芸能人の薬物乱用のニュースを頻繁に耳にすることから、「薬物依存症」という言葉に耳なじみのある方も多いことでしょう。何かに依存しなければ生きていけない状態とは想像もつかない方がほとんどかと思いますが、実は薬物以外にも依存症の原因となるものは多く、およそ快楽を与えるものすべてについて、依存症は存在するといっても過言ではありません。


今回はこうした依存症の種類と原因、治療方法について見ていきましょう。

■依存症の種類

依存症は以下の3つに大別されます。

  • ①物質依存

    ある物質により快楽や刺激を得ることに依存すること。アルコール依存症たばこ依存症、薬物依存症がこれにあたります。

  • ②行為・プロセスへの依存

    ある行為をすることで快楽や興奮を得ることに依存すること。ギャンブル、買い物、性、窃盗、ネット、スマホなどが原因となります。

  • ③人・関係への依存

    屈折した感情がもととなり、特定の人との関係に依存すること。DV・ストーカーなどがこれにあたります。

このほか、「あるひとつの依存症を抑えたがために、別の依存症が発症すること」も往々にして見られます。たとえば、アルコール依存症を抑えたことでのストレス解消のためにギャンブルに浸る、などといった状況です。これを「クロスアディクション」と呼びます。


このように複数の依存症は互いに複雑に絡み合うことがあるため、依存症はひとりで治そうとせず、専門機関を受診することをおすすめします。

■依存症の原因について

依存症の原因については研究が発展途上で、明確な分類があるわけではありません。ここでは依存症の代表的な原因のうち、神経の変成と条件付け理論について解説します。

  • ①神経の変成

    アルコール依存症や薬物依存症に目立つ傾向です。脳神経が変成することで、アルコールや薬物によって得られる快楽を感じにくくなり、結果として摂取量が増え、依存症が強化されます。

  • ②条件付け理論

    ある行動により快楽を得られた経験は、その後、同じ経験を再び求め、結果として「快楽をもたらす行動を繰り返す」というサイクルが考えられます。条件付け理論によれば、こうした「快楽を求める行動」は、報酬すなわち快楽によって強化され、習慣化されると説明されます。

また「依存症になるのは心が弱いためだ」という考え方も、一般的には理解されやすいことでしょう。ですが、物質依存に関して近年の研究では、「物質の乱用の結果としてそのようなパーソナリティが形成されるという理解が妥当である」と考えられています。


つまり、弱い心は依存症を引き起こすのではなく、むしろ心の弱さは依存症によって引き起こされると考えるべきであるということです。

■依存症の治療方法

依存症の治療方法は非常に多様で、症状の種類や程度によって使い分けられます。ここでは、その多様な治療方法に共通する特徴を記述するにとどめさせていただきます。

  • ①患者さんの認知を変える

    カウンセリングなどを通して、依存していた対象がなくても生活できる、という風に、患者さんの考え方(=認知)を変化させる治療のことです。代表的なものは認知行動療法で、これは依存症のみならず様々な精神疾患の治療において用いられます。

  • ②患者さんの生活に介入する

    医療行為者が直接、あるいは患者さんの家族の力を借りるなどして、患者さんの生活に他人が介入し、依存関係を断ち切るよう働きかける方法です。

このほか、とくに物質依存に関しては投薬治療が行われることも、しばしばあります。いずれにせよ依存症を独力で改善させるのは難しく、専門機関を受診し、他人の力を借りて適切なプロセスを踏むことが、正しい治療方法の根幹であると言えるでしょう。



快楽を与えるもの、ほぼすべてに存在するといえる依存症。あなたもなってしまう可能性はゼロとは言えません。もし何かに依存している、と自覚があるなら自力で治そうとはせず、精神科など専門家の力を借りましょう。


(執筆・監修 ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)