食中毒といえば夏に発生しやすいというイメージがありますが、実は秋にもよく起きています。しかし、同じ食中毒でも夏と秋では発生する原因も異なるのです。今回は、秋に起きる食中毒の種類や予防について解説します。

記事監修



金子奈衣華 氏


栄養士。健康検定協会メンバー。日本化粧品検定協会公式コスメコンシェルジュ、調味料検定も所持。健康、美容など多岐にわたる情報を使い活躍中。


⇒健康検定協会

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■秋に多い食中毒の種類と症状

夏の終わりから秋にかけて、注意すべき食中毒は以下のようなものです。


  • キノコによる食中毒

「マツタケ狩り」に代表されるように、秋にキノコ狩りを楽しむという人もいらっしゃるかもしれません。しかし、キノコによる食中毒には注意が必要です。本来食用に適さない「毒キノコ」を食べて、中毒症状を起こすことがあります。


毒キノコを食べたときの食中毒は、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢、下痢、発汗による脱水症状が主な症状です。場合によってはお酒に酔った状態、狂騒状態になったり、意識がもうろうとすることもあります。


  • キャンプやバーベキュー等、屋外での食事による食中毒

秋の行楽シーズンということで、キャンプやバーベキューに出掛けるという人もいらっしゃるでしょう。こうした屋外で調理をする食事で食中毒を起こすことがあります。


この食中毒はカンピロバクターやO157、サルモネラ菌、ブドウ球菌といった細菌やウイルスが原因です。腹痛、嘔吐、下痢、発熱といった症状が見られます。カンピロバクターによる食中毒では頭痛や発熱といった風邪に似た症状も現れます。


  • 魚による食中毒

毒キノコとは違って魚そのものに毒があるのではなく、腸炎ビブリオという細菌が付着した魚を食べて食中毒を起こすことがあります。


以前はサンマを生で食べることは少なかったのですが、近年は刺し身やすしダネとしても人気があります。新鮮な魚であっても汚染された調理器具などから感染することもありますし、生に近い状態で食べる場合には食中毒の原因となる細菌が生きているかもしれません。


また、毒を持つ魚としては「フグ」が有名です。フグは内臓に毒があり、調理して人に食べさせるためには免許が必要です。しかし、家庭などで免許を持っていない人が調理をしてしまうことがあり、これは大変に危険です。


腸炎ビブリオに感染すると、激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱といった症状が見られます。また、下痢に伴って脱水症状を起こすこともあります。


フグ毒「テトロドトキシン」による中毒の場合は、まず唇や舌先から指先と、末端の痺れが現れます。その後、頭痛、腹痛、歩行困難、言語障害、呼吸困難などといった症状を起こし、最悪は死に至ります。

■食中毒を予防するには?

上記で挙げた食中毒を予防するためのポイントをご紹介します。


  • キノコによる食中毒

キノコの食中毒は、汚染されたキノコを食べているわけではなく、毒を持ったキノコを食べるのが原因で起きています。これを防ぐためには、毒キノコを食べないことです。毒キノコを見分けることは難しく、中には専門家でも一目見ただけでは分からないこともあります。確実に食用と鑑定されたキノコを食べるのが安全です。


  • キャンプやバーベキュー等、屋外での食事による食中毒

屋外での調理では、特に生肉や二枚貝の扱いに注意しましょう。温度が上がると細菌も繁殖しやすくなるので、肉はクーラーボックスで冷やしておくこと、生肉を触った箸やトングを使い回さない、生肉を触ったら手を洗うといったことを徹底しましょう。また、調理の際には十分に加熱するようにしましょう。


包丁、まな板はふたつ以上用意し、すぐ食べる食べ物を切るまな板とこれから加熱する食べ物を切るまな板で分けると安心です。


  • 魚による食中毒

魚に付着して食中毒をもたらす腸炎ビブリオは、真水では生きられないという特徴があります。魚を調理前に水道水で洗浄すると菌が減少します。また、肉と同じように調理器具から汚染されることもあります。まな板、包丁は、使用後は早めに洗い清潔に保っておきましょう。


魚の品質、衛生面にも注意する必要があります。生食用とされているもの以外は過熱して食べましょう。この菌は熱にも弱く、加熱処理をすれば確実に死滅します。

■食中毒が疑われる際の応急処置

食中毒の症状としては下痢、脱水症状が多く見られます。このため、水、お茶、スポーツドリンク等で水分補給をします。寝かせるときは吐しゃ物が気管支に詰まって呼吸困難を起こすこともありますので、吐きやすいよう横向きにします。


食中毒では、体内の毒を体外に出すことが大切です。下痢だからといって下痢止めを服用すると、細菌や毒素を体内にとどめてしまうことになりかねません。薬を服用するのは医師に相談してからにしましょう。


食中毒、あるいは「もしかして」という場合、早めに病院に行って診察を受けましょう。食中毒の場合は内科を受診します。食べたものが残っていれば、持参すれば原因を特定するのに役に立ちます。薬を服用した場合も持参しましょう。



以前は食中毒といえば夏というイメージでしたが、近年は通年食中毒の危険があります。防ぎにくいケースもありますが、自分で確実に予防できる部分もあります。まずはできるところから気を付けていきましょう。


(藤野晶@dcp)