「テニス肘」とは、肘周辺の筋肉の炎症の総称。肘の痛みの中でも一番多い症状であり、テニスをする人がなりやすいのでこう呼ばれています。しかしこのテニス肘、名前は聞いたことがあるものの、どんなときに起こり、どんな症状なのか、知らない方も多いのではないでしょうか?今回は奈良東病院、理学療法士の𠮷本陽二(よしもとようじ)先生に、テニス肘になる原因と予防法についてお話を伺いました。

取材協力・監修



𠮷本陽二氏


医療法人健和会奈良東病院

リハビリテーション科 統括科長(http://www.fureai-net.com/


一般社団法人アスリートケア 理事(http://athlete-care.jp/

大阪府立大学 非常勤講師

専門理学療法士(運動器)

■テニス肘の原因とは?

テニス肘には、「フォアハンドテニス肘」と「バックハンドテニス肘」の2種類があります。フォアハンドでボールを打つときに痛みが生じるか、バックハンドで打つときに生じるかの違いです。


バックハンドテニス肘は、両手打ちでは発症しません。片手打ちのみで発症します。これは、フォアハンドで使用する筋力よりバックハンドで使用する筋力が弱いからです。よって、一般的には、フォアハンドよりバックハンドのほうが多く発生します。


テニス肘は、下肢で作った力を体、肩、腕、ラケットの順に伝えることができていないスイングフォーム(俗に呼ばれている「手打ち」)を続けることで発症します。腕の力が弱い状態で強いボールを打つためには下肢や体の力を利用する必要があります。ところが、手打ちの場合は腕だけの力だけで打つため、肘周囲の筋肉にストレスがかかり、筋肉の炎症が起こるのです。そのため、テニス肘につながります。


たとえば、週1回2時間程度の練習でテニス肘になる可能性は低いですが、勝負にこだわり、強いボールを手打ちで打ち続けるような方は発症のリスクが高くなります。


テニスのみに限らず、バトミントンや卓球、野球も原因になり得ます。そのほか、確率は低いですが、フライパンを扱う料理人、思い荷物を運ぶ運送業の人にも発生する可能性はあります。

■テニス肘の症状は?

症状としてはまず、ボールがラケットに当たった瞬間に肘周辺に痛みを生じます。重症になると肘を曲げ伸ばしするだけで痛みを感じるようになり、さらにひどくなると肘周辺が腫れ、じっとしていても痛みを感じるようになります。ほかには「熱感がある」「赤くなる」「腫れる」が基本的な症状として挙げられます。

■テニス肘を予防するには?

テニス肘は一度発症してしまうと完治するまでに長い時間を要し、再発率も高いため、「ならないように予防すること」が大切です。最も簡単で効果的な予防法は、ガットを緩めに張り、テニスの回数、時間を週1回2時間程度に抑えることです。もし痛みが生じた場合は、無理をせず安静にしましょう。そしてなるべく早めに病院へ行くことをおすすめします。


再発防止に重要なのは、「あまり強いボールを打たないこと」です。また、基本に立ち返って、運動を行う前後に(肘周辺の筋肉に限らず)全身のストレッチをしっかり行いましょう。前述のようにテニス肘の主な原因は「手打ち」ですので、全身の柔軟性を向上させることが必要です。


もし肘に痛みがある場合は、症状が悪化する前にしっかりと生活習慣の改善や運動、ストレッチを行い、保存治療をしてください。そのまま放置して悪化してしまった場合は、手術を行う必要があることも。自分で判断せず、早めに病院へ行き、適切な治療を受けるようにしましょう。


(取材・文 岡田淑永)