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火渡りをしてもやけどしないのはなぜ?ポイントは「熱伝導」にあり!?

2017.12.10

火渡りをしてもやけどしないのはなぜ?ポイントは「熱伝導」にあり!?


山伏、修験者、行者が行う「火渡り」という儀式があります。焼けた炭を敷き詰め、その上をはだしで渡るというもの。最近では、修験者だけではなく観光客が参加できたりしますが、この火渡りで「やけどしない」のはなぜなのでしょうか? 


『と学会』の運営委員にして日本最強のデバンカーといわれる皆神龍太郎先生にお話を伺いました。

記事監修


皆神龍太郎氏


疑似科学ウォッチャー。『と学会』運営委員。ASIOS会員。しばしば日本最強のデバンカーといわれる存在。『UFO学入門 伝説と真相』(楽工社)、『あなたの知らない都市伝説の真実:だまされるな! あのウワサの真相はこれだ! 』(学研パブリッシング)など著書多数。


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■「火渡り」にはコツがある!

――火渡りでやけどをしないのはなぜなのでしょうか? 


皆神先生 いや、間違うとやけどしますよ(笑)。やけどしないようにするためのコツがあるのです。

・炭を用いること

・さっさと渡ること

です。やけどをしないで済ませるには、熱を足の裏に伝わらせないようにすることがポイントになります。熱は「対流」「放射」「伝導」という3つの方法で伝わりますが、火渡りの場合には「熱伝導」が最重要です。


温度が同じでも熱伝導率が違うと、熱の伝わり方は全く異なるのです。たとえば100度のお湯に手を長く入れると必ずやけどしますが、同じ100度のサウナに入ってもやけどしないでしょ。これは水と空気では、熱の伝導率が20倍近くも違うためです。


炭は熱伝導率が低いのです。また、表面がでこぼこしていますから足の裏の全ての部分に接触するわけではありません。さらに灰が積もってくると、これが熱伝導率を下げる役割もします。


熱伝導率が低い点を利用して、できるだけ炭に接触しないようにさっさと渡ることができれば、やけどはしなくて済むという理屈です。足の裏が炭に触れている時間が0.5-1秒といった短い時間であれば、なんとかやけどをしなくても済みます。


逆にいくら早足で歩いても熱伝導率の高い金属、例えば鉄板などの上を歩くとなるとスグに大やけどを負います。

■ライデンフロスト効果は関係ない!?

――ネットでは火渡りには「ライデンフロスト効果」が関係しているという話がありますね。足の裏が火渡りの緊張からくる汗で湿っていると、それが水の膜となってやけどしないという……。


皆神先生 いや、ライデンフロスト効果はそう関係ないと思います(笑)。ライデンフロスト効果は、水蒸気の幕が熱伝導を防ぐというもので、そうですね……家庭で焼き肉をすると、ホットプレートの上を水滴が浮いてジャーッと滑っていくことがあるでしょう? あれが典型的なライデンフロスト効果による現象です。


――なるほど。


皆神先生 あらかじめ足の裏を水に浸けておいたりすると、ある程度熱を防ぐことができるでしょう。でも水滴のように鉄板から浮いていられるわけではない。ですから、「ライデンフトスト効果でやけどしない」という説明は十分ではない、と思います。


――観光客が参加できる火渡りのイベントもありますね。


皆神先生 私も2回、やったことがありますよ。最初に渡る本職の行者さんが一番危険で、後になるほど熱も小さくなり、灰もかぶってきますので安全です。観光客の皆さんが万が一にもやけどしないように、水をかけて鎮火したりするところもあります。ですから、観光用の火渡りでやけどをすることはまずないでしょう。実際、私が渡ったときの印象は、2回とも「足裏が冷たかった」ですね(笑)。


――なんだかがっかりですね。


皆神先生 それは仕方ありませんよ。一般の人がやけどを負ったりしたら大問題になりますからね。


――ありがとうございました。



というわけで、火渡りにはコツがあるという話でした。しかし、焼けた炭の上を歩くのには勇気がいります。おっかなびっくり、へっぴり腰でゆっくり歩いてしまうと、たちまち「大やけど」ということになりかねません。さっさと渡れるのが精神力の強い人、勇気ある人というのであれば、精神力の強い人・勇気ある人ほどやけどしないのは確かですね。


(高橋モータース@dcp)