「腸内フローラ」と呼ばれる腸の細菌の集まりが、おなかの調子だけではなく、自律神経のバランス、また肌や髪の状態にも影響を与えることが叫ばれています。そこで管理栄養士で肥満症やメタボリック・シンドローム、糖尿病を改善する食生活に詳しい西山和子さんに、腸内環境を整える食材と栄養素、また、それらを使ったデパ地下などで買える総菜を教えてもらいました。

取材協力・監修



西山和子氏


管理栄養士。糖尿病専門クリニックでの勤務経験から、糖尿病、生活習慣病、メタボリック・シンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。

■腸内環境を整える成分の筆頭は、食物繊維

腸の不調と言えば、まずは便秘を思い浮かべます。西山さんは、

「便秘は、腸内フローラの悪玉菌が優勢になっているサインです。便秘はタイミングや原因別に、『一時的な不調による一過性の場合』、『何らかの理由で慢性的に続く場合』、また、『ストレスなどによる自律神経の乱れが原因の場合』などがありますが、どの場合でも改善には、腸内環境を整える必要があります。そのためにまずとりたい栄養成分はどれも同じです」と説明します。


その栄養成分について西山さんは、具体的に次のように挙げます。


「食物繊維、油脂、水分、乳酸菌、オリゴ糖、乳糖です。また、自律神経の乱れが原因の場合は、ビタミンB群をプラスしましょう。


なかでも食物繊維は、ヒトの消化酵素で消化されない『難消化成分』と呼ぶもので、その多くが排出されます。野菜などから一定量を摂取していると、便秘のみならず、肥満や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の予防に働きかけることが多くの研究でわかっています」


厚生労働省発表の『日本人の食事摂取基準』2015年版では、日本人の食物繊維摂取量が少ない傾向であることから、食物繊維摂取の「1日の目標量」を18~70歳の男性では20g以上、女性では18g以上としています。


また、食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があることが知られています。西山さんはそれぞれの働きについて次のように話します。


「水に溶けてゲル状になる水溶性は、糖質の腸管からの吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑えることがわかっています。バナナ、リンゴ、イチゴなどの果物、ゴボウ、オクラなどの野菜、寒天やヒジキ、コンブ、ワカメ、モズクなどの海藻類、納豆やきなこなどの豆類に多く含まれています。


不溶性は水に溶けずに、胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸のぜん動運動を活発にして便通を促します。ゴボウ、タケノコ、トウモロコシ、レンコンなどの野菜、いんげん豆やひよこ豆、えんどう豆、大豆などの豆類、さつまいも、こんにゃくなどのイモ類、キクラゲ、エノキダケ、シイタケなどのキノコ類、玄米ごはんなどに多く含まれています。


また、水溶性も不溶性も、腸内環境を整えるのに役立ちます。特に水溶性は、大腸で腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。ただし食物繊維は、とりすぎると下痢をするので、注意も必要です」


こういった情報を頭に入れておき、「便の状態を確認しながら偏らずに食べること」(西山さん)が腸内フローラを整えるコツと言えそうです。

■腸内フローラのバランスを整える総菜メニュー

ここで西山さんに、先述の食物繊維をはじめ、油脂、水分、乳酸菌、オリゴ糖、乳糖、それにビタミンB群が含まれて、スーパーやコンビニで買える総菜を挙げてもらいましょう。

  • ゴボウやサツマイモが盛られた根菜サラダ

  • ワカメやオクラ、長イモが盛られたネバネバ海藻サラダ

  • 野菜に豆類がトッピングされた豆サラダ

  • 野菜の具だくさんスープ

  • コーンスープ

  • ワカメのみそ汁

  • ヒジキの煮物

  • キンピラゴボウ、キンピラレンコン

  • おでんのシラタキ、コンニャク

  • 魚介や豚肉などが盛られた鍋料理

  • 根菜カレーや豆カレー

  • ひじき入り和風ハンバーグ

  • 玄米ごはん

■腸内環境改善に向けた食生活のコツ

さらに西山さんは、腸内環境を改善するための、日々の食生活でのちょっとした工夫について、「あれもしなければこうもしなければと思うと、毎日の食事の用意に疲れます。これだけはおさえておこうと思う、自分にとって取り組みやすい方法をいくつか知っておくと楽に習慣化できるでしょう」と話し、次のアドバイスをします。

  • 1日に3食を食べる。朝食抜き、夕食抜き、適正な範囲を超えた過度のダイエットで食事量を減らすなどをすると、便秘がちになって腸内細菌のバランスが偏り、悪玉菌が増える。

  • 毎回の食事には、野菜や海草、豆を含むサラダをプラス。

  • 甘いフルーツヨーグルトよりも、無糖ヨーグルトとバナナやキウイ(生フルーツ)の組み合わせを選ぶ。

  • 水分はお茶、水が基本で、乳酸菌飲料は低糖タイプを選ぶ。

  • よく噛(か)んで食べる。不溶性食物繊維が含まれる食材は、よく噛むことで満腹感を得られやすいというメリットもあります。

腸内フローラの改善には、食物繊維が大きく影響しているということがわかりました。また、メニューや食生活のコツのラインナップを見ると、にわかに祖父母の食卓を思い出し、「あ、日本の家庭料理だ」ということに気がつきました。「それをイメージして栄養のバランスが良さそうな総菜を選ぶ方法もあります」と西山さん。参考になるのではないでしょうか。


(取材・文 海野愛子/ユンブル)