金属に触れると、肌にかゆみや赤みが生じてしまう「金属アレルギー」。アクセサリーや腕時計を身に着けることが多い人にとっては、一度発症すると深刻な悩みになってしまいます……。


そもそも金属アレルギーの原因は一体なんなのでしょうか? その治療法はどんなものが? シロノクリニック銀座院の笠井美貴子副院長にお話を伺いました。

取材協力・監修



シロノクリニック銀座院

笠井美貴子副院長


東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院皮膚科や三井記念病院皮膚科勤務を経て2015年、シロノクリニック入職。強みは、丁寧なカウンセリングと豊富な知識に基づく確かな治療。

■そもそも金属アレルギーとは?


――金属アレルギーの症状について教えてください。かゆみや赤みが出るものというイメージがありますが、どんなことが挙げられますか?


笠井先生

かゆみや赤みのほか、腫れ、水ぶくれ、蕁麻疹などの症状が発生します。基本的には、金属が触れた肌の部分に症状が起こります。


――金属アレルギーが発症するメカニズムを教えてください。


笠井先生

アレルギー全般に当てはまることなのですが、抗原となる物質に身体が晒されると、その物質に対する抗体が作り出されます。一度抗体ができると、抗原に触れるたびにアレルギー反応が出るのです。金属アレルギーに関しては、肌に触れた金属がイオン化し、体内に入ることで症状が起こります。


――イオン化は、どんな金属が肌に触れることによって起こるものなのでしょうか? 


笠井先生

基本的にはどの金属でもイオン化する可能性があります。特に、汗をかいているときは発生しやすいですね。イオン化しやすい金属がある一方で、逆にイオン化しにくい金属もあります。

■金属アレルギーになりやすい金属、 なりにくい金属


――イオン化しやすいものとそうでないもの、金属の種類を教えてください。


笠井先生

イオン化しやすい金属で代表的なものは、ニッケル、コバルト、クロムなどが挙げられます。安価で加工しやすく、ピアスや指輪などに使われることが多いですね。


イオン化しにくいのは、金やプラチナ、銀など、いわゆる高価な金属類。中には、これらを使ったアクセサリーで発症する人もいますが、比較的アレルギー反応が起きにくい金属です。でも、金やプラチナを使った装飾品でも、金メッキとして使われている場合は、メッキの中がニッケルやコバルトなどの合金であることがあります。そうすると、外側のメッキが剥がれてしまった時に中の合金が表面に出てきて肌に触れ、アレルギーを引き起こすケースも少なくないです。


――金属アレルギーは、生まれつきのものですか? 後天的なものですか?


笠井先生

素質としては生まれつき持っているものですが、日々どれくらい抗原に触れて感作されているかによります。触れている回数や時間が長かったりすると、閾値を超えて発症することがあります。


――一度発症してしまうと、一生付き合っていかなければならないものなんですか?


笠井先生

そうですね。基本的には完全に治るということはないかと思います。一方で、金属類を身に着け続けても、ずっと発症しない人もいます。


――ピアスや指輪、腕時計の話がありましたが、ほかに金属アレルギーを引き起こす原因になりそうな装飾はどんなものがありますか?


笠井先生

ネックレスやブレスレットなどのアクセサリー類、ベルトのバックルなど、肌に触れる可能性がある金属類全てですね。歯の詰め物なども該当する場合があります。歯の詰め物の場合、口内の触れている部分が発症するというよりは、唾液によって金属イオンが広がり、全身に症状が出ることがあります。

■金属アレルギーの治し方


――治療方法はどんなものがありますか?


笠井先生

すでに症状が出ている部分は、皮膚炎が起こっているので、ステロイドの軟膏を塗ります。かゆみが強い場合は、抗アレルギー剤を飲んで症状を抑えます。通常は、それらの対処で症状が引いていくのですが、それでもアレルギー反応がかなり強い場合は、ステロイドを内服することもあります。手術などは特にありません。これらの治療法で、だいたい2週間程度で症状は収まります。重症な場合は1カ月程度かかることも。


また、何より重要なのは、症状が見られるときは、皮膚に金属が触れないようにすること。常日頃から意識いただくように伝えています。


――20〜30代女性で金属アレルギーに悩む方は増えていますか?


笠井先生

特に増えているというデータはありませんが、やはりアクセサリーを着ける機会が増えるので、20代〜30代の女性患者は多いです。放置してしまうと、感作が進み、症状が重くなってしまうケースがあります。そうなると、治療を開始しても治るまでに時間がかかったり、日常生活に支障をきたしたりすることもあります。もし自分が金属アレルギーかどうか心配なときは、皮膚科でパッチテストを行ってください。検査料金は1,000〜2,000円程度です。自分がどの金属に対してアレルギーを持っているのかを確認することができますよ。



自分が何の金属にアレルギーを持っているかを知れば、その金属を避けてアクセサリーや時計などを自由に選ぶことができます。「これってもしかして金属アレルギー?」と思ったら、放置せず皮膚科医に相談してみてくださいね。


(取材・文:阿部綾奈 編集:ノオト)