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他人ごとじゃない! 円形脱毛症になったらどうしたらいいの!?

2017.11.21

他人ごとじゃない! 円形脱毛症になったらどうしたらいいの!?


大人になると仕事や人間関係などで、ストレスに感じることが増えるもの。ストレスが重なれば、身体の不調を生み出しますが、中には「円形脱毛症」、いわゆる10円ハゲとなって現れる人もいるようです。

 

自分とは無縁……なんて思っていたら大間違い! 発症しても自然治癒でいつの間にか治っていたというケースもあるようですが、実際のところどうすればいいのでしょうか。皮膚科の先生に聞いてみたところ、円形脱毛症の種類、原因は想像していたよりも複雑なようです。

取材協力・監修


宮田晃史 院長


防衛医科大学卒業。帝京大学ちば総合医療センター皮膚科助教を経て、2014年に日本橋エムズクリニックを開院。日本皮膚科学会会員、日本キレーション普及協会認定医、日本抗加齢医学会所属。

■人によって現れ方が異なる脱毛症、その種類は?

――円形脱毛症にはどのような種類があるのでしょうか?

 

宮田先生

脱毛症と診断されるものは5種類あります。コイン大の面積に円形脱毛部分がひとつできるものは「単発型」、複数できるものを「多発型」と言います。ほかに、後頭部・側頭部の生え際が帯状に脱毛する「蛇行型」、髪の毛がすべて抜けてしまう「全頭型」、そして眉毛・まつ毛・手足などの体毛すべてが抜け落ちる「汎発型」があります。

 

――この5つの症状は、段階的に進行していくのでしょうか?

 

宮田先生

診療実績を踏まえると、一部重症化するものの中には単発型から多発型へ進行するものもあります。また全頭型や汎発型になるケースは数百人に一人と考えています。今の医学ではどの原因がどの症状に結びつくか、因果関係を解明できていません。そのため、問診や治療の過程で、患者さん一人ひとりの原因を突き止めて治療していきます。

■原因はストレス以外にも! 慢性化した生活習慣にも落とし穴が

――円形脱毛症の原因はストレスによるものというイメージがありますが、どのように発症するのでしょうか。

 

宮田先生

ストレスや疲れ、夜更かしは直接的な発症原因と考えられます。これらが原因で交感神経にスイッチが入ると、緊張状態が保たれます。ストレスがかかり続けると、その分緊張状態も長期化するため、血管収縮や血流悪化につながり、毛根への栄養補給がおろそかになるため、脱毛してしまうのです。

 

――ストレス以外にも考えられる原因はあるのでしょうか。

 

宮田先生

ほかにも大きく分けて3つあります。

 

ひとつは免疫機能の異常によって、リンパ球が毛根を攻撃して毛が抜ける「自己免疫疾患」。人間には、風邪のウィルスなど外部から体内に異物が入ってきたときに、身体を守ろうとリンパ球が浸入物を攻撃する免疫機能があります。しかしその機能が異常をきたし、自分の毛根を異物とみなして攻撃すると、傷み、元気な髪の毛が抜け落ちてしまいます。

 

次に「遺伝子的要因」。近親者に円形脱毛症を患った人がいる場合は、その血縁が近しいほど発症する可能性があります。

 

最後に「生活習慣」によるもの。身体的または心理的ストレスは原因を突き詰めれば、生活習慣に問題がある可能性があります。たとえば食生活の乱れによるビタミンやミネラル不足、日々の夜更かしによって睡眠時間が削られることなどです。また外出が少ないと、身体を動かす時間が短いために血流が悪くなり、日光に当たらないためにビタミンDの生成ができません。

 

――女性の場合、産後に発症することもあるようですが、女性ホルモンの揺らぎも原因になるのでしょうか。

 

宮田先生

産後は、妊娠中に分泌量が増えた女性ホルモンが通常状態に戻ります。その女性ホルモンの減少により、髪が抜けやすくなります。しかし産後に現れる円形脱毛症は、出産で胎児に栄養を取られることから、ビタミンまたはミネラルなどの栄養不足が原因だと考えています。

■治療は長期化することも。信頼できる相談先を探しましょう

――円形脱毛症について調べると、皮膚科、美容外科、ヘアクリニックなど相談先が多種あるようですが、どこに相談したほうがいいのでしょうか?

