熱いものを食べたとき・飲んだときに、それが熱すぎて思わず唇をやけどしてしまうことがありますね。やけどは痛いものですし、唇に水膨れができてしばらくは不自由な生活になるでしょう。今回は「唇をやけどしたときの対処法」について解説します。
記事監修
桑原香織 先生
皮膚科医。東京医科大学卒業。同大学病院にて研修後、東京医科大学皮膚科学教室に入局。東京医科大学病院、東京医科大学八王子医療センターで経験を積み、その後は都内皮膚科クリニックに勤務。現在は、一般財団法人中小企業衛生管理協会霞ヶ関診療所の産業医として就労者の健康管理に携わっている。
女医+(じょいぷらす)所属。
▼霞ヶ関診療所
■唇をやけどしたときの応急処置方法って?
唇にやけどをしたら、まずは冷やすことです。
冷たい流水をしばらく患部に掛けます。シンク、洗面所では難しい場合には、浴室のシャワーなどを使いましょう。保冷剤があればそれを使っても良いですが、患部に張り付かないように気をつけないといけません。
患部に水膨れができている場合には、自己判断でつぶしてはいけません。水膨れは外部からの細菌の侵入を防ぐためのものでもあります。
水膨れができるということは、やけどの程度では「浅達性II度熱傷」。やけどのケアによっては痕が残ってしまいます。水膨れができるほどのやけどを負ったら、十分に冷やした後、皮膚科を受診しましょう。
■唇のやけどってどれくらいで治るの?
やけどは、どの程度の深さの組織に負ったものであるかによってI-III度に分類されています。それぞれ治療にかかる時間の目安は下のようになっています。
【やけどの深さによる治療にかかる時間】
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I度熱傷…表皮:1週間
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浅達性II度熱傷…表皮から真皮にかけての浅いやけど:2週間
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深達性II度熱傷…表皮から真皮にかけての深いやけど:3-4週間
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III度熱傷…表皮から皮下組織にかけてのやけど:4週間以上(植皮術が必要になる場合もあります)
■病院に行ったほうがいいやけどって?
「赤くただれている」「痛みがひかない」といった症状があり、やけどの程度がひどい場合には迷わず病院に行きましょう。
水膨れができていれば、やけどとしてはII度ですから、皮膚科を受診することをおすすめします。市販薬で対応できると安易に考えず、痕が残らないように、医師の判断を仰ぎ、薬の処方を受けたほうが良いでしょう。
■唇をやけどしているときに避けたほうがいい食べ物・飲み物は?
唇をやけどした場合には、とにかく患部を刺激する可能性のある食べ物は避けましょう。具体的には、
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堅いもの
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香辛料を多く含むなどの辛いもの
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熱いもの
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酸っぱいもの
フライなどの堅いものやトウガラシなどの香辛料を多く含むものは、患部を刺激することになるので避けましょう。また、スープなどの熱いもの、梅干しなどの酸っぱいものも治るまでは取らないようにするといいですね。
「熱っ!」となったら、とにかくスグに冷やすことが大切です。痕が残らないように、水膨れを安易につぶさないことにも気を付けてくださいね。
(柏ケミカル@dcp)