目がかゆい。かゆすぎる。


こすってはいけないとわかっているけれども、やっぱりこすってしまって、充血したり、かゆみが強くなったり。一度こすると止まらなくなってしまう……なんて、誰しもある経験です。


特に花粉症の季節はつらく、もういっそのこと目玉ごと取り出して洗いたい! 一体どうすれば良いのでしょうか? 対処法について、眼科の先生にお話を伺いました。

取材協力・監修



安倍勇(あべ・いさむ)先生


医療法人社団豊珠会 あべ眼科クリニック院長。

昭和大学医学部卒。昭和大学藤が丘病院眼科学教室助手、沖縄県立名護病院眼科医長等を経て1987年あべ眼科クリニック開設。1998年に医療法人社団 豊珠会 安倍眼科クリニック開設。公益社団法人江東区医師会元学術部部長 現学校医部会委員。

■個人差がある目のかゆみ! なぜ起こるの?

――ときどき、どうしようもなく目がかゆくなることってありますよね。目のかゆみの原因とは、なんなのでしょうか。


安倍先生

日常生活で考えられる原因はさまざまです。たとえば、花粉やダニ、ハウスダストなどが原因でアレルギー反応を起こすもの。さらに、ウィルスや細菌によって、白目部分の結膜が炎症する結膜炎を起こし、かゆみ以外にも目ヤニや充血、涙目などの症状が出ることもあります。


そもそも目の角膜には血管がないため、涙を介して空気中から体に必要な酸素を取り込んでいます。しかし、パソコンやスマホに集中すると、瞬きの回数が減り、目を保護する涙が蒸発したり分泌量が減ったりしてしまうので、角膜が乾燥してしまいます。本来供給されるべき酸素や栄養素が不足することで、かゆみや疲れ目、異物感、充血など、ドライアイの諸症状を引き起こしてかゆみが発生してしまうのです。


――以前、コンタクトレンズを使用していたときは、外した後にかゆくなりました。このときの原因はなんでしょうか?


安倍先生

コンタクトレンズを使用している方に多いかゆみは、不十分な洗浄によってレンズに残った汚れ、適切な装着時間を超過したことで起こる目の酸素不足や乾燥によるものです。汚れは、細菌が感染する媒介となるため、アレルギー反応を起こしてしまうこともあります。また、女性に多い原因としては、アイメイクの洗い残しもあげられますね。眼瞼炎やアレルギー反応の原因となることもあるので、しっかりメイクを落としましょう。


――かゆみの性質や発生する場所は、原因によって異なるのでしょうか。


安倍先生

原因は同じでも、人によってかゆみの発症箇所や強度は異なります。目の表面や奥、まつげの根本、まぶた自体などさまざまです。アトピーのある方で、目を叩きたくなるほどの強いかゆみを感じてしまう人もいます。患者さんの症状を聞いていると、布団に入って身体が温まったときなどに、かゆみが出やすくなる人もいるようです。


――結膜炎の症状に目ヤニもありましたが、かゆみの発症と関係はありますか? 朝起きたときに目ヤニが溜まっていることもあり、気になっています。


安倍先生

起床時の目ヤニは、眼精疲労や結膜炎などが発生しているときに出やすくなりますが、特にかゆみと直接的な関係はありません。顕著な場合はともかくとして、多少であれば気にしなくても大丈夫でしょう。

■目を傷つけずにかゆみを抑える応急処置とは?

――目のかゆみを抑えるにはどうしたらいいのでしょうか? 我慢できず、つい手でこすってしまうのですが……。


安倍先生

爪などで眼球を傷付け、手に付着した異物が目の内部に侵入する危険性があるので、目をこするのは厳禁です。目の周りの皮膚は大変薄いので、摩擦がシワの原因になることもあります。ぐっと我慢しましょう。


かゆみへの対処法として、清潔なタオルを冷やして、まぶたを閉じて目を抑える方法が良いでしょう。ここで注意すべき点は、タオルの温度と当て方です。


キンキンに冷えたものは刺激が強いため、水道水程度の冷たさにしてください。人の体温は一般的に36度あり、かゆみが出ている箇所は熱をもっているので、水道水程度でも十分に冷たさを感じます。またタオルを当てる際は、眼球を圧迫せず、目の少し上、眉毛に当てるような感覚が良いでしょう。


――水道水で目を洗うのはいかがでしょうか?


安倍先生

水道水で目を洗うのは、洗剤など明らかに異物が目の中に入ったときだけに留めてください。目を洗いたいときは、防腐剤無添加の人工涙液を点眼するのが良いでしょう。目を保護する涙を洗い流すことは避けたほうが良いため、市販の洗浄液などで習慣的に目を洗うのもおすすめしていません。


――どうしても目がかゆいとき、スーッとする目薬を何度も使ってしまうのですが、それは大丈夫なのでしょうか?


安倍先生

疲れ目用の目薬でしょうか。かゆいときに、疲れ目用の目薬をつけても害にはなりません。スーッとして差し心地が良ければ、心も休まると思います。ただし、一回差したら1時間以上、間を空けてください。


目薬はあくまでも応急処置法なので、目的に合ったものを正しく用いるのが効果的です。市販薬でも改善しなかったりいつもと違う症状があったりする場合は、眼科を受診してください。

■かゆみを予防することはできる?

――どうしてもかゆみを抑えたい! という人が、普段から気を付けるべきことはありますか?


安倍先生

目の乾燥からくるかゆみの場合は、まばたきを意識すると良いでしょう。まばたきは、分泌された涙を目に送り込むポンプのような役割を持ち、これが止まると涙が目の表面に供給されないために、どんどん乾いてしまいます。またエアコンの風が目に直接当たらないように工夫することも大切です。


緊張しているとき、パソコン画面を凝視しているときは、まばたきが少なくなります。まばたき以外にも気分転換も兼ねて、軽く目を閉じて、ゆったりと呼吸を意識して深い息をするのも良いですね。


――花粉やウィルスなど、外的要因を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?


安倍先生

とにかく清潔を心がけることです。こまめな部屋の掃除やベッドシーツの洗濯、マットの除菌・乾燥、帰宅後の入念な手洗いなど。花粉の時期は、花粉がまとわりつきやすいニットよりも、付着しにくいツルッとした生地のものを着る、玄関先で付着した花粉などを叩いて室内にできるだけ侵入させないなど、対策はいろいろあります。とはいえ100%防ぐことはできないので、かゆくなったときに目を傷付けずに対処できるようにしましょう。


――目の病気は何かが起こってからでは怖いですよね……。目の状態を知るためにセルフチェックする方法はありますか?


安倍先生

同じ条件、同じ場所から、時計やカレンダーなどの同じ目標を片目ずつ見ることで、見え方や左右の視野を確認してみてください。なにか違和感を覚えることがあったら、眼科医にすぐに相談するのが良いでしょう。


以前の患者さんにあったケースですが、知り合いから点眼薬を回してもらって習慣的に使用している方がいました。自分自身に処方されていないものは絶対に使用しないでください。特にステロイド点眼薬の場合は、知らないうちに眼圧を上げて、頭痛や吐き気など危険な症状を引き起こすこともあるので、自己判断で薬を使用するのは厳禁です。



仕事やプライベートでもスマホ・パソコンを見る習慣が多いのに加え、特に女性は日々のアイメイクなどでも目に負担をかけがち。目のかゆみに耐え切れずにかいてしまい、目の周りがしわだらけになるのも絶対に避けたいところですよね。涙たっぷりの保護されたキラキラ瞳で、目の健康も取り戻してみませんか?


(取材・文:小林有希 編集:ノオト)