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セーターを洗濯したら縮んでしまった
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お気に入りの服にシミができてしまった
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クリーニングに出したのに、なんだかカビ臭い
冬物の洗い方からしまい方まで、上手なお手入れ方法をお伝えします。
冬物の服って、かさばるし洗濯しづらいし……。片付けるとき、けっこう悩みませんか?
コートやジャケット、マフラー、セーター、すべてクリーニング出すのはお金がかかるので避けたいところ。セーターは、ちょっと気をつければ縮むことなく自宅でもきれいに洗うことができます。今回は、冬物の洗濯方法と片付け方について、テキスタイルアドバイザー(衣料管理士)の筆者が解説いたします。
■まずはタグの「洗濯表示」をチェック!
冬物に限ったことではないのですが、お洗濯前にはタグの「組成表示」と「取扱い絵表示」を確認しましょう。
・組成表示
組成表示はその洋服が何でできているかを表し、「綿、麻、絹、毛、ポリエステル、ナイロン、アクリル」などが記されています。
たとえば、
表地
毛 100%
裏地
ポリエステル 100%
など。
なかでも「毛」と「絹」は、洗剤と洗い方に注意が必要です。そして、冬物の多くはこの「毛」でできていますから要注意。後ほど詳しく説明させていただきますね。
・取扱い絵表示
取扱い絵表示は、その洋服をどのように取り扱えばいいかを表すもので、「洗濯、クリーニング、アイロン、漂白」などの方法が絵で示されています。
この取扱い絵表示が、2016年12月に変更になったことを、皆さんはご存知でしょうか?これまでの22種類から、41種類に増えました。これまでと違う絵表示に戸惑ったら、消費者庁のHP(※)などを確認してみてください。
※家庭用品品質表示法 | 消費者庁
http://www.caa.go.jp/hinpyo/guide/wash_01.html
■毛・ウールの洗い方
冬物の組成表示には「毛」または「ウール」と書いてあるものが多いと思います。これは羊毛つまり羊の毛です。私たちの衣類には羊以外の動物の毛も使われますが、その場合には動物の名前で、カシミヤ・アルパカ・アンゴラと記されます。これらの動物の毛を洗う場合には、洗い方と洗剤の選び方に特に注意が必要です。
・基本は「手洗い」
冬物の服でも、取扱い絵表示に「水洗い可能」とあり、「ドライクリーニングのみ」と書いていなければ、自宅で洗うことができます。
「手洗い表示」があるものは、洗面器や洗面台の洗面ボールに水かぬるま湯を入れて、やさしく手で押し洗いしましょう。ゴシゴシと揉み洗いをするのは避けてください。
毛には「スケール」という特徴があります。
スケールとは、毛の表面のうろこ状のギザギザのことです。洗濯をすると水分を吸って広がるので、この状態でゴシゴシと揉み洗いをすると、広がったスケール同士が絡み合って硬くなり、縮んでしまうのです。
これを「フェルト化」といいます。手芸などで使うフェルトは、毛をアルカリ性の水中でゴシゴシと揉んで作ります。毛のセーターをアルカリ洗剤でゴシゴシ揉み洗いしたり、洗濯機で激しく洗ったりすることは、フェルトを作っているのと同じこと。縮んで手触りが悪くなるのは当然です。
すすぎの際も同様に「やさしく」がポイントになります。柔軟剤には、衣服をふんわり柔らかく仕上げる効果と、静電気防止効果があります。脱水は1分程度でOK。10秒、20秒と短い時間を数回繰り返す方がよりダメージが少ないです。脱水後は、バスタオルの上に広げて、端からくるくる巻いてさらに水分を取りましょう。
でも、時間がなくて「洗濯機で洗いたい!」ということもありますね。そんなときは、洗濯ネットに入れて、洗濯機の水流を弱に設定する、またはドライコースを選ぶ、などで対応できます。
・洗剤の選び方
洗濯洗剤には、(成分と液性)が記されていて、液性には「中性」と「弱アルカリ性」があります。
毛を洗濯する際には、「中性」を使って下さい。「毛」の成分であるたんぱく質はアルカリに弱く、弱アルカリ性の洗剤で洗うと生地を傷めることがあるからです。中性のなかでも、「おしゃれ着用」とされているもののほうが衣服へのダメージが少ないので、毛の洗濯にはこちらを選ぶといいでしょう。
・干し方のポイント
ところで、「セーター」と「ニット」の違いをご存知でしょうか?
ニットは日本語で「編物」。糸のループ(輪っか)をつないで作った布の種類のことです。セーター(sweater)はニットでできた頭からかぶって着るプルオーバー型の衣類のこと。語源はsweat(汗をかく)で、「汗をかくほど暖かい衣類」という意味ですね。日本では、衣服そのものをニットと言うこともありますが、厳密には「ニットは素材」ですから、「セーター(ニット素材)」と呼ぶほうがいいのかもしれません。
さて、ニットの特徴は伸縮性があって体にフィットし、動きやすいこと。でも伸縮性があるということは、ハンガーに掛けて干すと伸びてしまいます。特に冬物は毛でできていて重いので、なおさら伸びやすいです。
そのため、ニットは吊るさず平干しするようにしましょう。
■冬物の保管方法
お手入れが済んだ冬物を保管する際も、注意が必要!
毛の成分であるたんぱく質は虫にとっては重要な栄養源なので、シーズンオフの間に食べられてしまう可能性があります。
そこで、防虫剤を使うようにしましょう。大切な服を守りたいからといって、異なる種類の防虫剤を一緒に入れるのはNGですよ。防虫剤同士が反応して溶け出し、衣類を汚してしまうことがあります。防虫効果のある薬剤は空気より重いため、下方向に移動するという特徴があります。隙間だけでなく、衣類の上に置くことも忘れずに。
また、防虫剤を入れたら、できれば密閉状態にすることもポイントです。
防虫剤以外に、脱酸素剤による殺虫という方法もあります。脱酸素剤は酸素を吸着します。お菓子の袋などに入っていて酸化を防いでいるものです。衣類と一緒に入れて密閉状態にすると、酸素がなくなり、虫が生きられなくなります。
ドライクリーニング済のものは、袋から出して、乾燥させてからしまいましょう。そのまましまうと、湿気でカビが発生したり、ドライクリーニング洗剤(有機溶剤)のにおいがこもったりします。
ジャケットなどをかけるハンガーは、厚みのあるものを使って型崩れを防ぎましょう。ニットは重みで伸びてしまうので、ハンガーにはかけず、たたんで収納します。シャツなどは折りじわがつかないようにゆったりと大き目にたたみましょう。クローゼットやタンスの引き出し、衣装ケースなどにしまう際には、スペースに余裕を持たせてゆったりと収納することをおすすめします。
お気に入りの冬服、次の年もきれいに着られるよう、しっかりと丁寧にお手入れしてあげてくださいね。
(Yukie Karube/テキスタイルアドバイザー)