのときの筋肉痛や関節痛でも効くの?

(取材・文 藤井空/ユンブル)