なぜか既婚男性ばかり好きになってしまいます……。このままでは一生幸せになれないのではないかと不安になります。不倫はよくないことですよね……。どうしたらいいのでしょうか。


不倫は、よくない。


よくない、とハッキリキッパリ主張したうえで「でも既婚者に惹かれてしまうのってしょうがないよね」とも思う。


だって、既婚者ということは少なくとも誰かが結婚したいと思うほどに惹かれた人物だし、喧嘩やめんどうないろいろを乗り越えて誰かと生活を共にできるような寛容さもある。


そのうえこの人が結婚しているという実感は、ただ左手薬指がキラリと光る瞬間しか得ることができない。具体的なこと、たとえば奥さんと家で共に笑っている姿や、奥さんにプロポーズした瞬間のこと、誓いのキスをした瞬間のことを独身女性はほぼ知ることはない(時にSNSで目にすると思うけれど、現実味ないよね)。


芸能人の不倫が発覚すると、独身女性のほうに「奥さんの気持ちは考えなかったんですか」「相手の家庭を壊しているという意識はありませんか」と猛烈な批判が飛んでいるのをよく見かけるけれど、それはちょっと難しいんじゃないかなとも思う。想像することはできても、見えないんだもの。生々しい感覚として得るのはやっぱり難しい。


そうなればそこらへんにいる独身男性と、(本当は違うのは重々承知なのだけれど)、感覚としては変わらない。たとえ指輪の存在に気づいていても好きになってしまう人がいるのも頷ける。


よく、「人のものだからこそ羨ましく見えるのではないか?」という意見も聞くが、わたしはそうは思わない。もしどんな時でも「人のものだから欲しい」「隣の芝生は青くみえる」という性格なのであればそれは結構ヤバいけれど、そこまで強烈な人は多くないと思う。


ただ、単純に、好きになってしまった。そしてそれがたまたま結婚している人だった。わたしの友人の不倫経験者はこんな感じだったし、きっと多くの不倫経験者の心境はこんなところじゃないかと思う。


一番責めるべきは、男のほうだ。


現実を知っているのは、この男しかいないから。


自分が結婚しているという事実。奥さんと家で笑い、女と外で笑い、どちらからも批判されない程度に甘い言葉を吐いて均衡を保っている事実。それらを“本当に”知っているのは、彼だけなのだ。こいつを責めろ! というか、そもそも結婚した男は恋愛市場に出て行くなよ! なにが「種をまくのは男の本能」だ。しっかりしてくれよ。人間だろ、理性があるだろ、市場でうろちょろすんなよ、うっかり独身女がひっかかるだろ! おい既婚女、こいつをしっかり捕まえといてくれよ!! 

と、わたしがよく憤慨している話はさておき、まあ独身女のほうに「不倫は良くない」とトツトツと説いても、この問題は何も解決しないのだろう。

そして、既婚男性のほうにトツトツと説いても……彼らは恋愛市場に出て行くだろう。


質問者もわたしの友人も、周りが何をいっても不倫をやめることはない。正しいことを主張して、正しいことだけを行う人がいれば、この世はとっくに平和だから。


恋なんて、走り出してしまったら自分でも驚くほどどっぷりと浸かってしまうものだし、「自分は絶対不倫なんてしない」と言っていた友達が、出会う人に出会ってしまえば簡単に変わってしまうことなんてよくある。



そういうわけで「不倫はやめましょう」という主張は他の記事に任せるとして、わたしが言うことがあるとすれば、もしどうしても不倫してしまうなら「自分の意思」を必ずしっかり持って、潔く不倫してくださいということだ。


潔く不倫するというのは、「相手の家族を傷つけていますし、わたしも傷ついてもいいです」と開き直る、という状態に近いかもしれない。


「奥さんにわるいよぉ……」なんていいながらあんなことやこんなことをしている女がいるほうがムカつくし、わたしが奥さんだったとしたら、「負けた」と思えるような清々しい不倫をしてくださいと、思う。


「いつのまにかこんなことになっちゃって」とか「本当は辛いの……」とか言わないでほしい。その恋を選んだのは他でもない自分なのだから。


でも、やっぱり、やっぱりやっぱり、不倫は肯定できない。


理由は一つだけ。


自分がブスになるから、だ。



相手の家庭を傷つけるとか、許されざる恋愛はすべきじゃないとか、そんなはっきりは見えてこない正しさについて考えを巡らせるよりも早急に対処しなければならないのは、不倫をすると自分がどんどん「ブス」になる問題だ。


これは不倫だけじゃなくて、相手に彼女がいるとか、または「やたらと女関係が怪しくて嫉妬ばかりしてしまう」とか、そういう事態にも共通するのだけれど、

自分がどんどん汚くなって、黒いドロドロした気持ちでまみれて、嫉妬でメラメラと燃えた目は鬼のようだし、そのとき鼻の穴は驚くほど開いているし、口は見たこともないくらいカーブして。血眼になって奥さんや彼女の情報をあさったり、かと思えば急激に自分の価値がなくなった気がして落ち込んだり。いやいや、自分は魅力的だ、浮気される女が悪い……ってあれ、こんなに自分って性格悪かったっけ?


と、ふと冷静になったときのあの「自分が嫌い」という感覚。顔も、心も、ブスになっていくあの感じ。


つらい。つらすぎる。


どんなときでも自分を好きでいられるような状態でいてほしい。

だから正しさとか全て置いておいて、心がブスになるような恋愛はやめておいたら? とわたしは言いたい。



恋は、精神的にも物理的にも綺麗になるためにしたい。これを読んでくれているひとたちには、どうか恋に振り回されるのではなく、恋を自分の糧にできるような強さを持ってほしい。


不倫であろうが、普通の恋であろうが、ブスになったら潮時です。



(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)

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