乳がんを発症すると胸にしこりができるといわれます。実際にしこりのようなものに気付き、悩んでいる人がいらっしゃるかもしれません。しかし、それはほかの病気の可能性もあります。今回は胸にできる「しこり」について解説します。

記事監修



加藤智子 先生


産婦人科医。浜松医科大学医学部医学科卒業、社会医療法人財団新和会八千代病院勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


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■しこりのセルフチェック方法

まずはしこりがあるのかないのかを見極めなければなりません。もちろん正確な判断のためには医療機関で診断を受けるべきですが、セルフチェックでもある程度はチェックできます。


  • 目視でチェック

    姿見を使って、自分で見ながらある程度チェックできます。以下のような点に注意して、よく見てみましょう。


    ・皮膚の状態

    湿疹やただれ、赤み、変色、表面の盛り上がりやくぼみがないでしょうか。


    ・大きさ、形

    左右で大きさ、形、高さなどが極端に違わないでしょうか。腕を上に上げた状態でも観察してみましょう。


    ・えくぼ

    しこりがあると乳房に「えくぼ」のようなくぼみができることがあります。


    ・乳頭の状態

    湿疹やただれ、痒(かゆ)みがありませんか。乳首のおじぎの状態を見ます。


  • 手で触ってチェック

    自分の手で触ってしこりを探します。手を開き、親指以外の4本の指を伸ばして合わせた形にします。手のひらと指を使って撫でて調べます。入浴時、手にせっけんを付けるなどすると、手触りがツルツルして調べやすくなります。


    触ったときに、小さい球やおはじき、あるいはもっと柔らかい「異物感」があれば、それはしこりかもしれません。硬さや形状、大きさ、動くかどうかなどによってどのような原因なのかがある程度分かります。

■胸にしこりがある場合に考えられる疾患は?

胸にしこりができる原因となる疾患には、以下のようなものが考えられます。


  • 乳がん

    まれに男性が発症することがありますが、患者の多くは女性です。悪性の腫瘍ができています。早期に発見することが肝心です。

  • 乳腺症

    30-40歳の女性が多く発症する病気です。実際には、乳がんのような特定の疾患と診断されなかったしこりをまとめて「乳腺症」と呼んでいます。生理周期によって症状が変化しますが、良性のものなので一般的には治療対象になりません。

  • 乳腺線維腺腫

    思春期以降の若い女性によく見られる病気です。しこりは柔らかめで輪郭がはっきりしています。大きいものでも3cmほどで、ほとんどの場合は触っても痛くありません。乳腺症と同じく良性のしこりです。

  • 急性うっ滞性乳腺炎

    乳腺に炎症が起こるという疾患です。乳房に母乳がたまってしまい、それによって炎症を引き起こします。

  • 急性化膿(かのう)性乳腺炎

    乳頭にできた傷や乳管口が、細菌に感染して炎症を起こすという疾患です。細菌による炎症のため、多くは発熱を伴います。

■がん? それとも? 見分ける方法は?

乳がんによってできるしこりにはいくつか特徴があります。該当するのであれば乳がんの可能性がありますし、全く該当しないようなら乳がんの可能性は低いといえます。

  • 乳がんのしこりは硬い

    たとえば、乳腺線維腺腫によってできるしこりは柔らかめです。乳がんの場合、石のように硬く感じることが多いです。

  • 乳がんのしこりは動かない

    上記の乳腺線維腺腫のしこりは、指で押すと逃げるように動きます。ところが乳がんのしこりは周囲と癒着しているようで動きません。

  • 乳がんのしこりは痛くない

    乳がんでできるしこりは、ほとんどの場合押しても痛みを感じません。乳腺症や急性うっ滞性乳腺炎、急性化膿性乳腺炎では痛みがあります。


上記の特徴についても必ずそうなるということではなく、例外もあります。異常を感じた場合には、原因を特定させるためにもなるべく早く病院に行くよう心掛けましょう。


(藤野晶@dcp)