「頭痛持ち」という人は多いですよね。頭痛があると仕事に行くのもおっくうになりますし、あまりにひどいとベッドから体を起こすのも嫌になります。風邪をひいているときだけならまだしも、疲れや肩こりからも頭が痛くなってしまうのはつらいものです。


そこで今回は、アメリカ・ドイツで4年間、診療・研究に従事し、帰国後は頭痛治療専門のクリニックを立ち上げ治療している頭痛の専門医、『東京頭痛クリニック』の丹羽潔先生にお話を伺いました。

取材協力・監修


丹羽潔理事長


1987年卒 医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本頭痛学会専門医・代議員。日本頭痛学会認定指導医。日本神経学会認定専門医・指導医。ドイツミュンヘン大学神経内科留学、米国ミネソタ大学神経内科留学。現『東京頭痛クリニック』理事長。


⇒『東京頭痛クリニック』公式サイト

http://www.tokyoheadache.jp/

■頭痛に悩まされている日本人は約1,000万人!?

丹羽先生によれば、頭痛に悩まされている日本人はかつての統計で840万人というデータがあり、現在では1,000万人ほどはいると推計されるそうです。これほど多くの人を悩ませている頭痛ですが、その種類はまず大きく以下のように分けられます。

一次性頭痛……80%以上の人がこれに当たる

  • 片頭痛

  • 緊張型頭痛

  • 三叉神経・自律神経性頭痛

  • 新規発症持続性連日性頭痛


二次性頭痛……これは20%以下

  • くも膜下出血

  • 脳腫瘍

  • 髄膜炎

  • 薬物の使用過多による頭痛など

大多数の人が「頭痛」というときは、たいてい「一次性頭痛」のうちのどれかです。二次性頭痛は、「くも膜下出血」や「脳腫瘍」など、脳に血がたまったり、何か一次的な損傷があって、そこから引き起こされる頭痛です。この場合にはすぐに脳外科など専門医にかからなければなりません。


「頭痛が脳出血などの兆候かも?」ということをみんなよく知っているので、急な頭痛があると救急救命医にかかり、そこで(MRIより画像の鮮明度は落ちるが迅速に行えるので)CTスキャンを撮って、「大丈夫です。ただの頭痛です」なんていわれて安心して帰ってきたりします。しかし、実はそれでも注意しないといけないのです。


丹羽先生によれば「たかが頭痛、されど頭痛と考えるべき」とのこと。頭痛が重くなると、日々の暮らしに支障をきたすこともあるのです。日常生活にどれくらい支障があるかを数値で表現した表によりますと、「重症の片頭痛」になると支障度は「7」と、ほかの疾患と比較しても大きな値となります。



重い片頭痛では、起き上がるどころか体を動かすことすら苦痛でできない、といった状態になってしまします。もしかしたら、読者の皆さんの中にも思い当たる人がいらっしゃるのではないでしょうか?


ここで注目すべきは、頭痛に悩まされているのは女性のほうが多い、という事実です。

■女性は片頭痛持ちが多い!

丹羽先生のお話によれば「頭痛持ち」の人の多くは「片頭痛」「緊張型頭痛」です。


●片頭痛

特徴:片側のこめかみから目の辺りにかけて、脈動するように「ズキンズキン」と痛む。頭の両側が痛むこともある。発作的に起こる。頭痛に伴って吐き気が生じることがある。


●緊張型頭痛

特徴:頭部全体が痛む。痛みは締め付けられるような感じ、頭部だけでなく首筋、また肩にかけての鈍痛を伴うことがある。発作的ではなく、日常的に痛むことがほとんど。


緊張型頭痛は、毎日パソコンを見て仕事をしているといった人によく見られるそうです。



また、片頭痛は特に女性が多く、20代の約12%、30代では約5人に1人、20%もの人が片頭痛に悩まされています。さらに注目すべきは、片頭痛は遺伝性がとても高いという点です。


片頭痛は母系遺伝するので、頭痛に悩んでいる方で「お母さんも片頭痛持ち」という人は多いかもしれませんね。

■頭痛はどうすれば治療できる?

【まずは症状を把握する】


丹羽先生に「頭痛の治療」について伺ったところ、まずは自分がどんなタイプの頭痛に悩まされているのか、またいつ起こるのか、といったポイントを客観的に把握することから始めるのが良い、とのことです。


たとえば、片頭痛とひと口に言っても原因は実にさまざまあります。

【片頭痛を誘発するとされるもの】

  • ストレス、逆に週末などストレスからの解放感

  • 寝過ぎ、寝不足(6~9時間が良い)

  • 人混みや騒音、まぶしい光、強いにおい

  • 気候、気圧の変化

  • 月経周期に伴う女性ホルモンの変動

  • 遺伝性(母親も頭痛持ちということが多い)

  • 特定の飲食物(ハムやソーセージなどの亜硝酸塩含有食肉製品、ワイン、チョコレート、チーズ、ナッツ、柑橘系などのチラミン含有食物など)

  • 空腹時(ダイエット中、朝食抜きなどの低血糖)

特に女性は、ダイエットや生理のときに、腹痛・腰痛などと一緒に片頭痛が起こることもあります。



↑丹羽先生が『東京頭痛クリニック』で患者さんに付けることを勧めている「頭痛ダイアリー」です。頭痛が起こったときにメモしていくと、意外なものが頭痛を誘発していることに気付いたりするのです。



↑『東京頭痛クリニック』で実際に使われている問診票。これらの質問に答えることで、どんなタイプの頭痛であるのかなどが分かるのです。



このような確認のもとに、予防と治療が行われます。


丹羽先生のお話では「最先端の医療では慢性の片頭痛によく効く新薬を使います。これを1ヶ月に1回打つと、痛みの元になるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をブロックしてくれます。『治験薬』ですが欧米でも、そして当クリニックでも使っていまして、このような薬を使うことで患者さんの頭痛を軽減することが可能」とのことです。


1927年(昭和2年)に自殺した文豪・芥川龍之介は片頭痛を患っていたのではないか、と推測されています。もし現在の頭痛治療が施されていたら、彼は自殺せずに済んだかもしれません。丹羽先生の言葉にありましたが「たかが頭痛、されど頭痛」です。読者の皆さんも頭痛をあまり軽く考えないほうが良いかもしれません。丹羽先生によりますと「月に6回以上頭痛がある、という人は治療を受けたほうが良い」とのことです。


※記事内の図表は本取材の際に丹羽先生からご提供を受けたものを基に筆者が作成したものです。データの出典は図表に記載しています。



(高橋モータース@dcp)