法事に茶道華道書道のおけいこごとなど、楚々とするべき場面で、正座の最中に顔がゆがむほど辛かったという経験がある人は多いのではないでしょうか。そこで、理学療法士、鍼灸師でアース鍼灸整骨院(千葉県市川市)の仲川豊基(なかがわ・とよき)院長に、正座中にしびれを緩和するお助けツボとその刺激法、また正座後にすぐに実践したいストレッチ法を教えてもらいました。

取材協力・監修



仲川豊基氏


鍼灸師。理学療法士。パーソナルトレーナー。アース鍼灸整骨院院長。

アース鍼灸整骨院: 千葉県市川市1-24-3パークテラス市川1F


http://earth-seikotsuin.com/

■しびれの原因は、足を圧迫し続けて血流が滞るのが原因

正座中に足がしびれる原因について仲川さんは、次のように説明します。


「持続的に足を圧迫して刺激を加え続けた結果、足の表面の感覚神経が直接刺激を受けるためにしびれる場合と、血流が滞って神経の活動に必要な酸素が不足し、神経伝達が異常をきたす場合とがあります」


しびれを通り越して、ひざから下の感覚がなくなることもあります。


「しびれている間は、苦しいという神経からのサインと考えられていますが、さらに正座を続けると、しびれや痛みを伝える神経の機能が一時的に止まることがあります。限界だと悟ってください。そして立ち上がるときにはそっと動きましょう。急に動くと、すってんと転んでねんざや骨折などの大けがをするケースも多くあります」と仲川さん。


そのようなことになる前に、なんとかしびれを緩和したいものです。

■しびれが強くなる前に刺激することがコツ

ではここで、正座の最中にできるだけ人目につかないように刺激して、しびれをケアするツボを挙げてもらいましょう。


「いまから紹介するツボは、しびれが強くなる前に指圧しておくと予防になるでしょう。足の冷えや腰痛、イライラなどの対策にも有用ですので、覚えておくと便利です」と仲川さん。



(1)ツボ・太衝(たいしょう)を刺激する


太衝とは「大きく動かす」という意味合いで、足の甲に動脈が走っていることを表現しているとされます。足の血流を促し、足のしびれや痛み、冷え、トイレが近い・遠い、めまい、腰痛、またイライラや憂うつなど精神不安にも作用します。


位置:

足の甲側、おや指とひとさし指の骨のつけ根が交差するところ。動脈の拍動を感じるでしょう。左右にあります。



刺激法:正座中なら、一方の足を少し上げて手のなか指で5秒ほど押したりゆるめたりを3~5回、繰り返します。左右とも行います。



足首を立てることができる場合は、手のなか指やおや指で、同様に刺激を加えましょう。




(2)ツボ・足三里(あしさんり)を刺激する


足のしびれ、痛み、だるさのほか、冷え、胃炎、便秘、下痢、乗り物酔い、めまい、のぼせ、太りすぎ、やせすぎ、食欲不振、疲労感、イライラや憂うつ感などの精神不安など、多くの不調に対応する万能ツボとして知られるツボです。正座によって、もっとも圧迫されているひざ下を直接刺激することができます。


位置:ひざのお皿の下、骨が外側にでっぱっている部分から、手のおや指以外の4本の指をそろえた幅だけ下がったところ。左右にあります。



刺激法:正座中に、両方の手のひとさし指となか指で、5秒ほど押したりゆるめたりを3~5回、繰り返します。足を伸ばすことができたときは、手のおや指で押し回しましょう。左右とも行います。




(3)ツボ・委中(いちゅう)を刺激する


ひざの裏にあり、動脈が通っているため、刺激をすることで血流を促しやすいツボです。「委」には「曲がる」と言う意味合いがあり、曲がる部位の中心を表します。足のしびれや痛み、むくみ、腰痛に対応するツボです。


位置:ひざの裏側、横じわの真ん中。動脈の拍動を感じます。左右にあります。



刺激法:正座中は、一方のおしりを軽く上げて手のなか指で5秒ほど押したりゆるめたりを3~5回、繰り返します。腰を軽く上げることができるタイミングなら、手のおや指で同様に刺激しましょう。左右とも行います。


■正座時と逆の方向に足を伸ばし、曲げて、振る

「正座終了後に足が伸ばせるタイミングで、さっと次のストレッチを行いましょう。コツは、正座をしていたときと足の向きを逆にして筋肉を伸ばすことです。血流を促します」(仲川さん)



(4)ふくらはぎ伸ばし


床に座ったまま両方の足を前に伸ばし、足首からふとももに向かって両方の手をつかってさすりあげましょう。次に、つま先を上に向けてふくらはぎを伸ばします。可能ならば、手で足の指先を持ち、ゆっくりと手前に引っ張りましょう。しびれが強くてできない場合は、ひざを曲げて行いましょう。また、あらかじめひざを曲げてつま先を持ち、少しずつ伸ばしていく方法もあります。




(5)両足伸ばしぷるぷる


床に座ったまま両方の足を伸ばして前に出し、手を床について体を支えながら、足を軽く上下左右にぷるぷるとふるわせます。次に足首からふとももに向かって軽くたたいていきましょう。血流を促し、しびれや痛みを緩和するように働きます。



最後に仲川さんは、「睡眠中に寝違えた、朝起きたら肩がこっている、腰が痛いなども足のしびれと同じで、長い時間同じ姿勢でいたために筋肉や組織が圧迫されて萎縮することが原因で起こります。寝返りが重要と言われるのはそのためです。できるだけ同じ姿勢でいることを避けましょう」とアドバイスを加えます。


しびれる前のツボ刺激、しびれた後のストレッチ、これらを覚えておき、次の正座のときには涼しい顔をしていたいものです。また、足の冷え対策にもなる方法だということで、どれも参考になるのではないでしょうか。


(取材・文 海野愛子/ユンブル)