歯に付着している汚れ「歯垢」には、1gあたり約1,000億個もの細菌が含まれています。虫歯や歯周病菌など……。歯磨きをしないでいると、口の中でさらに繁殖してしまううえ、口臭の原因にもなる可能性があります。口の中を清潔に保つためにも、毎日の歯磨きについて見直していきましょう!今回は、歯科医の筆者が「正しい歯の磨き方」を解説します。

■自分に合った「歯ブラシの選び方」って?

まず大切なのは、自分に合った「磨きやすい歯ブラシ」を使うこと。選び方のポイントとしては、

  • 1)ブラシの大きさは歯2本分くらいのものがおすすめです。ブラシの頭部分が大きすぎると操作性が悪く、細かく磨くことができません。

  • 2)毛が硬すぎると歯や歯茎を傷つけてしまうので、「ふつう」や「やわらかめ」にしましょう。「ふつう」タイプのほうが歯面の汚れは取れやすいですが、歯周病で歯茎から出血しやすい人、磨くときに力が入りやすい人は「やわらかめ」タイプのほうが良いかもしれません。

このふたつを意識するようにしてください。


また、歯ブラシの替え時は1カ月ごとが理想です。ブラシが丸まってくると清掃性が劣ってしまいます。ブラシの先端が開いてきたら「替え時」だと思いましょう。


ちなみに、使い始めて1カ月以内に毛先が開いてしまう人は、「力強く磨きすぎ」の可能性があります。歯や歯茎を傷つけてしまう可能性もありますので、少し力を弱めることを意識してもいいかもしれません。


ブラシを清潔に保つためにも、歯磨きの後はきちんと洗って水を切り、日光の当たる風通しの良い乾きやすい所に歯ブラシを置くようにしましょう。

■手用歯ブラシと電動歯ブラシどっちが良いの?


手用歯ブラシと電動歯ブラシにはそれぞれ特徴がありますが、ひとことでどちらが良いとは言えません。正直、きちんと磨けていればどちらでも良いのです。つまり、磨き方が大切ということです。


さて、歯の磨き方でいちばん重要なのは、「ブラシを歯面に当てること」です。そうしないと、汚れはきちんと取れません。ブラシを歯面に直角に当てて1本ずつ磨くことができていれば、手用でも電動でも汚れは取れます。


電動歯ブラシはブラシ部分を自動で動かすために歯ブラシの頭がどうしても大きくなってしまい、操作性が悪いものもあります。また、歯面に当たっていなくても振動があるので磨いた気になってしまうこともあるので注意が必要です。


歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を使用しましょう。歯間ブラシが入る隙間がない人が無理して使うと、かえって歯茎を下げてしまうことがあるので、デンタルフロスのほうをおすすめします。

■鏡で見ながら歯磨きしよう


歯ブラシが歯面に当てられているかを確認するには、自分の歯を見ながら磨くのがいちばんです。部屋の掃除をするときに、暗い何も見えない状態ではしませんよね?


鏡を見ながら1本ずつ歯を磨くと、少なくとも3分以上はかかります。特に歯の裏側は磨き忘れが多いので、自分の中で順番を決めて上下、表裏きちんと磨くようにしてください。


鏡を使いながら磨くことによって、磨き残しも少なくなると思います。


歯科では歯全部の本数、歯面全部に汚れがついていたときを100%と考えたときに、磨き残しを20%以下にすることが目標とされています。


自分では磨けているつもりでも磨き残しはどうしても出てしまいます。たまに汚れを染め出して、磨けていない部分を鏡で見て確認することも歯磨きを上達させるのに役立ちます。

■夜の歯磨きは特にていねいに!


歯磨きは、朝、昼、夜と1日3回食事後にすることが理想です。朝起きてすぐ歯磨きをする方もいますが、食事の後にまた歯垢が形成されるので、起きてすぐはうがい程度にして食事後に磨いたほうが良いと思います。


歯磨きのタイミングですが、30分後に磨いたほうが良いという意見があります。たしかに、酸蝕症(さんしょくしょう)の方、酸性の強い(酸っぱい)食べ物を好む方は、歯を傷つけないために少し時間を置いたほうが良いかもしれません。


しかし、虫歯予防の観点からみると、なるべく早く食べ残しや虫歯細菌の餌となる糖を取り除いてあげたほうが効率的なので、食後すぐに歯磨きをしても良いと思います。食後の口の中は酸性になり、歯が溶けやすい状態になります。食後、早めに歯磨きをして口の中が酸性になっている時間を短くすることが大切です。


また、寝ている間は唾液の量が少なくなるので口の中は細菌が繁殖しやすい環境になります。なので、夜の歯磨きは特にていねいに行ってください。「夕食後に歯磨きをしたから、その後お菓子やジュース、お酒などを飲んでも、そのまま寝て大丈夫」と思っている人は改めてください。どんなに眠くても必ず歯磨きをするようにしましょう。



最後に、歯磨きをしたあとはぜひ、舌で歯を触ってみてください。ザラザラしている感触があったら、それは歯ブラシが歯面に当たっていない証拠かもしれません。正しい歯の磨き方が身につくと、汚れがたまっているときに口の中が気持ち悪く感じるようになります。そして自然と「歯磨きをしたい!」と思うようになってきます。


歯面に汚れがなければ虫歯にはなりませんし、歯周病も進行しません。正しい毎日の歯磨きで、大事な自分の歯を守ってあげましょう。

(菊地莉音/歯科医師-健康検定協会-)