「ヘモグロビン」は「赤血球」に含まれる血色素です。赤血球が赤いのはヘモグロビンが酸素と結合し赤くなるからで、これが血液が赤い理由にもなっています。ヘモグロビンは「呼吸」について大事な役割を果たしているので、その量に変化があると困ったことになります。今回はヘモグロビンの役割、またその量の増減が与える影響について解説します。

記事監修



岡村信良医師


医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会-

■ヘモグロビンの役割とは?

赤血球は血色素ヘモグロビンで満たされています。赤血球は、肺を通るときに吸気で入ってきた空気から酸素を取り込みます。酸素を取り込む働きをするのがヘモグロビンです。血液は血管を通って体中を巡りますが、この循環で酸素が運ばれます。


赤血球中のヘモグロビンは体中の組織に酸素を運び、代わりに二酸化炭素を受け取ります。血液がまた肺に巡っていくと、そこで二酸化炭素を放出し、また酸素を受け取ります。そのため吐いた息には二酸化炭素が多く含まれます。


このように、赤血球中のヘモグロビンは、人間が生存するために必須の「呼吸」において、酸素と二酸化炭素の交換という重要な仕事をしているのです。

■「ヘモグロビン値」の基準値は?

ヘモグロビンは上記のように大事な物質(正確にはヘム鉄とタンパク質の結び付いたもの:後述)です。ヘモグロビンに異常があると「呼吸」に関わる一大事。ですから、血液検査で「ヘモグロビン値」について調べる項目が設けられています。

●ヘモグロビン値(血色素量)

「Hb」と略され1dL(デシリットル)中のヘモグロビンの量で示されます

ヘモグロビンについての血液検査では「ヘモグロビン量」が計測されます。ヘモグロビンの量が減ると酸素を運べる量が減りますから、その足りない分を補うために血流が速くなり、呼吸も速くなるといったことが起こります。


つまり、血液の循環スピードを上げ、酸素を取り込む回数を頻繁にして、体中の組織が酸素不足にならないようにするわけです。この場合には、動悸(どうき)、息切れといった正常ではない症状が引き起こされてしまいます。


ヘモグロビン量は男性、女性で以下のような基準値があります。

【ヘモグロビン量の基準値】

  • 男性:13.0-16.6g/dL

  • 女性:11.4-14.6g/dL

■ヘモグロビンが「多い」「少ない」とどうなる?

ヘモグロビン量が多いと酸素の供給がスムーズになって体にいいじゃない!と思うかもしれませんが、ヘモグロビン値が高すぎると「多血症(赤血球増加症)」という病気になることがあるのです。赤血球増加症は赤血球が増加し過ぎている病気で、赤血球数が多いのでヘモグロビンの量も多いわけです。


多血症になると、赤血球数が増加することにより血液の粘稠(ねんちょう:粘り気があって濃いこと)度が上がります。そのため、中枢神経の循環障害が起こり、「頭痛」「めまい」「顔の火照り」「のぼせ」「耳鳴り」といった症状が現れることがあります。また脳梗塞などを起こす可能性もあります。


ヘモグロビン量が少ない場合には、まず貧血の症状が出やすくなります。また上記のようなメカニズムで動悸・息切れが引き起こされがちで、そのほかにも、「ヘモグロビン量が少ないのは赤い成分が少ないこと」ですから、血色が悪くなります。


ヘモグロビンは「ヘム鉄」と「グロビン」(タンパク質)からできていますので、原料となる鉄がないとヘモグロビンはつくれません。ですから鉄分の摂取が少ないとヘモグロビンの量も減り、そのため貧血になってしまうというわけです。

■女性は特に「鉄不足」に注意!

女性は生理で体外に経血を排出します。その分だけでも貧血になりやすいので、意識して普段から鉄分の多い食事を取り、鉄欠乏性貧血にならないように注意したほうが良いのです。具体的には、以下のような鉄分の多い食品を取るように心掛けましょう。

【鉄分の多い食品】

  • 豚レバー

  • 鶏レバー

  • アサリ

  • カツオ

  • がんもどき

  • 納豆

  • 菜の花

  • 小松菜

  • ホウレンソウ

また、鉄のフライパンを使うと鉄分を取りやすいといわれます。調理器具から気を使うというのも、鉄不足にならないためのひとつの方法です。



ヘモグロビンは人間が生きていく上で大事な「呼吸」に関わっています。貧血は女性に多いことが知られていますが、「私は貧血かも?」と思う読者の皆さんは血液検査で「ヘモグロビン値」に注目してみてください。


(高橋モータース@dcp)