先日配信した「薬、カフェイン、風呂、運動。内科医が教える。二日酔い対策にしてはいけないこと6つ」が好評でしたので、その続編として今回は、「二日酔いの対策にするといいこと」をとりあげます。悪酔い、二日酔いを防ぐにはどんな方法があるのか、「飲酒前」、「飲酒中」、「飲食後、寝るまで」、「飲酒後」にできることに分けて、前回に続き、大阪府内科医会副会長で泉岡医院(大阪市都島区)の泉岡利於(いずおか・としお)院長に聞きました。

取材協力・監修



泉岡利於氏


医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人社団宏久会泉岡医院院長。


泉岡医院: 大阪市都島区東野田町5-5-8

http://www.izuoka.com

■水分とビタミンは二日酔い対策に欠かせない

「なぜ二日酔いになるのか」、「飲みすぎのアルコール量」、「二日酔い対策にしてはいけないこと」などについては、前回の記事で泉岡医師に詳しく教えてもらいましたので、こちらをお読みください。


二日酔いは、同じ量のお酒を飲んでもなる日とならない日があります。今日は大丈夫かもと楽観的に考えて、対策をしないこともあります。泉岡医師は、「前日の睡眠時間が少ない、その日の体調がよくない、お酒を飲む日が続いているなどだと、少ない量でも二日酔いになります。体調万全でも、飲み過ぎは体に大きな負担をかけます。次に紹介する方法を実践しましょう」と話します。


では、さっそくその方法を見てみましょう。


<飲酒前>


(1)飲酒の前に牛乳をコップ一杯程度飲む

牛乳を飲んでから2~3時間は、含まれる脂肪分が胃に膜を張ってアルコールの吸収を穏やかにします。


(2)飲酒の前に市販のウコンドリンクを飲む

ウコンに含まれるクルクミンという成分は、アルコールの分解速度を速めます。ただし、ウコンは漢方薬の一種なので、二日酔いをどれくらい防げるかには個人差があります。


(3)飲酒の前に食事をする

空腹の状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収が速くなるため、血液中のアルコール濃度が急激に上昇します。肝臓での分解が追いつかなくなり、二日酔いの原因となります。飲酒の前に食事をしましょう。


<飲酒中>


(4)お酒と同量の水を飲む

脱水症状を防ぐために、お酒の量と同じ程度の水をあらかじめテーブル上に用意しておき、交互に飲みます。飲酒中に限らず、飲酒前、飲酒後も水分をたくさん補給してください。


(5)食事とお酒がセットの席では、先に脂肪分を少量食べ、次にタンパク質を多めにする

飲酒の前にオリーブオイルやバター、チーズ、ナッツなど消化に時間のかかる脂肪分を少量食べておくと、アルコールの吸収を穏やかにします。「少量」とするのは、カロリー過多にならないためにです。


タンパク質は、肝臓がアルコールを分解する働きを促進するため、肉や魚、チーズ、卵、豆類などを中心としたメニューを選びましょう。


(6)貝類を食べる

しじみやあさり、牡蠣(かき)などの貝類に豊富に含まれるタウリンは、肝臓の細胞を保護し、肝臓の機能を高める働きがあります。


(7)かんきつ類のジュースを飲む

お酒や水を飲む合間に、オレンジジュースやグレープフルーツジュースを飲むのも良いでしょう。ビタミンCやビタミンB1を多く含み、アセトアルデヒドの分解を促進します。


(8)アルコール度数が高いお酒に替えるときは飲むペースを落とす

ビールやサワーといったアルコール度数が低めのお酒から、日本酒やワイン、焼酎などに替えるときは、飲むペースを意識して落としましょう。アルコール度数の低いお酒のペースで度数の高いお酒をぐいぐい飲むと、血液中のアルコール量が一気に増えて酔いやすくなります。


(9)おつまみにはチョコレートやナッツ

アルコールの分解には糖が使われるので、飲酒をすると脳の働きに必要な糖分が不足して血糖値が下がり、頭痛やめまいが起きます。チョコレートは、不足しがちな糖分を補います。また、ナッツ類に含まれるビタミンEは、アルコールの分解を促進します。ただし、どちらもカロリーが高いので食べ過ぎには注意しましょう。


<飲酒後、寝るまで>


(10)飲酒後のシメのデザートは和菓子、飲むのは緑茶

和菓子の材料によく用いられるアズキには、サポニンやカリウムが多く含まれています。これらは利尿作用を促し、水分と一緒にアセトアルデヒドを体外に排出する働きがあります。また緑茶に含まれるビタミンCはアセトアルデヒドの分解に必要な成分で、肝臓の働きをサポートします。ただし、糖尿病の方は主治医にご相談ください。


(11)寝る前にレモン水やグレープフルーツジュースを飲む

レモンやグレープフルーツに含まれる「フルクトース」という果糖やビタミンC、ビタミンB1は、アセトアルデヒドの分解を促します。また、これらのジュースに含まれるクエン酸が肝臓の機能を高め、アルコールの吸収、分解を促します。レモンはレモン水で、グレープフルーツは果汁100%のタイプを飲みましょう。


<翌朝>


(12)翌朝の起床時にコーヒーを飲む

アルコールには血管を拡張する作用があります。これが原因で脳の血管が広がり、二日酔いの頭痛となります。コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用があるため、頭痛を軽減します。ただし、カフェインは胃酸の分泌を促す働きがあり、起床後すぐにコーヒーを飲むと、アルコールでダメージを受けている胃にさらに負担をかけます。コップ一杯の水を飲む、何か食べ物を口にしてから、コーヒーを飲みましょう。


(13)かんきつ類のジュースや緑茶、トマトジュースを飲む

これまで紹介したオレンジジュース、グレープフルーツジュース、レモン水、緑茶などは、翌朝に飲んでも二日酔いを和らげる対策になります。ほかには、トマトジュースも対策になります。トマトに含まれるリコピンはアセトアルデヒドの作用を抑え、グルタチオンはアセトアルデヒドの毒性を無毒化する働きをします。


(14)酔いが冷めたらシャワーで体を温める

完全に酔いが冷めてから、シャワーなどで体を温めて肝臓の代謝を良くするのも対策です。酔いが残っているときのシャワーや入浴は急激な血圧の低下をきたすことがあるので注意してください。


最後に泉岡医師は、適切な飲酒量についてこうアドバイスをします。


「お酒の適量は個人の体型や体質によって異なります。日本人はアルコールを分解する酵素をあまり持っていない場合が多く、顔が赤くなる人はこのタイプに当てはまります。


二日酔い対策をしなくてもよい程度の少量でお酒を楽しむ習慣を身につけることが最大の二日酔い対策になります。もし、飲み過ぎていつもより胃のもたれや吐き気が強い場合は、医療機関を受診してください。点滴により体内のアルコール濃度を下げる処置を行います」


シーン別に4つのタイミングで二日酔い対策の方法を知ることができて理解しやすく、次のお酒の席ではすぐに実践できそうです。飲酒後の帰り道では、コンビニなどで、かんきつ類のジュースやトマトジュースを翌朝の分まで買っておくようにしたいものです。


(取材・文 小山田淳一郎/ユンブル)