前編で好評を博した湿布剤への疑問、まだまだ続きます。こちらの後編では、塗るタイプやジェル、スプレーの違いや、市販薬と処方薬の違い、妊婦は貼ってもいいのかなど、前編に続き、大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんにお話を聞きました。

取材協力・監修

近藤直緒美氏


薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店、ケアプランセンター(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。


なのはな薬局:大阪府高槻市城北町1-4-18

本文の前に、前編の見出しはコレ!

(1)「第二世代」と呼ぶ、「痛み止めの成分が含まれる湿布剤」とは?

(2)「肌色のテープ剤」、「白くて分厚いパップ剤」の違いとは?

(3)湿布剤を貼るとスーッとするのはなぜ?

(4)「冷湿布」、「温湿布」の用途の違いは? 

(5)湿布剤の効き目が続く時間はどのぐらい?

(6)湿布の副作用に胃痛があるの?

■湿布剤の処方薬と市販薬では、効き目は同じ

(7)スポーツ時に、痛む前から貼っておいてもいい?


内服用の鎮痛剤は、頭痛など痛みのもとになる物質が作られる前、あるいは痛みがひどくなる前に服用する方法もあります。ですが、湿布剤の場合は「患部」に働きかけるように作られているため、患部となるかどうか分からない場所に貼っておくことに意味はないでしょう。運動時に汗をかいて湿布剤とまじると皮ふに負担がかかるため、避けるようにしてください。


なお、医療機関で処方される湿布剤は、「予防」が目的の場合は健康保険の適用はありません。


(8)貼り薬のほかに、塗るタイプ、ジェル、スプレーなどがありますが、効き目に違いはある? 使い分ける方法は?


まず、どのタイプでも、含有成分と配合の量が同じであれば、効き目も同じになります。湿布剤の外箱やウエブサイトの説明で確認ができます。


含有成分と分量が同じなら、患部の部位別に使い分けるのがいいでしょう。たとえば、「毛深い部分や首筋など目立たせたくない部位、指など貼りにくい部位には塗るタイプやジェル」を、「ふくらはぎやふとももなど広い範囲に用いたい場合や、外出先で手を汚したくないときはスプレー」が適しているでしょう。


また、皮ふがかぶれやすい人は、貼るタイプより、塗るタイプやジェル、スプレーのほうを試してみてください。


注意として、塗るタイプ、ジェル、スプレーは目に見えないので繰り返し使いがちですが、成分は皮ふから浸透しています。塗り過ぎは、「前編」で説明した副作用の原因になります。


(9)ネーミングの「○○15」や「○○30」といった数字は何を表す? 数字が大きいほうが効き目は強い?


数字は、湿布剤1枚当たりの鎮痛消炎剤の含有成分の量を表すことが多いでしょう。ただし、この数字が大きい方が薬の濃度が濃いわけではなく、効き目が強いのでもありません。「○○15」より「○○30」のほうが1枚のサイズ(面積)が2倍になるため、その分、全体として成分の含有量が比例して増えるわけです。


広い範囲に貼りたい場合は、大きなサイズを選ぶとよいでしょう。


(10)医療機関で処方される湿布剤と市販の湿布剤で、ほぼ同じネーミングのものがあるけど、どう違う?


市販の第二世代の湿布剤は、医療用と同じものであることが多いです。有効成分、添加物とも同じです。


違いは、説明書の「効能・効果」にあります。医療用では「変形性関節症」なども適応されますが、市販薬では自己責任で使用することが前提となるため、こういった疾患名の表記はありません。


なお、第二世代の湿布剤は、2017年からスタートした「セルフメディケーション税制」(対象の市販薬を1年で1万2000円以上購入すると所得控除が適用される)の対象製品となるタイプもあります。製剤の外箱やウエブサイトで確認できます。


(11)妊婦、授乳中は使用できる?


妊婦または妊娠していると思われる方、授乳中の方は使用しないでください。鎮痛消炎剤の内服薬では、胎児への影響が報告されています。湿布剤は外用薬なので、内服薬の体への働きとはまた違いますが、用いかたや体質によっては影響があると考えて避けてください。


湿布剤によっては、「母乳への移行はほとんどないので、授乳中の方はご使用いただけます」と明記しているものもあり、その場合は大丈夫でしょう。心配な場合は、薬局薬店に常駐する薬剤師に相談してください。


(12)風邪やインフルエンザのときの筋肉痛や関節痛でも効くの?


運動時やけがをしたときと、風邪やインフルエンザにかかったときでは、筋肉痛や関節痛が起こる仕組みが異なります。風邪やインフルエンザの場合は、細菌やウイルスと自分の免疫システムが闘うことでリンパ節に炎症が起こって発熱し、筋肉や関節が痛むとされています。


そのため湿布剤は、風邪やインフルエンザのときの筋肉や関節の痛みの原因に直接作用することにはなりません。ただ冷湿布の場合は、冷感によって熱を下げる作用も考えられ、間接的に痛みを緩和する

ことはあるでしょう。



最後に近藤さんは、湿布剤の選びかたについて、こうアドバイスを加えます。


「筋肉痛や肩こり腰痛に対しては、自己判断で湿布剤を利用することが多いようですが、ご紹介したように多くのタイプがあり、また値段も違います。自分の患部の状態がいまはどうなのか、明日はどうなりそうか、慢性的な痛みなのかなどを冷静に考え、薬局や薬店の薬剤師に相談して選んでください。


また、ぎっくり腰やねんざなどで急な痛みがある場合や、痛みが1週間以上続く場合、全身に筋肉痛がある場合などは、けがや病気が隠れていることがあります。早めに医療機関を受診しましょう」


湿布剤はいつもドラッグストアで適当に手に取って購入していましたが、これほど明確に製剤ごとに特徴があるということに驚きました。タイプ別の使いかた、また処方薬と一般薬は同じものであること、特に第二世代のタイプでは、効き目は強いけれど副作用の可能性も高いということは知っておきたいものです。ぜひ選択時の参考になさってください。

(取材・文 藤井空/ユンブル)