咳やくしゃみなどの症状があるときに使用するマスク。花粉症のシーズンにはまとめ買いして毎日使用するという人も多いはず。


でも、なかには体調はまったく問題ないのに、マスクが手放せないという人も存在します。そんな人たちは「マスク依存症」と呼ばれ、伊達メガネならぬ伊達マスクをして外出するのだとか。マスクに依存してしまうのは何故なのか、心理カウンセラーの青柳雅也さんにお話を伺いました。

取材協力・監修



青柳雅也さん

 

カウンセリングルーム アンフィニ代表。個人カウンセリングや企業のメンタルヘルスケア、企業研修、専門学校や大学では心理学の非常勤講師、心理学講座「青い柳のココロカフェ」の開催、コラム執筆など多岐に渡る。2000件以上の豊富な臨床件数。目標は「髪の毛がある街のお坊さん」。


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■マスク依存症の心理とは?

――顔を隠すためにマスクをつけてしまうマスク依存症。一体どんな心理が働いているのでしょうか?


青柳さん

相手に自分の素顔を見せないことによって、匿名性が高くなります。匿名性を確保することで、外部に自分の意見を言いやすくなったり、逆に外界をシャットアウトしているような安心感が得られたりしているのだと思います。ハンドルネームでやりとりするインターネット上でコミュニケーションのイメージに近いですね。


――マスク依存症に陥りやすい人はどんなタイプでしょうか? 考えられる特徴などはあるんでしょうか?


青柳さん

内向的な人や自信がない人、日ごろ表現している自分と内面にギャップがある人が多いでしょうね。あとは、男性に比べたら女性のほうが多いと思います。女性は化粧をするかしないか、またメイクの仕方で気分まで変わるなど、外見の変化に慣れています。男性よりも女性のほうが、マスクをつけるという違和感に慣れやすいのだと思いますよ。メイクをサボるためのアイテムとしても活用できますし。

■マスクに依存していたらコミュニケーションが取れなくなる!?

――確かに、私も「今日はすっぴんだからマスクをつけて会社行こうかな」なんて日もあります。でも、特にビジネスの場においては、ずっとマスクをつけ続けている人がいたら、正直ちょっと怪しいですよね。体調がずっと悪いのかな? と心配もしてしまいます。マスクをつけることによって社会コミュニティへの影響はどんなものが考えられますか? 


青柳さん

やはり社会性やコミュニケーション能力には支障を来たすと思います。人間の脳は「慣れる」という特性があります。先ほどお話した「匿名性」に慣れてしまうと、マスクを外したときに「慣れていない状況」ができてしまいます。しかし、会議やパーティに出席したり、人前で話したりするときなど、社会的に大事な場面でマスクは許されない場合が多いので、困ることになるのではないでしょうか。

■改善するために必要なこととは?

――マスク依存の症状を改善するためには何が必要だと考えられますか? 


青柳さん

マスクなしでは今後のコミュニケーションに困るということを知るのが何より大事ですね。それと、あまりに深く依存してしまうと、マスクができない状況に置かれたときに大きなストレスを感じるようになります。それは自分自身の精神衛生上にも良くないです。改善するためには、物理的に遠ざけるのが簡単な対策です。意識的に持たない、買わないようにすること。


――今はよくても、いつか困るときが必ず訪れますよね。そのためにも今から素顔でいるための練習は必要なんだと思いました。


青柳さん

そうですね。ネットの世界なら匿名で生きていくことはできますが、現実の社会生活を送る上でマスクを装備していては生きていけません。「自分とはどういう人間か?」を受け入れ、「他者とはどういう存在か?」ということを理解すれば、マスクなど必要ありませんよ。


顔を隠すことで、コミュニケーションが円滑にできるようになったと感じるマスク依存。でも実際には、他者に対しても自分に対しても良くない影響を与えてしまう結果に……。マスクは、体調が優れないときや予防のときだけにとどめて使用するようにしましょう!


(取材・文:阿部綾奈 編集:ノオト)