胃下垂は「胃が腰側に下がってしまう」という症状です。特に女性に多いそうですが、その原因が何か皆さんはご存じでしょうか。また、胃下垂になってしまった場合、腹筋のトレーニングが良いといわれていますが、これはなぜなのでしょうか? 今回は、早稲田大学のスポーツ科学学術院の広瀬統一教授にお話を伺いました。

取材協力・監修


広瀬統一 教授


早稲田大学スポーツ科学学術院教授。日本体育協会公認アスレティックトレーナー。日本フットボール学会、日本アスレティックトレーニング学会、日本体力医学会、日本臨床スポーツ医学会、European College of Sports Science、スポーツ科学未来研究所(FIfSS)に所属。過去にサッカー女子日本代表(なでしこジャパン)などのコンディショニングコーチを担当。


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■胃下垂ってどんな状態?

正常な状態の胃は、みぞおちの少し下辺りに位置していますが、胃下垂になると胃の下側が垂れ下がってしまいます。つまり、胃下垂になると「正常な状態よりも縦に長い胃」になってしまうのです。


胃下垂になると、下腹部の張りや満腹感、おなかのもたれを感じるようになったり、ひどい場合には吐き気といった症状が出ます。また胃下垂になることで横行結腸という腸が一緒に垂れ下がってしまい、これが原因で「お通じが悪くなる」こともあるそうです。

■胃下垂の原因は?

では胃下垂になってしまう原因は何なのでしょうか?


広瀬教授に聞いてみたところ、「腹筋群の筋力が低下すること」が原因に挙げられるのだそうです。腹筋群(腹横筋、内・外腹斜筋、腹直筋など)が正しく機能することで、胃が正常な位置に保たれるのですが、そうした胃を正常な位置に保つ腹筋群の筋力が低下してしまうと、胃下垂になってしまうのです。


また、不良姿勢も胃下垂になる原因に挙げられるとのこと。特に猫背は体全体が前下方に縮こまる状態になるため、胃が下方に下がりやすくなってしまうのだそうです。

■胃下垂を改善するためには?

腹筋群の筋力や不良姿勢が原因で胃下垂になってしまった場合、その改善には筋力トレーニングが良いそうです。特に両方が原因で胃下垂になった場合には、どちらか一方ではなく、両方を改善する必要があります。そこでどんなトレーニングが良いのか聞いてみましたので、ご紹介します。

  • WTIエクサ

…胸を開き、肩甲骨を背中の内側に引き寄せるようにするエクササイズです。僧帽筋や菱形筋を機能的にします。


  • 寝たまま肩回し

…寝た状態で肩をグルグルと回します。これにより小胸筋、大胸筋をストレッチします。


  • 肩甲骨腕立て

…腕立て伏せの体勢で床に肘を着き、肩甲骨を開きます。そのままおなかに力を入れて肩甲骨を背中の中央に寄せる運動です。体幹を安定させながら、肩甲骨の動きやすさを改善します。


  • へそ見腹筋

…横になって両膝を立て、腰の下に両手を差し込んだ状態にします。そこから頭を起こし、肩甲骨が床から離れたら頭を下ろします。この腹筋運動では、腹筋群を全体的に刺激することができます。

こうしたエクササイズ・トレーニングを行うことで、猫背など不良姿勢が解消し、腹筋群を強くすることができ、胃下垂が改善される可能性があるとのことでした。



ちなみに、胃下垂の人は食事を取ったら下腹部がぽっこりと膨らむのが特徴。もし食後に下腹だけがぽっこりしていたら、胃下垂かもしれません。その場合は、今回広瀬教授に伺ったアドバイスを参考に、不良姿勢を直し、腹筋群を鍛えてみてはいかがでしょうか。

(中田ボンベ@dcp)