出産のあと気になるのは、「プロポーションを元に戻すこと」ではないでしょうか。最近では、「産後の骨盤のゆがみ」が指摘されるようになっています。骨盤のゆがみを矯正するアイテムもいろいろありますよね。
今回はこの「骨盤のゆがみ」について『ウェルキュア恵比寿』の田母神嘉代先生にお話を伺いました。
取材協力・監修
田母神嘉代先生
柔道整復師。1994年(平成6年)柔道整復師(整骨院、接骨院の国家資格)取得。2015年(平成27年)栗原修カイロプラクティックドクターと共に、ダイエットプログラムを開始させ、「ダイエット」と「整体」両方の施術を行っている。
⇒『ウェルキュア恵比寿』公式サイト
■「骨盤がゆがむ」ってどういうこと?
――よく「骨盤のゆがみ」といわれますが、これはどのような状態なのでしょうか?
田母神先生 産後の骨盤のゆがみはご出産を経験した皆さんがとても気になることだと思います。妊娠した女性の女性ホルモン(リラキシン)の分泌が盛んになり、骨盤は少しずつ出産準備に向けて開いていきます。
――女性は男性に比べて骨盤の開口部分が大きいといわれますが、ホルモンの分泌でそのような準備がされるのですね。
田母神先生 出産時には緩みきった状態がピークになり、骨盤の関節が開くことで、骨盤全体が大きく広がった状態になっているのです。産後まもなくリラキシンホルモンの分泌は終息しますが、一度緩んだ靭帯や関節の結合を戻すには、産後の生活の仕方や個人差もありますが、少し時間はかかります。
――妊娠中と出産後で体の変化はやはり大きいのでしょうか?
田母神先生 妊娠中はおなかが大きくなるにつれて上体を大きく反らせてバランスをとっています。 そして、出産後には急におなかが軽くなるわけですから、 体の重心バランスがとりづらくなります。急激な体の変化により体に大きな負担がかかるのです。
そんな時期に、休む間もなく授乳、抱っこ、おんぶ、入浴など赤ちゃんの世話をしなければなりません。ここで生活リズムが崩れます。アンバランスな姿勢や習慣は、骨盤がゆがむ原因になってしまいます。産後の生活習慣は体に負担がかかるのです。
■骨盤のゆがみを治す方法は?
――産後に注意すべきなのはどんな点でしょうか?
田母神先生 妊娠中に緩んでしまった筋肉・靭帯をしっかりと元に戻すことが必要です。それに伴い骨盤の腸骨・恥骨・尾骨・股関節の分析がとても重要になってきます。産後には骨盤をバキバキといった矯正は絶対にしては駄目です。
体の状態に合わせて骨盤および筋肉の調節をすることが体の回復や日々の生活による負担を軽減することにつながります。
――骨盤のゆがみを矯正するのに、自分でできるストレッチなどがあれば教えてください。
田母神先生 産後の体、特におなか回りの骨盤底筋群の筋力低下は著しいです。ですが、骨や関節を支えている靭帯が伸びきってしまっている状況を考慮して、激しい筋力トレーニングは避けたほうがよいでしょう。
そこで、体に負担をかけずおなか回り特にウエストラインを効率的にトレーニングする方法をお教えしたいと思います。これは、寝ていても立っていてもできるトレーニングですので、忙しいママには最適です。
1.スタート姿勢
※立ち姿勢も自然な状態で。寝姿勢はあおむけがよいでしょう。
2.口を開け「はあーー」と息を出せるだけ長く出します。
声に出しても出さなくてもいいです。このとき、横腹がぐうっと内側に入っていくように感じられれば、やり方は合っています。
外出して信号待ちのとき、授乳の合間、洗濯物を干しているときなど、一日10回くらいは気が付いたときに行うようにしてください。
3.2ができるようになったら、同時に膣とお尻の穴も閉じるように意識しましょう。
※2を行うだけでも骨盤底筋にも作用しますので、3ができなくても大丈夫です。
――プロポーションを元に戻そうと頑張る女性が多いようですが?
田母神先生 女性にとっては産後の調節の目的はやはり痩身ではないかと思います。痩身において骨盤のバランスが整っていることはとても重要だと思います。当治療院でも産前や産後の施術を行っています。ぜひ一度ご相談いただければと思います。
――骨盤のゆがみが気になるという女性にアドバイスをお願いいたします。
田母神先生 産後は、授乳の姿勢や、ベビーベッドに子供を寝かせる、抱き上げるなど、通常の姿勢よりかなりの回数で前かがみになることが多くなります。この姿勢が、骨盤にとっては大きな負担となってしまします。
特に授乳時は、授乳枕や大きめのクッション、毛布を丸めたものなどで、しっかり赤ちゃんの位置を高くするようにします。「赤ちゃんがちゃんと母乳を飲んでるかな?」とわが子のかわいい姿をずっと見ていたくなるでしょうが、できれば、ぐっと我慢をして、目線、頭を下に向け続けないようにしてください。
横座りも避けてほしい姿勢のひとつです。初めての子育てでも、ふたりめでも、周りを頼る。治療院や産後調整もそうです。骨盤ベルトもそうです。長く子供たちの成長を見守るために、まずご自身の体の優先順位を下げないでください。
――ありがとうございました。
「産後に骨盤のゆがみによる腰痛に悩まされるようになった」なんて女性も少なからずいらっしゃるようです。赤ちゃんを抱っこして長時間過ごしたりしますから、そこで肩こりを併発するといったこともあるようです。もし産後に「骨盤がゆがんでいるかな?」と思う場合には専門家に診てもらうのがよいかもしれませんね。
(高橋モータース@dcp)