日本産婦人科学会によると、女性の半数から8割もの方が「PMS(月経前症候群)」に悩まされていると報告されています。にもかかわらず、その名称はまだ広く一般に浸透しているとはいえず、原因もハッキリしていません。


そんな「PMS」について、銀座の研医会診療所 漢方科の岡田研吉先生にお話をうかがいました。

取材協力・監修


岡田研吉 医師


公益財団法人 研医会診療所 漢方科。1972年、東邦大学医学部卒業。ドイツ・リューベック医科大学留学中に東洋医学を志す。帰国後、名古屋聖霊病院・藤枝市立病院に勤務する傍ら、国立東静病院で漢方療法を学ぶ。1982年に北京中医学院(現・北京中医薬大学)に1年間留学。東京・玉川学園で岡田医院を開業。著書に『素問次注集疏(上・下)』『傷寒論考注(上・下)』『宋以前傷寒論考』ほか。

■「PMS」ってなんですか?

「PMSとは「月経前症候群(Premenstrual Syndrome)」のことです。日本産婦人科学会によると、『月経前3~10日のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの』とされています。要するに、

  • 排卵から生理までの、いわゆる黄体期と呼ばれる時期に起こる、カラダとココロのさまざまな症状のこと

  • 症状は生理が始まると自然に弱まり、消えていくのが大きな特徴

といえるでしょう」


こう話す岡田先生のクリニックにも、PMSに悩む患者さんが多く来院されるそうです。


「私のところにいらっしゃる患者さんは、自身の心身の状態について興味が強いんでしょうか、ネット等で事前にいろいろ調べていらっしゃる方が多く、PMSについても、ある程度の知識はもっていらっしゃいます」

■PMSの症状とは?

とはいえ、自身の健康、ひいてはセルフメディケーションなどにも意識の高い患者さんが多いのは、岡田先生のご指導もあってのこと。やはり一般的にいえば、まだまだPMSの知名度は低いといえます。実際、筆者が勤務しているドラッグストアに来店されるお客様でも、「なんとなく調子が悪いけど、そういうものだと思って我慢していた」という方が少なくありません。


こうした認知度の低さや、症状が起こっても、ついスルーしてしまいがちな状況については、「PMSの大きな特徴が関与していると考えられます」と岡田先生。


「ひとつには、命にかかわる症状が少ないということが挙げられるでしょう。心と身体の両面について、たくさんの症状が現れるものの、基本的に生命活動を脅かす、重篤なものはあまりないともいえます」

★PMSのおもな症状


<身体的な症状>

乳房の痛みや張り、むくみ(顔や手足)、腹痛、腰痛、便秘、下痢、頭痛・頭重、吐き気、にきび、食欲増進、など


<情緒的な症状>

抑うつ(気分の落ち込み)、怒りっぽくなる、イライラする、不安な気持ちになる、集中力の欠如、興奮、混乱(パニック)、無気力、引きこもりたくなる、など

■PMSの原因は?

「また、症状が、長くとも2週間程度で消えてなくなることや、具体的な原因や根本的な対処法がハッキリと確立していないことも関係していると思われます」


たしかに、さまざまなつらい症状も、基本的には生理が始まるまで。最高でも2週間ほどで症状はなくなってしまいます。さらに、一般的に見て、明確な原因や治し方が確立していないという点もPMS治療に積極的になれない方が少なくない要因のひとつといえそうです。

★PMSのおもな原因と考えられているもの


  • 性格や心因的な要因

    「細かく几帳面」「クヨクヨ悩みやすい」「つらくても我慢しがち」といった基本的にまじめなタイプの方は、より強く症状が出やすい傾向がみられます。また、日常のトラブルやストレス、環境の変化による緊張なども症状を重くする一因と考えられています。

  • 女性ホルモンの影響

    女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量の変化により、心身のバランスをとる働きのあるGABAやセロトニンといった神経伝達物質の活性や分泌が低下することで、心と身体が不調に、不安定になるとされています。

  • ビタミン類の不足

    セロトニンの生成を助けるビタミンB6の低下はPMSの一因になると考えられています。

未知な部分の多いPMS、ですが、「じゃあ、放っておくしかないの?」というと、そんなことはありません!というわけで、次回は「つらい症状を解消・改善・緩和するための方法」をご紹介していきます。


(取材・文 岩井浩)

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