「午後10時以降は食事を取らないほうが良い!」なんていわれています。「太るから」「眠れなくなるから」など、その理由はさまざまですが、そもそもなぜ、夜の遅い時間に食事をするとそうした悪い影響が出てしまうのでしょうか。今回は、「全国学校給食甲子園」でも優勝した経験を持つ、小学校栄養士・松丸奨さんにお話を伺いました。

取材協力・監修


松丸奨先生


東京都文京区立金富小学校栄養士。栄養士として千葉県内の病院で病院食の献立作成や栄養管理に携わった後、2008年4月から東京都文京区立青柳小学校、2016年から文京区立金富小学校に勤務。2013年開催の第8回全国学校給食甲子園で、男性栄養士として初の優勝を果たす。日本テレビ系『世界一受けたい授業』などメディアへの出演多数。著書に『子どもがすくすく育つ日本一の給食レシピ』(講談社)。2017年5月に、子供の食の悩みへのアドバイスをまとめた『ママと子の「ごはんの悩み」がなくなる本』(サンマーク出版)を発売。


⇒小学校栄養士 松丸 奨のブログ

http://blog.livedoor.jp/you32su/

■夜中の食事は疲れの原因になる?

松丸さんによると、夜中の食事は「不調の原因となることは間違いない」とのこと。ふつう、夜寝ている時間は体の器官を休める時間でもあります。ですが夜中に食事を取ると、胃が夜中も動くことになり、器官が休まりません。そうなると「胃もたれ」「消化不良」につながります。


それだけでなく、交感神経と副交感神経の働きのバランスが狂ってしまうことも、「夜中の食事」によって起こることに挙げられます。


交感神経は、積極的に体を動かしているときに働く神経。一方の副交感神経は、睡眠時など休息しているときに働く神経です。このふたつが交互にバランス良く働くことで、人の体は健康を維持しています。しかし夜中の食事によって体の器官が動き続けると、副交感神経に切り替わらず、バランスを崩してしまうのです。そうなると、交感神経と副交感神経によって成り立っている自律神経が狂い、目まいや疲れ、食欲不振といったさまざまな不調を起こすのだそうです。


また、夜中に食事をすることで朝起きてもおなかが減らず、朝ご飯を抜きがちになってしまいます。そうなると間食が増え、お昼ご飯や夕食の量、栄養バランスの崩れを招きます。その結果また夜中におなかがすき、夜食を必要とする……といった悪循環を招くことにもつながると松丸さんは指摘します。

■夜中におなかがすかないようにするための工夫は?

では、夜中におなかがすかないようにするには、どんな工夫をすればいいのでしょうか?


松丸さんによれば、やはり「夕食をしっかり食べること」が大事なのだそうです。最近では牛丼だけ、カレーだけ、パスタだけといった、1品で済ませてしまう人も多くいますが、そのような夕食では夜食につながってしまいます。「主食」「主菜」「副菜」といった献立で考えると、同じ「おなかいっぱい」の状態でも、腹持ちも良くなりますし、栄養のバランスも格段に良くなります。


また、主食として用いるのは「お米」が良いそうです。お米はパンや麺類よりも時間をかけてゆっくりと消化されるため腹持ちが良いのが特徴。もし夕食にパンや麺類を用いることが多い人で、夜食を取ることも多いという人は、夕食にお米を用いてみるといいかもしれません。


そのためお米で作る「お餅」も腹持ちが良い食材に挙げられます。野菜や肉、魚をたっぷり使った「お雑煮」は、味付けなどバリエーションも豊富なため、毎日でも飽きずに食べ続けることができる料理。松丸さんによると「日本全国にさまざまなお雑煮があるので、それに挑戦するのも楽しくていいですよ」とのことでした。


ちなみに「夕食は何時までに食べるのがいいか」を聞いてみたところ、「夜10時までに……などもいわれていますが、やはり理想をいえば夜6時くらいには食べてほしい」とのこと。仕事や学校の都合で、なかなかその時間に食べられないという人も多いかもしれませんが、健康のことを考えるなら、できるだけ夜6時~8時には食べるようにしたいところですね。

■もし夜食を取りたい場合はどうすれば……?

もし「どうしても夜食を取りたい……」となった場合、どのような食事がいいのでしょうか。松丸さんによると、「夜食はおすすめできませんが、どうしてもという場合は果物、特にバナナがいいでしょう」とのこと。バナナは消化に優れているだけでなく、ボリュームもあるため、少ない量でも満足できます。


また同じ果物なら「リンゴ」や「ブドウ」が良いとのこと。逆に避けたほうがいい果物では、「スイカ」や「ナシ」が挙げられるそうです。これらは利尿作用のあるカリウムが多く含まれているため、夜中にトイレに行きたくなってしまう可能性があるので避けるべきなのだそうです。


ほかには「おかゆ」も良いとのこと。消化が良いことと、味付けのアレンジがしやすいのがポイントで、梅やさけフレークを使って味に変化をもたせたり、卵とじにすれば栄養価も高まります。ショウガやネギを入れると体も温まりますから、眠りに就きやすくなるでしょう。

■夜中に避けるべき食材は?

「スイカやナシは避けるべき」とのことでしたが、ほかにはどんな食材が避けるべきものとして挙げられるのか聞いてみたところ、「消化の悪いもの、つまり脂質と食物繊維は避けるべき」なのだそうです。


食物繊維は体の中を掃除してくれるので豊富に取るべきものですが、胃を休めたい夜中には避けるべき。またお肉や揚げ物、インスタント食品に多く含まれている脂質も、消化に悪いだけでなく胃の不快感を招く原因にもなり、余計に眠れなくなります。


そのほか、「冷たいもの」も避けるべきものに挙げられるそうです。アイスクリームは手軽に食べられるものですが、体を冷やしますし、カロリーも高いため食べないほうがいい食材。同様の理由でチョコレートも避けるべき。コーヒーなど、覚醒効果のあるカフェインが含まれているものももちろんですが、避けるようにしましょう。



夜食を取ることでどんなことが起こるのか、また夜食を必要としないための工夫などを聞き、まとめてみました。「夜食を食べることが多い」という人は、松丸さんの話を参考に、「夜食を必要としない生活」を目指してみてください!

(中田ボンベ@dcp)