パン好き女子の中には、「朝食にはバターを塗った食パン、お昼はコンビニで買ったサンドイッチ、おやつではメロンパンかアンパン、夜はコロッケパンとカレーパン」と、一日中パンを食べている人がいます。
糖尿病専門医として患者さんのカロリーコントロールの指導にあたる福田正博医師は、「その例では、おやつの段階でざっと1,000kcalになり、夜も含めるとパンだけで1,500kcalを軽く超えて食べていることになります。パンは食感が軽いわりには1つずつのカロリーが高いため、量を抑えないと脂肪を蓄積するだけになります」と話します。パンのカロリーや適量について詳しく聞いてみました。
取材協力・監修
福田正博氏
医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。日本臨床内科医会副会長。大阪府内科医会会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』 (ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、わかりやすく面白い講演でも定評がある。
■食パン1枚で約250kal超。ごはん1膳より高カロリー
「食パンならカロリーはそう高くなさそうで手軽」という印象があり、朝に食べる人は多いでしょう。福田医師はまず、ごはんと比較した食パンのカロリーについて、こう説明します。
「5枚切りの食パン1枚・80gは約200kcalですが、バターやジャムを塗って食べるので1枚で250~300 kcalになります。ごはん1膳・160gは約240 kcalで、食パン1枚の重さ80gに換算すると約120kcalになり、同じ量を食べたとすると、バターやジャムを塗った食パンはごはん2~2.5膳ほどに相当する高カロリーになります」
それは予想以上の数字です。食パン1枚では物足りなくて、2枚目を食べることがよくあります。それだけで500 kcalを超えるということになります……。
「知らないうちに食べていることはよくあります。身長が160センチの人の1日に必要な摂取カロリーは、約1,800 kcalです。これ以上のカロリーをとると体重が増えていきます」と福田医師は、1日にとるべきカロリーの目安を示し、朝食について次のように勧めます。
「昼食、夕食のことを考えて、朝食は、500 kcal以内が適切だと考えましょう。栄養バランスの点から、食パン1枚と主菜にハムエッグ、副菜にサラダ、ヨーグルト、ブラックコーヒーの組み合わせが良いでしょう」
■驚きの高カロリー! メロンパンとカレーパンで700キロカロリー超に
ここで福田医師に、パンの種類別におおよそのカロリーを挙げてもらいました。1日に1,800kcalを目安とするには、一食につき600kcal以内の摂取にする必要があることを前提に見ていきましょう。
<具なしパン>
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ロールパン(1個)……約100 kcal
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クロワッサン(1個)……約220 kcal
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コッペパン(1個)……約280 kcal
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たまご蒸しパン(1個)……約400kcal
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ベーグルパンのプレーン(1個)……約200 kcal
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デニッシュパン(1包装3切れ入り個)……約500 kcal
<菓子パン>
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粒あんぱん(1個)……約250 kcal
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クリームパン(1個)……約300 kcal
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ジャムパン(1個)……約290 kcal
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メロンパン(1個)……約430 kcal
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アップルパイ(1個)……約500 kcal
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チョコ入りクロワッサン(1個)……約500kcal
<調理パン>
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ピザトースト(1枚)……約330 kcal
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カレーパン(1個)……約270 kcal
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焼きそばパン(1個)……約210 kcal
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コロッケパン(1個)……約450 kcal
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カツサンド(1包装)……約340 kcal
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ミックスサンド(1包装)……約350kcal
メロンパンとカレーパンの組み合わせで700 kcalになるとは……。さらに福田医師は、「たとえばサイズが大きい、またクリームやチョコレートでコーティングしたデニッシュやメロンパンなどは、1個で700kcalを超えるものもあります」と注意を促します。
■パンは1日1個まで。スイーツは食べない
こうして一覧にすると、パンのカロリーがいかに高いかがよく分かりました。好物を我慢したくはないところですが、福田医師はパンの食べ方についてこうアドバイスをします。
「たとえダイエット中でも、我慢をするといずれは反動でパンのドカ食いをするなども考えられます。ですから好物は我慢をせずに、野菜サラダや野菜スープ、野菜ジュースなどの野菜類と、卵や魚のタンパク質も一緒に食べて、パンを含めた1日のカロリーを適切に調整することを考えましょう。
食パンと同じく、具なしのパンにも、マーガリンやバター、ジャムなどをたくさん塗らないようにしてください。たっぷりと塗ると、それだけで100~400 kcalがオンされます。
また菓子パンには、ケーキやスイーツ同様に、マーガリンやバター、油脂、砂糖がふんだんに使われています。クリームパンやジャムパンの場合は、中のクリームやジャムを半分取り除いて食べることがカロリーダウンのコツです。
調理パンは、主食とおかずを一緒に食べているようで栄養が整うように思うかもしれませんが、実は糖質と脂質に偏った食事になります。ランチにこれを食べた場合は、朝と夜の食事は野菜中心にする、また揚げ物を食べないようにして、脂質のとり過ぎと栄養のバランスに配慮しましょう」
さらに1日に食べるパンの量について
「菓子パンや調理パンは1日に1個まで、具なしで小ぶりのカロリーが低い種類は2個までとしましょう。特に菓子パンは糖分が多くてカロリーが高いので、1つ食べた日はほかのスイーツを食べないようにしてください。
また、パンには糖分だけでなく塩分が多く含まれます。塩分のとり過ぎは、むくみや高血圧などの原因になります。その側面からも、パンの食べすぎは健康のよくありません」と福田医師。
最期に福田医師は、パンを選ぶときの心構えとして、次のように呼びかけます。
「コンビニやスーパーで包装されたパンを買うときは、カロリー表示を必ず確認する習慣を身につけましょう。
そして問題は、カロリーが表示されていないベーカリーショップで買う場合です。見た目や香りで食欲をそそられ、ついカロリーを無視して複数を買うことはありませんか。『一度の買い物で1個だけ買う』と決めておき、ほかにも買いたい種類があっても『次回のお楽しみにとっておく』という発想を持ちましょう」
毎日いくつも食べていたパンのカロリーがこれほど高いとは、想定以上で驚きました。パンが食べたいときには1日に食べる総カロリーを意識し、栄養のバランスに注意して太らない食生活を心がけたいものです。
(小山田遥/ユンブル)
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)
↑福田正博医師『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(アスキー新書)