検索
寝ているときに歯ぎしりをしてしまう原因って?

2017.12.19

寝ているときに歯ぎしりをしてしまう原因って?


寝ている人の歯ぎしりが気になったことはありませんか?本人は寝ているのでなかなか気づけませんので、もしかしたら自分も、寝ている間にしてしまっているかもしれませんよね。また、無意識かもしれませんが、歯ぎしりは「起きている間」もしている可能性もあります。今回は「歯ぎしり」について解説します。

記事監修



井上剛(いのうえ・ごう)先生


歯科医。東京医科歯科大学歯学部卒業、東京医科歯科大学大学院修了後、同大学院 医歯学総合研究科、う蝕制御学分野助教授として2008年より勤務。医師+(いしぷらす)所属。

■歯ぎしりの原因

歯ぎしりには、いくつかの原因があると考えられています。


  • ストレス

    歯ぎしりの代表的な原因として、ストレスの影響が考えられます。人間はストレスを発散させるために体を揺するなど、いろいろな行動をします。歯ぎしりもそのひとつで、日中に受けたストレスを睡眠中に発散させるためのものだという説です。特に環境の変化が大きいときには気がつかないうちに大きなストレスを感じてしまうこともあり、それが歯ぎしりの原因となります。


    人間は約90分周期で、浅い眠り「レム睡眠」と深い眠り「ノンレム睡眠」を繰り返して眠っています。歯ぎしりは、このうちレム睡眠のときに起こります。

  • 歯のかみ合わせ

    歯並びが悪い人は、上下の歯のかみ合わせが悪く、歯ぎしりを起こしやすくなります。歯並びが悪い人が歯ぎしりをすると、特定の歯に多くの力がかかりダメージを受けるのが特徴です。


    歯がすり減ってしまっていたり(歯の摩耗や酸蝕症※)、歯の治療などでかみ合わせに変化があったときにも、歯ぎしりをすることがあります。


    ※酸蝕症(さんしょくしょう)とは飲み物や食べ物、胃酸などによって歯が溶ける病気のことです。

  • 無意識に行っている癖が寝ている間に出ることもあります。日中の食いしばりや、Tooth Contacting Habit (歯列接触癖)です。通常の食事や会話中に行う上下の歯の接触は24時間で20分程度と言われていますが、それ以上に接触させている癖を指します。この動きを筋肉が記憶していることにより、夜間にも歯ぎしりが発生します。

  • お酒やたばこ

    お酒やたばこ、カフェイン、抗うつ剤には眠りを浅くする働きがあります。浅い眠りのレム睡眠のときは、歯ぎしりが起きやすくなります。

■歯ぎしりの治し方

歯ぎしりを「ただの癖だから」と放置するのは、とても危険なことです。


歯ぎしりをしている間というのは、歯や顎に強い力を加え続けています。このため、歯がすり減ったり欠けたり、最悪の場合、歯が割れる原因にもなります。また、歯の周囲の骨が吸収され歯周病の原因になったり、顎関節症を引き起こすこともあります。歯ぎしりをしている自覚があるのなら、早めに治療をするほうがいいでしょう。


歯ぎしりの治療法には以下のようなものがあります。


  • マウスピースの使用

    イメージとしては、ボクシングなどで使用している道具です。歯にかぶせることにより、歯ぎしりによる歯へのダメージを軽減します。あごの安静位を保つので、筋肉の緊張を和らげる効果もあります。


    マウスピースにはソフトタイプとハードタイプがあり、それぞれ症状によって適応が違うので、歯科医の診断によってどちらのタイプがいいのか相談することになります。自分の歯型から作るので、歯にぴったりフィットして保護します。


    市販のマウスピースを使うという方法もあります。市販のものは歯科医院でのオーダーメードよりも安価で、手軽に効果を試してみるにはいいかもしれません。しかし、オーダーメードのマウスピースのように、自分の口にフィットするとは限りません。合わないマウスピースによってさらに症状が悪化したり、その他の病気の原因になることも考えられるので要注意です。

  • かみ合わせの治療

    かみ合わせが悪いことが歯ぎしりの原因であるなら、それを治すことにより歯ぎしりも改善されます。治療方法としては、歯並び自体を治す矯正治療や、かみ合わせが悪くなっている歯や詰め物を削り、バランスを調整するというものです。

  • 精神的ケア

    歯ぎしりの原因がストレスにある場合、マウスピースを装着しても根本的な解決にはなりません。強い精神的ストレスを感じているのなら、マウスピースでの対策に加えて心療内科でのカウンセリングを受けてみましょう。

■セルフケアで注意すべき点

歯ぎしりの根本的な治療としては歯科や心療内科の専門医に相談すべきですが、自分でできる対策もあります。以下のような点には気をつけたほうがいいでしょう。


  • 「歯列接触癖(TCH)」の改善

    TCHがある方は口回りの筋肉(口輪筋)は緊張したままになったりします。この癖を改善するためには、まず自覚することが大切です。


    上下の歯を合わせて口輪筋が緊張していることを自分で確認すること、次に自分の普段過ごしている職場(特にパソコン周りなど)に「口をリラックスさせる」などの張り紙を行い、“気づき”を誘導するような行動変容療法が有効です。

  • 口輪筋の緊張を解く

    筋肉の緊張によって歯ぎしりが起きているのであれば、緊張を解いてあげるのが一番効率のいい治療法になります。お風呂などでリラックスしているときに両頬を手のひらで大きく動かしてマッサージしたり、舌で頬を内側から押してあげるような運動も有効です。いずれも寝る前に行うといいでしょう。

  • 食事中にも注意

    歯ぎしりをする人は、柔らかい食べ物を食べるときにもつい強くかんでしまったり、かむ回数が少なく食べ物を飲み込むのが早いという傾向があるようです。かむ回数を増やし、左右の歯で均等にそしゃくするよう注意してみましょう。

  • 就寝前の注意

    上記のとおり眠りが浅いと歯ぎしりが起きやすいので、これを改善するため、睡眠の質を高めるように努めましょう。寝る前に飲酒、喫煙、カフェインの摂取を控える、スマホを触らないといった方法が一般的に知られていますね。また、高さのある枕を使うと歯をかみしめやすくなるようです。歯ぎしりの癖がある人は、枕を替えてみるのもいいかもしれません。


歯ぎしりは家族や友人、パートナーの睡眠を害してしまう可能性があるだけでなく、歯を傷めたり顎関節症になったりといった二次障害を引き起こすこともあります。歯ぎしりを自覚している人は、まずは簡単に取り組める対処法から実践してみるといいでしょう。


(藤野晶@dcp)