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早期発見、受診を心がけて!子宮腺筋症の治療法

2017.12.05

早期発見、受診を心がけて!子宮腺筋症の治療法


子宮腺筋症」は、何らかの原因で子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉層で増殖する病気です。子宮の筋肉層で増殖するため子宮が厚くなるなどして、不妊につながる可能性があります。とはいえ、こうした子宮の疾患についてはどんな治療が行われるのか心配になってしまいますよね。そこで今回は、「子宮腺筋症」の治療について解説します。

記事監修



高橋しづこ先生


産婦人科専門医。1995年、米国オレゴン州私立Reed Collegeを卒業。1997年、東海大学医学部へ入学。同大卒業後、東京大学医学部大学院より医学博士。その後は日赤医療センターや山王メディカルセンターで非常勤医師。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/138

■子宮腺筋症の治療方法

子宮腺筋症の治療には、

  • 薬物療法

  • 手術療法

のふたつがあります。しかし治療法といっても、薬物療法は、あくまでも過多月経や痛みといった症状の緩和、病巣組織の増殖を抑えることが期待できるだけです。薬の服用をやめると、病巣組織の増殖は再開され、症状が再び表れることになります。


また手術療法でも、根治させるのであれば「子宮摘出」が選択されます。しかし、それでは妊孕性(妊娠できる能力のことです)を温存できません。ほかにも手術方法はある(後述)のですが、安全性、術後の症状改善の持続性が確認できたとはまだ言えないのです。

■子宮腺筋症の薬物治療

子宮腺筋症も子宮内膜症も、子宮内膜に似た組織が起こす病気ですので、薬物治療で使われる薬はどちらも同じです。この組織は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が増加することで増殖しますので、エストロゲンの増加を抑えることができれば、組織の増殖も抑えられるというわけです。子宮腺筋症の治療では主に下のような薬が使われます。


  • 低用量ピル

    人工的に合成された「卵胞ホルモン(エストロゲン)」「黄体ホルモン(プロゲステロン)」に似た物質を成分とし、その働きによって子宮内膜様の組織の増殖を抑えます。副作用もほとんどなく、生理痛を軽減させる効果もあることから子宮内膜症の治療にもよく使われます。

※倦怠(けんたい)感・吐き気・頭痛・乳房の張り・不正出血といった副作用が見られることもありますが、ほとんどの場合1-2カ月で軽減されます。また血栓症などの持病がある患者は使用することができません。

  • ジエノゲスト

    人工的に合成された黄体ホルモンに似た物質を成分とし、下垂体に作用して排卵を抑制、卵巣に作用して卵胞の発育を抑制、子宮腺筋症の原因となる子宮内膜に似た組織の増殖も抑制します。不正出血・頭痛・便秘などの副作用が見られる場合があります。ただし、更年期様の副作用は少ないことが知られています。

  • GnRHアゴニスト(GnRHa)

    女性ホルモン量を下げて体を閉経状態に近づけることで、子宮内膜に似た組織の増殖を抑制します。閉経状態に近づけるという特性から、更年期様の症状が表れる、骨密度が減少するといった副作用が見られる場合があります。

  • ミレーナ(レボノルゲストレル放出子宮内システム)

    黄体ホルモンを子宮内に供給するシステムで、もともとは避妊用につくられたもの。黄体ホルモンには子宮内膜の増殖を抑える効果があり、これが子宮内膜症、子宮腺筋症の原因となる子宮内膜に似た組織にも作用します。そのため2014年から保険適用となりました。

■子宮腺筋症の手術療法

手術療法では、下のようなものが行われています。


  • 子宮の全摘出

    子宮を取ってしまうので根治になりますが、妊孕性が温存できません。

  • 子宮腺筋症病巣除去術/子宮腺筋症核出術

    妊孕性を温存するために、病巣の部分だけを取ってしまうという手術です。

  • 子宮動脈塞栓術

    子宮腺筋症の病巣部分に通じる血管をふさいで、血流を遮断します。病巣に栄養をいかなくして壊死(えし)・縮小させます。


子宮の全摘出を行うと根治になりますが、当然それ以降の妊娠は諦めないといけません。「子宮腺筋症病巣除去術/子宮腺筋症核出術」は、妊孕性を温存するために行われるのですが、『日本産科婦人科学会』のガイドラインによりますと、

症状の改善が得られ、術後妊娠例も報告されているが、現在のところまだ手術の有効性と安全性は確立されたとはいいがたい。妊娠時には子宮破裂を起こす可能性もあるため、臨床成績を集積することが必要である

(『公益社団法人 日本産科婦人科学会』『公益社団法人 日本産婦人科医会』「産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編2014」P.83より引用)


となっています。


「子宮動脈塞栓術」については、『日本産科婦人科学会』では

156例に試みられて131例(84%)に症状の改善がみられているが結論は得られていない。今後、症例数の集積による詳細な検討が待たれる

としています(引用元:上記同)


またこの術式は、以降の妊娠を希望する女性には行わないほうが良い、という指摘もあります。正常妊娠・正常分娩に至った例も報告されていますが、妊娠に対する安全性が確立されたとは言い難いのが現状です。



子宮腺筋症は不妊につながることがありますし、症状が進行すると子宮摘出という事態もあり得ますので、早期発見が望まれます。「月経時に感じるひどい痛み」「過多月経」「貧血」といった子宮腺筋症の自覚症状があったら専門医を受診するようにしてください。

⇒参照記事:『公益社団法人 日本産科婦人科学会』『公益社団法人 日本産婦人科医会』「産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編2014」

http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2014.pdf

(高橋モータース@dcp)