幼少のときに、歯にワイヤーを付けて直すというイメージがある歯列矯正。しかし、治さないまま大人になり、歯並びが良くないのが原因で、思いっきり笑ったり、人前で話したりすることにコンプレックスを抱えている人も少なくないようです。


そこで今回は、気になる大人のための歯列矯正について、くろさわ歯科医院の前田昌孝先生にお話を伺ってきました。

取材協力・監修



前田昌孝 先生


八王子歯周病インプラントセンター くろさわ歯科医院副院長。奥羽大学歯学部歯学科卒業後、宝沢伊藤歯科医院、インプラントセンターでの勤務を経て現職。審美歯科・根管治療を中心とした一般歯科治療、インプラント治療などを専門に治療を行う。


▼くろさわ歯科医院

http://www.kurosawa-dc.jp

■そもそも歯列矯正って?

――歯科矯正とは、具体的にどういうものなのでしょうか?


前田先生

ワイヤーやマウスピースを使って歯の位置を動かし、歯並びや噛み合わせを整える治療のことです。


歯列矯正には、子どもの時に行う『小児矯正』と、大人になってから行う『成人矯正』があります。小児矯正は12歳前後から、成人矯正は20歳以降が対象になります。まずは歯並びを見せていただいて歯の大きさや数、骨格などに合わせて治療方針を決めていきます。


――人によって、治療法が異なるのですね。どんな方法があるのでしょうか?


前田先生

当院で行なっているのは主に3つです。


  • ブラケット矯正


歯の表側にブラケットというボタンのような器具を付け、ワイヤーをかけて、矯正する方法です。もっともスタンダードな治療法で、歯の位置を大きく動かす必要のある人の場合は、この方法が最適です。


  • 舌側矯正


歯の裏(舌側)にブラケットとワイヤーを付ける治療法です。歯の表側にブラケットを付けるよりも技術的に治療が難しかったり、虫歯になりやすかったりといったデメリットがあります。


  • インビザライン


患者さんの歯型をとった透明のマウスピースを付けて矯正していく方法です。マウスピースは取り外し可能で、一週間ごとに交換し、少しずつ歯を動かしていきます。そこまで歯を大きく動かす必要のない人はこの方法で矯正できます。


――口の中に異物を入れておくことに抵抗がある人も少なくないと思います。それぞれ生活していて違和感はあるのでしょうか? 食事しにくかったり、話しづらかったり……。


前田先生

いずれの矯正方法も、最初は違和感がありますね。口が動かしにくくなったり、ご飯が食べづらくなったりという人もいます。歯は動かすと、最初少しだけ緩むんです。そんな状態だと、物を噛む瞬間に痛みが生じるので、矯正の初期は固い物が食べられなくなります。だいたい一週間程度で感じなくなりますよ。

■見た目でわかりづらい矯正方法は?

――歯列矯正したくても、やはり見た目が気になるという女性が多いと思います。人前で話すときなどに、できるだけ矯正器具が見えない方がいいのですが。


前田先生

外から矯正器具が見えないのは、舌側矯正ですね。しかし、上記でも述べたようなデメリットがあるほか、矯正器具が舌に触れるので違和感は大きいです。


通常のブラケット矯正は、歯の表面に器具を付けるため、外から見えてしまいますが、白いセラミックのものや銀色のメタル、クリアタイプなど、使用する材質に種類があります。セラミックブラケットであれば、目立ちにくいですよ。


インビザラインも透明なマウスピースをかぶせるだけなので、周囲の人からは気付かれにくいです。


――それぞれ治療法によって期間や価格は異なりますか?


前田先生

いずれも期間は2年間が目安です。価格は、どの治療法を選択するか、またセラミックにするかメタルにするかなど器具の材質によって変えている歯科医院が多いと思います。私が知る中ではだいたい70〜140万円くらいです。健康保険が適用されないため、治療費は全額自己負担になります。

■歯列矯正をする女性は多い!

――歯列矯正を希望する方はどんな方が多いですか?


前田先生

当院だと、圧倒的に女性が多いです。もちろん男性もいらっしゃいますが。30代以降の女性で、時間や金銭的な余裕ができてきた方が中心ですね。虫歯治療などで歯科医院に通っていて、歯並びが悪いまま処置をしてきてしまったという方が多いです。


――歯並びが悪いと、歯磨きがしづらくなって虫歯になりやすいこともあると聞いたことがあります。


前田先生

そうですね。また、歯列矯正中も器具を付けている状態だと歯磨きがしづらいので、虫歯には十分気を付けていただきたいです。ブラケットは一度付けると、次の診療時までずっと付けている状態なので、ご自身でしっかりケアしなくてはなりません。毎日の歯ブラシにプラスして、歯間ブラシとフロスの使用を推奨しています。


――最後に、歯列矯正に興味がある読者に一言お願いいたします!


前田先生

高額で、時間もかかる歯列矯正ですが、歯は一生もの。歯並びを改善できれば、虫歯などの健康トラブルが発生しにくくなるのはもちろん、笑顔が増えるなどメンタル的にもよい効果があると思います。患者さんの中には、やはり「長年悩んでいた」という方が多いんです。悩んでいる方、気になっている方はぜひ一度医師に相談してみてください。


歯科医院によって、治療法や価格などが異なる歯列矯正。悩んでいる人は、自分の条件に合う歯科医院を探してみてくださいね。


(取材・文:阿部綾奈 編集:ノオト)