手の小指が痛い、しびれるといった症状に悩まされている場合、けがや病気など、いろいろな理由が考えられます。一過性のものだろうと放置してしまいがちですが、適切な処置をしないと、場合によっては悪化する可能性もあります。今回は「小指が痛くなる原因と対処法」について、整形外科医の村田三奈子先生に伺いました。

取材協力・監修



村田三奈子 先生


整形外科医。東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学東医療センター 整形外科、Harvard Univ. Massachusetts General Hospital, Dept. Orthopaedic Surgery、東京女子医科大学 非常勤講師、聖マリアンナ医科大学 非常勤講師を経て、2014年に医療法人東和会『M’s クリニック』開設。女医+(じょいぷらす)所属。


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■原因1:けが

一番オーソドックスなのが、「小指をぶつけてしまった」などの、けがによる痛みでしょう。物を取ろうとしたときに突き指をしたり、転んで手をついたときに「脱臼」や「骨折」したり……。こうした外傷は、強い痛みのほかに、患部の腫れなどが見られます。


小指をぶつけてけがをした場合の対処法は、安静にする(Rest)、冷やす(Icing)、圧迫する(Compression)、高く上げる(Elevation)というのが基本で、英語の頭文字を取って「RICE」(RICE処置)と呼ばれています。


軽度の突き指程度ならこれらの処置だけでも十分ですが、脱臼や骨折となるとそうはいきません。「小指が腫れている」、「激しく痛む」といった場合は、なるべく早く病院に行って診察してもらいましょう。

■原因2:ヘバーデン結節

手の小指が痛いときに疑われるのは「ヘバーデン結節」という疾患です。


手の指の第一関節が腫れたり曲がったりし、ときには痛みを伴うこともあります。この疾患の一番の特徴は、「指の第一関節のみに症状が現れる」という点です。30-40歳以降の年齢の女性によく見られること、パソコンを使った事務作業など、手をよく使うという人ほど発症しやすいという特徴もみられます。


このような症状や特徴に思い当たりがあれば、整形外科で診てもらいましょう。原因不明の疾患とされていますが、レントゲン写真で判断できます。


ヘバーデン結節の治療は、テーピングで患部を固定するという方法が一般的です。指が腫れたり、痛みがあるなど症状がある場合、消炎鎮痛剤やテーピングによって、著しく変形が進行するのを防ぐことができるとされています。

■原因3:ブシャール結節

指の第二関節が腫れたり痛んだりするのであれば「ブシャール結節」かもしれません。手を使うことが多い女性の発症率が高く、手で物をつかんだり、パソコンのキーボード操作をする動作のとき、指に違和感を覚えたり、痛んだりします。特に多い症状は、「指を曲げるときに痛む」というものです。


目に見える症状は、「腫れ」や「変形」です。症状が出るのは指の第二関節のみで、これがヘバーデン結節との大きな違いですが、症状はとてもよく似ています。


ブシャール結節は、対症療法による治療が一般的です。患部を温めると痛みを和らげることができます。へバーデン結節と同じように、できるだけ手や指を使うことを控えて安静にする、テーピングで固定するといったことも有効です。


ブシャール結節の痛みは、発症後数年で治まりますが、変形してしまった関節は元には戻りません。治療・対処においては、関節の変形を抑えるということを念頭に置いておきましょう。

■原因4:痛風性関節炎

「痛風性関節炎」、いわゆる「痛風」はもともと男性に多い疾患ですが、女性も発症することがあります。これは、血液中の尿酸値が高い状態が続くことから発症する疾患です。通常、尿酸値は健康な人はほぼ一定値で安定していますが、さまざまな原因で血中の尿酸量が増えたままの状態(高尿酸血症)が続くようになると、尿酸が結晶を作り、関節炎を発症して痛みを引き起こします。これが「痛風発作」です。


痛風の炎症は指の関節だけでなく、肘や膝などの関節にも現れます。チクチクしたり熱っぽくなったりするという前兆の後に症状があります。初期は市販の鎮痛剤などで痛みや腫れは改善しますが、病状が進行すると発作の間隔が短くなり、痛みも強く、治まりにくくなってきます。


また、関節の変形が見られることもあります。末期まで進行すると、関節破壊が進行して関節が固まって動かなくなったり、痛風結節が皮膚から突き破って出てくることもあるのです。そのまま放っておくと、腎不全、心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる事態にもつながります。


痛風発作を抑えるためには薬剤投与が主体です。そのほか、尿酸値を下げるために食生活の改善やストレスケアといった生活習慣の見直しも大切になります。肉、魚、アルコールなど、尿酸値を上げてしまうような食品は控え、バランス良く栄養が取れる食事を心掛けましょう。


手の小指の痛みは、今回ご紹介した以外の原因も考えられます。体が痛むというのは何か異常があるということです。どの疾患にしても、自己判断で放置してしまうと、症状が悪化し取り返しのつかないことになってしまう場合があります。小指に限らず、どこかに痛みがある場合はすみやかに病院を受診してくださいね。


(藤野晶@dcp)