彼の過去まで束縛したくなるんです。過去なんてどうしようもないとわかっているんですが、どうしても嫉妬してしまいます。元カノの話が出ると、吐きそうになるくらい辛いです。でもそんなことを言うとウザいかなと思って我慢しています。嫉妬するのをやめたいです。


わかる。


よく「過去も含めてあなただし、過去があってこそ今あなたと出会えているのだから、過去にも感謝だね」と言う美しい精神の持ち主がいるが、わたしには到底無理な考え方だ。


付き合う前は全くと言っていいほど気にならなかった元カノの話も、付き合って日が経って思い出すと悲鳴をあげそうなくらい嫌になる(その子がすごく可愛かったり、訳ありだったりすればなおさら)。彼のお気に入りのお店も、初めの頃こそ「素敵!」と正面から受け止められていたのに、徐々に(誰と来たんだろう、元カノとも来たんだろうか)などと邪推するようになる。


キラキラ系女子が読むような本には「やきもちを妬くのは、自信がない証拠」なんていう話もよく書かれているが、わたしはそうは思わない。別に誰かにとられそうだから嫉妬するわけじゃない。彼は今、紛れもなくわたしのことが好きだし、元カノのことが今も好きだなんて思わない。そう分かっていても、無理だ。


シンプルに、好きになればなるほど、過去も未来も全部全部欲しくなる。そんなの、しょうがないじゃないか。


今の彼氏を独占する権利を得たものの、過去だけは手に入れることができない。だからこそ過去は厄介で、だからこそ過去まで欲しくなるのだ。


こちらが見たことのない彼氏を見ていた人に嫉妬するし、知らない女に微笑みかけていたその微笑みに嫉妬する。まだその当時出会っていないから仕方ないじゃんなどという正論は聞こえない。


わかる、わかるよ質問者よ。



さて「彼氏の過去に嫉妬してしまうんですが、どうしたらいいですか」とのことだけれど、ここまで書いてきたようにわたしは嫉妬してしまう気持ちにたいしては首がもげるほど共感するので、「別にいいんじゃないの?」と思う。


さらにいえば「別に我慢する必要もないんじゃない?」とも思う。


勝手にモヤモヤして、勝手に黒い感情にまみれて、勝手に不機嫌になって彼を困らせる(最悪の場合怒らせる)よりは、彼氏に伝えてしまえばいい。


どうやって伝えるか? なんて言えばいいのか? なんて、一生懸命考える必要はない。


「やきもち妬いちゃった」と、その通り伝えればいいだけだ。


ポイントは、彼氏は魔法使いではないのだから“過去を変えて”と迫らないことと、そして“怒らないこと”。


相手の過去のせいでわたしは傷ついた! と言わんばかりに相手を責める女もいるが(ええ、過去の私ですね)、どう考えても、どうしようもできない物事について責められるのは辛い。理不尽に怒ったところで彼は謝るしかできず、ふたりの間には暗雲しか立ち込めない。


自分の思い通りにいかない出来事にたいして感情を抑えきれず怒り出すのは早めに卒業しておきたいところ。わたしたちには「言葉」があるのだから、きちんと自分の気持ちを整理して伝えればいい。


具体的にいえば、ストレートに事実として「やきもち妬いちゃった」と伝えた上で、最後に二人の未来に関する一言を付け加えておくのがオススメ。たとえば「わたしのことももっと好きになってくれるといいな」とか「わたしともいろんなところ行こうね」とか「そこわたしも行ってみたいな」とか。


あくまで今と未来を手に入れているのはあなたなのだから、過去のせいで未来まで手放してしまうことのないように。むしろ、過去を踏み台にして未来を深めていけるように。



一つとっても大事なのは、喧嘩のときにおいてもモヤモヤした気持ちのときにおいても、「二人の関係性において、言った方が良好になるだろう」と思えることだけを言う、ということ。


なんでも言えばいいというもんじゃないし、なんでも我慢すればいいというものでもない。言うか言わないかの基準は、言ったほうが二人の関係が良好になるかどうか、それだけだ。


意外と付き合っている間に忘れがちなのが、この“なんのためにそれを言っているのか”という視点だと思う。だんだんと、自分のわがままのためだけに言ってしまったり、相手を困らせることに気づかず無神経に言ってしまったり。二人の関係性をどうしたいのか、が欠如してしまうとむやみな喧嘩に発展しやすい。


だから、きちんと“なんのためにそれを言うのか”を考えた上で、未来が心地よくなるための言い方をする。


これを注意しておけば、「もっと連絡してほしい」だって「もっと会いたい」だってなんだって言えるようになる。なんでもかんでも我慢して、理解のある女を演出していたって、その気持ちがいつか溢れてしまうんだったらその我慢は意味のないものだから。


不満は上手に伝えて、むしろ愛を深めるきっかけにしちゃえよ。がんばって。



(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)

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