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卵巣嚢腫ってどんな病気?再発の可能性や妊娠への影響を知りたい!

2017.09.04

卵巣嚢腫ってどんな病気?再発の可能性や妊娠への影響を知りたい!


妊娠を望む女性にとって、卵巣の病気は最も気になるもの。しかし、卵巣は「沈黙の臓器」にカウントされるほど自覚症状が出にくいので、病気の恐ろしさをしっかりと理解して、定期的に検診を受けることがとても大切です。


そこで今回、卵巣の病気のひとつである「卵巣嚢腫(のうしゅ)」について、産婦人科専門医兼医学博士としてご活躍の遠藤周一郎先生に伺いました。

取材協力・監修


遠藤周一郎医師


臨床研修医時代、緊急帝王切開によって母児ともに助かったお産を目の当たりにしたことで産婦人科の分野に強い興味を覚え、2008年、産婦人科の門を叩く。大学院では、特に現在臨床的に明らかとなっていない男性不妊症について研究をおこない博士号を取得。順天堂大学附属浦安病院で10年間の臨床経験を積んだ後、自らの育った我孫子で開業。また、大学院時代から続けているブログ「産婦人科医きゅーさんが本当に伝えたい事」でアメブロ公式トップブロガーに認定され、2016年には、『産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと』(KADOKAWA)を上梓している。


遠藤レディースクリニック

http://endoclinic.mamacaremail.info/index.html


産婦人科医きゅーさんが伝えたい事

http://ameblo.jp/kyusan0225/

■卵巣嚢腫の症状とは?

―卵巣嚢腫にかかるとどんな症状が現れますか?


卵巣嚢腫とは、卵巣に腫瘍ができて腫れてくる病気です。腫瘍が小さいうちは自覚症状がほとんどありません。ただ、腫瘍の内容物には様々なものがあり、たとえば卵巣内で子宮内膜細胞が増えてしまう「子宮内膜症性嚢胞(=チョコレート嚢腫)」の場合、月経時に増殖した子宮内膜細胞から子宮を収縮するホルモンが産生されるため、月経困難症の症状が認められることなどがあります。


ちなみに、腫瘍が大きくなると腹痛が起こりそうに思えるかもしれませんが、卵巣の周囲は意外とスペースがあるため、腫瘍が10cmや20cmになってもまったく痛みや違和感がないことも多々あります。


―では、どうすれば早期発見できるのでしょうか?


定期的な経腟超音波検査をおこなうほかありません。自治体で1~2年起きに子宮がん検診が実施されているので、そのときに必ず経腟超音波検査も受けるようにしましょう。

■卵巣嚢腫の治療法とは?

―検査で卵巣嚢腫が見つかった場合、どのような治療をおこなうのでしょうか?


卵巣嚢腫の種類や大きさによって異なります。


まず、子宮内膜症性嚢胞に対しては、基本的に子宮内膜症に対するものと同じ治療方針を取ることになります。腫瘍が大きくない場合、低用量ピルやジェノゲストという黄体ホルモン製剤を服用することによって進行を抑えます。しかし、腫瘍が大きくなると将来癌化するリスクが高まるため、手術によって腫瘍のみを摘出するか、もしくは片方の卵巣と卵管をあわせて摘出する「附属器摘出」をおこないます。卵巣はふたつあるため、片方の附属器を取り除いたとしても、妊娠、出産は可能です。


また、卵巣内に脂肪や髪の毛、骨といった様々な組織が増殖する「奇形腫」の場合、基本的に薬による治療はなく、ある程度の大きさになったら手術がすすめられます。奇形腫は、お腹の中で卵巣が捻じれて非常に強い腹痛をきたす急性疾患「卵巣茎捻転(けいねんてん)」を起こしやすい嚢腫なので、注意が必要です。


卵巣嚢腫の内容物はそのほかにも様々ありますし、また、病巣の大きさも考慮しながら治療方法を決めることが必要なので、MRIと呼ばれる画像診断によって精査をおこなって、どんな治療方法が最善であるかを考えていきます。


―手術しても再発することはありますか?


残念ながらあります。特に子宮内膜症性嚢胞の場合、目に見えない子宮内膜細胞が残存している可能性もあり、術後も定期的な検診を受けることが大切です。また、再発を予防するために、術後、低用量ピルを服用することもすすめられています。


奇形腫については、両側の卵巣に発生するケースも多く、経過観察中に、手術した卵巣と逆側の卵巣が大きくなることもあります。

■卵巣嚢腫と妊娠の関係

―手術によって妊娠しにくくなることはないですか?


患者の年齢や病巣の見た目の悪性度にもよりますが、手術をおこなう場合、基本的には「嚢腫摘出術」と呼ばれる、腫瘍のみを摘出して卵巣本体は残存させる方法が選択されます。そのため、妊娠できなくなるということはないのですが、腫瘍をはがす際にどうしても卵巣内の卵子が一定数減ってしまうので、子宮内膜症嚢胞に対して何度も手術を繰り返すなどすると、卵子が非常に少なくなって妊娠しにくくなったり閉経が早くなったりしてしまいます。


―ありがとうございました。



定期健診によって万が一卵巣嚢腫が見付かった場合、手術が必要なら手術を受け、その後も定期的に検診を受け続けなければいけないことを考えると、少しでも早い段階で病気を発見できたほうがいいのは言うまでもありません。お住まいの市町村の無料検診を利用するなどして、今の自分のみならず将来の自分の身体もケアしてあげてくださいね。


(取材・文 松本玲子)


↑遠藤先生の著作『妊娠・出産を安心して迎えるために 産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと』(KADOKAWA)

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