 

宮田先生

最初の窓口は、皮膚科がいいと思います。しかし、それぞれアプローチが異なるため、最終的にはご自身で納得できて治療を続けられると感じたところに通ったほうがいいでしょう。

 

というのも、脱毛症は身体の表面に現れますが、原因は氷山のように何層にもなっていて、表層だけ取り除いても、また後から別の原因が顔を出して再発するケースがあるからです。

 

患者さんによっては再発すると『原因はこれではない』と診療に疑問を感じて、治療をストップしてしまう人もいます。そうすると症状が悪化して悪循環に陥ることも。大人にもなると経験だけでなく身体の不調も積み重ねているため、原因を一つひとつ潰していかなければいけません。

 

――脱毛症には、どのような治療でどれくらい期間や費用がかかるのでしょうか。

 

宮田先生

円形脱毛症には、日本皮膚科学会と毛髪科学研究会が2010年に定めた診療ガイドラインがあります。そこでは、たとえば単発型と多発型に対しては「ステロイド局部注射・ステロイド外用剤・セファランチンやグリチロンなどのステロイド以外の内服薬等」が治療法として記され、一般的に行われています。医院によってさまざまな治療法がありますが、多くがこのガイドラインに則って行われているようです。

 

当院では対症療法(そこにあるものを改善する治療)として上述の治療を行っていますが、繰り返してお伝えしているように原因はさまざまです。診療実績を踏まえると、アトピーや花粉症などのアレルギーを持つ人は脱毛症にかかる可能性が高いようです。そのため全身治療も含めて都度治療法はその人に適した方法を調整します。

 

費用は、塗り薬と内服薬で一回1,000~2,500円程度。治療期間は症状や来院頻度にもよります。実際に、定期的に来院いただいた単発型の患者さんは2~3か月で治療が終了したケースがありますが、半年以上かかる場合もよく見られ、1年半以上治療しても改善しない方もいます。どのような治療を行っても最低3か月から半年は続けないと効果判定は難しいと考えています。


脱毛症以外の病状があった場合、病状が重症だった場合、大学病院で治療しても改善しない場合、患者さんの強い希望があった場合は、保険適応外の検査と治療が必要になることもあります。病状によっては初回検査で数十万円、月々の医療費も当分の間10万円前後かかることもあります。

■突発ならば「気にしない」が第一予防策

――整髪剤やカラーリングなど、治療中に避けたほうがいいものはありますか。

 

宮田先生

オシャレを制限するほうがストレスを抱えることもあるので、当院では特に制限をしていません。髪を染めたり、こだわりの整髪剤をつけたりして気分をリフレッシュするほうが患者さんにとってはいいでしょう。

 

ただ単発型ならば、1年以内に最大50%の方は無治療でも自然治癒すると報告されているので、特に脱毛を気にしないことも選択肢としてあっていいと考えます。来院される患者さんのほとんどは、美容師や知人に見つけてもらって気付かれるようです。1日に50本から100本は自然に髪の毛は抜けていくものなので、抜け毛が多く感じたとき「もしかして?」と疑心暗鬼に陥らず、気にしないのがいいでしょう。

 

――予防策を伺おうと思っていたのですが、そもそも「気にしない」ことが予防の第一歩のようですね。

 

宮田先生

予防策としてあえて挙げるのであれば、十分な睡眠、栄養バランスを考えた食事、あまり考えすぎないことでしょうか。発症しても単発型の場合は、知らない間に抜けていて、気付いたときには毛が生えていたなんてこともあります。

 

身体の不調に耳を傾けることは健康を維持する上で大切ですが、気付かない程度の円形脱毛症は気にせずに、症状が顕著でも病気とうまく付き合いつつ前向きに人生を歩んでいくことが大事だと考えています。

  

円形脱毛症は、自分で溜め込んだものが外に現れた氷山の一角であり、身体から発せられる一種のSOSサインかもしれません。とはいえ、髪の毛は大切なものなので、まったく気にしないのは難しいでしょう。発症したときは焦らずに気長に治療を続けられる治療先を探してみてはいかがでしょうか。

 

(取材・文:小林有希 編集:ノオト)