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めまい、立ちくらみを何とかしたい!漢方専門医に聞く、薬の選び方

2017.09.28

めまい、立ちくらみを何とかしたい!漢方専門医に聞く、薬の選び方


猛暑や極寒、梅雨や季節の変わり目のころ、また、起床時や立ち上がったとき、あげくには何もしていないときにも襲ってくるめまいや立ちくらみ。体質なのか体調なのか、原因不明のまま対策をしていない人も多いのではないでしょうか。


漢方専門医で、臨床内科専門医、また消化器内視鏡専門医でもある吉田クリニック(大阪府八尾市)の吉田裕彦院長は、「放っておくと症状が強くなり、仕事や日常生活に差し支える場合が少なくありません。体質や体調を見つめながら、漢方薬で改善する方法があります」と話します。詳しく聞いてみました。

取材協力・監修



吉田裕彦氏


臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。


医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

■自律神経のバランスの乱れが原因

――めまいや立ちくらみの原因を教えてください。


吉田医師 脳などの病気ではない場合、最も多いケースは、「良性発作性頭位(とうい)めまい症」という症状です。頭を動かしたときや起床時などに、グルグルと回転するような感覚が数十秒間続いて、吐き気を伴うことがあります。


これは、体の平衡感覚を司る内耳の三半規管の耳石の一部がはがれて起こると言われ、自律神経のバランスの乱れが原因となることが多いようです。


また、内耳の水分代謝が滞って水が溜まる「メニエール病」や、女性の場合は月経に関する血液量、またホルモンの影響でめまいが起こることもあります。


――めまいは、薬を飲んでさっと治るものではないようです。西洋医学と漢方医学では対処法は違うのでしょうか。


吉田医師 西洋医学の場合、病変がなければ、生活習慣の指導をしたうえで、抗めまい薬や抗精神不安薬、また、症状に応じてビタミン剤や鉄分、利尿の薬などを処方し、体調を整えるようにします。


漢方医学では、「気・血・水(き・けつ・すい)」という「体を構成する要素」の考え方があり、症状の原因を西洋医学にはない角度からとらえます。また、主な症状と別の不調、それに体質や体格も考え合わせてその人に合う漢方薬を処方します。肩こりや頭痛、憂うつ感など複数の症状を伴うことがあるめまいや立ちくらみのケアは、漢方薬が向いていることがあります。


――めまいや立ちくらみの対策について、漢方医学ではどのように考えるのでしょうか。


吉田医師 めまいや立ちくらみは、「水(すい)」の代謝が滞って内耳に水が溜まるため、体のエネルギーである「気」の巡りをさまたげると考えます。漢方薬は数種の生薬を組み合わせているため、複数の原因があってもひとつの薬で対応します。

■漢方薬は、自分の体力、症状などから選ぶ

ではここで吉田医師に、めまい、立くらみを改善する漢方薬を教えてもらいましょう。これらは市販もされています。


<半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)>


体力があまりなくて、冷え性、胃腸の消化機能が低下している人の、めまい、立ちくらみ、のぼせ、動悸(どうき)、息切れ、頭痛、耳鳴り、憂うつ感がある場合に向きます。


<苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)>


体格がやせ型から標準くらいで、体力が低下している人の、めまい、立ちくらみ、息切れ、動悸(どうき)、頭痛、のぼせ、憂うつ感、尿量の減少などを伴う場合に向きます。


<五苓散(ゴレイサン)>


「水」の代謝を改善する代表的な薬です。体力に関わらず利用できます。のどが渇きやすい、尿量の減少がある場合で、めまい、乗り物酔い、吐き気、嘔吐、下痢、胃腸炎、頭痛、むくみ、夏バテ、二日酔いなどに向きます。


<加味逍遙散(カミショウヨウサン)>


体力があまりなく、自律神経やホルモンのバランスの失調、月経異常、更年期症候群などでイライラや疲労感が強い、頭痛、肩こり、めまい、冷えとのぼせが交互に現れる、便秘、不眠などに向きます。


<当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)>


やせ型で体力がなく、貧血、冷え性、月経不順があるなどで、下腹部痛、頭重感、倦怠感、めまい、立ちくらみ、肩こり、腰痛、動悸などに向きます。


<桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)>


体力は普通以上にあり、月経不順、月経痛があり、上半身はのぼせやすく下半身は冷えて下腹部痛があるなどの場合の、めまい、肩こり、頭痛、また、シミや湿疹、皮膚炎になりやすいなどの場合に向きます。


最後に吉田医師は、「漢方薬のこういった特徴からして、まず、自分の体質や体格を見つめてから選んでください。2週間服用しても改善が見られない場合は、耳鼻咽喉科、内科などを受診しましょう」


めまい、立ちくらみの対策には漢方薬という選択肢があること、また選ぶときには、頭痛や胃腸の不調、冷え、憂うつ感など、伴う症状と体質、体格も考え合わせるとよいということです。もう放置をせずに、自ら積極的に改善したいものです。


(取材・文 小山田遥/ユンブル)