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手術になるのはどんなとき?子宮内膜増殖症の治療法って?

2017.09.26

手術になるのはどんなとき?子宮内膜増殖症の治療法って?


「子宮内膜増殖症」は、「子宮内膜症」に名前も発生原因も似ていますが違う病気です。また子宮内膜増殖症は80%が自然に小さくなるものですが、その種類によっては「子宮体がん」に進行する可能性があります。今回は、この子宮内膜増殖症の治療法についてご紹介します。

記事監修



中林稔 先生


産婦人科専門医。日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院産婦人科で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。医師+(いしぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/126

■子宮内膜増殖症ってどんな病気?

子宮内膜増殖症は「子宮内膜が過剰に増殖する病気」です。そもそも子宮内膜は、受精卵の着床に備えて厚くなり、着床がないと剥がれ落ちる、という性質があります。赤ちゃんのベッドの役割を果たす組織なのですが、子宮内膜増殖症の場合にはこれが過剰に増殖してしまうのです。

子宮内膜が過剰に厚くなりますので、これによって受精卵の着床がうまくいかなくなったりすれば不妊の原因にもなりますし、また上記のとおり「子宮体がん」になる可能性もあります。子宮内膜増殖症の治療には「薬物治療」と「手術療法」があります。

■子宮内膜増殖症の薬物治療

子宮内膜増殖症は子宮内膜が過剰増殖する病気ですから、子宮内膜の増殖を抑えれば防げます。子宮内膜は女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が増えることによって増殖します。つまりエストロゲンが優位な状態になると子宮内膜は増殖するわけで、この状態を抑えることがまず治療になります。これは、体内の女性ホルモンの量を管理して治療しますので「ホルモン療法」と呼ばれることもあります。


そのため薬物治療としては以下のような方法があります。


  • 黄体ホルモン(プロゲステロン)を投与する

プロゲステロンには抗エストロゲン効果があるため、最もよく使われます。プロゲステロンには「エストロゲニックプロゲストーゲン(エストロゲン効果あり)」「ノンエストロゲニックプロゲスト-ゲン(エストロゲン効果なし)」がありますが、子宮内膜に効果の高い「ノンエストロゲニックプロゲスト-ゲン」を使うほうが良いとされます。


  • MPA(酢酸メドロキシプロゲステロン)を投与する

MPAは体内のプロゲステロンを補充し、抗腫瘍作用があります。なおMPAの投与量と投与法は、症状の違い、患者の年齢などによって違ってきます。例えば、子宮体がん化する可能性の高い「複雑型子宮内膜異型増殖症」(上記の「子宮内膜増殖症とは? 原因と症状」を参照してください)の場合には、高用量のMPAが経口投与されることが多いのです。


このような薬物治療によって進行を遅らせ、自然治癒に向かわせることを狙います。

■子宮内膜増殖症の手術療法

子宮内膜増殖症でも病変の腺組織に「異型」がある場合には「子宮内膜異型増殖症」と呼ばれ区別されています。

  • 子宮内膜増殖症

…病変の腺組織は正常なもの。異型がない。がん化のリスクは低い。

  • 子宮内膜異型増殖症

…病変の腺組織に異型があるもの。がん化のリスクが高い。


 (さらにそれぞれで「単純型」「複雑型」に分類されます)

異型があるかないかは、組織を検査して診断されます。子宮内膜増殖症では、薬物治療、手術療法がありますが、80%が自然に退縮することもあり、異型のない場合には経過観察または薬物療法が選択され、組織に異型があり「子宮内膜異型増殖症」と診断された場合には、「子宮体がん0期」であるとして手術療法が勧められることになるでしょう(進行状況にもよります)。


子宮内膜増殖症の手術療法ですが、根治させるには「子宮の全摘出」、また症状によっては「卵巣」「卵管」も含めて摘出する手術が選択されます。手術前に病変を確認する手段として「子宮内膜全面掻爬(そうは)術」が行われます。


これは専用の器具を使って子宮内膜をこそぎ取る手術です。いわば、過剰増殖する組織も含めて子宮内膜をリセットするわけです。そこで組織を検査し、がんと合併していないことが分かり、また挙児希望がある場合には子宮を温存するために高用量MPA投与などが行われます。


『クリニカルカンファレンス(腫瘍領域);1.子宮体癌の診断から治療まで 2)子宮内膜増殖症の管理』によれば(記事末の引用元記事を参照)、

子宮内膜異型増殖症と診断された15例に(治療法や成績などを十分に説明し、同意が得られた後に)『MPA600mg 6カ月間連日投与による子宮温存療法』を行い、13例(87%)で完全寛解(がんの兆候が全て消失すること)が得られました。1例では治療効果が得られず子宮全摘出を行い、1例ではMPAの投与終了後に経口避妊薬(ピルのことです)を服用中に病変が消失した

とのことです。


もちろん症例が少ないですし、その後の経過なども気になるところですが、子宮全摘出を望まない人にとっては良い結果といえるでしょう。しかし、子宮内膜異型増殖症では、がんとの共存・合併が高率であり得るため、挙児希望がない場合には子宮を摘出したほうが好ましいとされています。



「過多月経」「不正性器出血」「貧血」といった、子宮内膜増殖症の自覚症状があったら、専門医を受診し検査を受けるようにしましょう。

⇒引用元記事:『クリニカルカンファレンス(腫瘍領域);1.子宮体癌の診断から治療まで 2)子宮内膜増殖症の管理』

http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-293.pdf

(高橋モータース@dcp)