検索
お医者さんって体調が悪いときどうするの?別のお医者さんに診てもらう?

2017.11.25

お医者さんって体調が悪いときどうするの?別のお医者さんに診てもらう?


「医者の不養生」なんて言葉があります。「紺屋の白袴(しろばかま)」と同じで、「その道の専門家でも自分のことには手が回らない」ことを指す例えですね。不養生が原因かは分かりませんが、お医者さんでも病気になることはあるでしょう。では、お医者さんは自分が病気になったら、よその病院の先生の診察を受けたりするのでしょうか? 

■ポイントは「入院が必要かどうか」「自分の専門外かどうか」

医師になるためには大学時代にみっちり医学・医療の基礎知識を勉強する必要があります。このときには専門科の垣根はなく広く学びますから、医師になった皆さんはどの科目でも対応できる基礎知識を持っているわけです。また現在ではネットで新しい論文を読んで専門知識を増やすこともできます。多くの医師の皆さんは専門の知見を増やすべく努力をしているわけですが、基礎知識もあり最新の知識もある医師が「よそのお医者さんにかかる」ことはあるのでしょうか?

『MYメディカルクリニック』の笹倉渉院長・医師にお話を伺いました。

取材協力


笹倉渉院長・医師


『公立昭和病院』初期臨床研修医、『東京慈恵会医科大学附属病院』麻酔科・助教、『公益社団法人 北部地区医師会病院』麻酔科・科長を経て、現『MYメディカルクリニック』院長。


⇒『MYメディカルクリニック』公式サイト

http://mymc.jp/

――医師がよその病院の医師に診てもらうということはありますか?


笹倉医師 あります。ただ、風邪をひいたとか、そういった軽い病気であったり自分で対処できる病気であれば行く必要はないですね。自分で診断できますし、自分で処置できますからね。法律上、自分で自分の薬は処方できないので、別の医師に処方してもらうことになりますが。ですので、ほかの医師にかかるのは、自分で対処できない重篤な症状がある場合、ということになるでしょう。


――重篤な症状というのは?


笹倉医師 線引きが難しいですが「入院が必要になるかどうか」ではないでしょうか。入院が必要な病気の場合にはやはりよその病院に行くことになるでしょう。あとは自分の専門外の病気の場合もあり得ますね。


――自分の専門外というのは?

笹倉医師 たとえば私の専門は「全身管理」で、全身を診る医師としてのキャリアを積んできましたが、「目」や「耳」などの各細かい部分に関しては、最新知識はあまり持っていません。もちろん医師ですから基礎的な知識は持っていますが、専門医のように最新のデータを常に見ているというわけではありません。


これはどの分野の先生でも同じだと思いますが、自分の専門分野については常に最新の論文を読みますし、他の分野についてもできるだけ情報を得るようにしていますが、それを専門にしている先生にはかないません。世界中でさまざまな研究が行われていますし、それで得られたエビデンスを全部チェックするのは不可能ですからね。


ですので、自分の専門外で最新のデータが必要な病気に自分がかかってしまった場合には、やはりそれに対処できる専門医にかかることになるでしょうね。


――なるほど。最新の研究データはやはり重要なものですか?


笹倉医師 それは重要です。医学ではまだまだ分からないことだらけです。現在日本ではエビデンスを重視する近代西洋医学が主流になっていますが、それだってたかだか数百年ほどの歴史しかありません。たとえば、同じような発症の仕方で同じ病気にかかった人がふたりいても、生死が分かれる場合があります。なぜこの人は亡くなって、この人は生き残ったんだろうか、ふたりを分けたものは何だったんだろう? といったことは究明しないといけませんよね。そのためにはやはり研究が必要です。基礎的な研究、症例研究などから上がってくるエビデンスによって常識は更新されるものですからね。


――よそのお医者さんにかかるときに恥ずかしいな、と思ったりはしますか?


笹倉医師 それはあまりないですね。必要があってかかるわけですから。恥ずかしいという意味では、たとえば大腸の内視鏡検査を同僚にやってもらうのは嫌だな、とかは思いますけどね。医師でない皆さんも、職場の同僚に裸を見られたり、体の中を調べられたりするのは嫌でしょう? そこは皆さんと同じ感覚だと思います。


――ありがとうございました。



というわけで、「お医者さんがよそのお医者さんにかかることはあるが、しかしそれは場合による」とのことでした。


笹倉先生は「医者は面白いですよ。世界中でどんどんいろんな実験結果が報告されて、常識が書き換わっていきますからね。最新の論文を読むのも楽しいですし」と語っていらっしゃいました。最新の治験が医療を変えていくのです。同じ医師にかかるのでも、できれば「最新の常識」を知っている医師に診ていただきたいものですね。


(高橋モータース@dcp)