便秘で苦しんでいる女性は少なくありません。生理のときに便秘になってしまうという人もいらっしゃるでしょう。便秘には、生活習慣だけでなく「女性ホルモン」も影響しているためです。今回は、便秘が女性に多いとされる理由について解説します。

記事監修



宮崎郁子 先生


消化器内科医。東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院 消化器内科、東京医科大学病院 内視鏡センター助教、牧野記念病院 内科を経て、2015年より東京国際クリニック/医科 副院長を務める。

■便秘とは?

便秘とは、簡単にいえば「排便回数が減ること」ですが、回数よりもむしろ排便困難な状態が特徴とされます。2-3日に1回しか排便しなくても、それが本人にとっては普通で、また便の排出がスムーズな場合には便秘とはいいません。一般に便秘と呼ばれるのは、あくまでも排便困難な状況が伴う場合になります。


便秘になると、

  • 頭痛、腹痛

  • 腹部の張り・膨満感

  • 食欲不振

  • イライラするなどの精神的な不安定

といった症状が現れます。


便秘は「器質性便秘」「機能性便秘」のふたつに分類され、「機能性便秘」には主に「弛緩性便秘」「けいれん性便秘」「直腸性便秘」があります。

■女性は便秘になりやすいって本当?

「女性のほうが便秘になりやすい」といわれますが、それを裏付ける厚生労働省のデータがあります。

  • 男性:年齢階級別「便秘」を訴える人数(1,000人当たり)

    9歳以下:5.8人

    10-19歳:4.6人

    20-29歳:6.5人

    30-39歳:9.0人

    40-49歳:10.4人

    50-59歳:13.8人

    60-69歳:27.2人

    70-79歳:67.1人

    80歳以上:107.6人

  • 女性:年齢階級別「便秘」を訴える人数(1,000人当たり)

    9歳以下:6.6人

    10-19歳:14.5人

    20-29歳:35.2人

    30-39歳:35.5人

    40-49歳:34.8人

    50-59歳:38.3人

    60-69歳:45.6人

    70-79歳:82.2人

    80歳以上:108.3人

上記のとおり、9歳以下では便秘を訴える人数は1,000人当たり「5.8人」「6.6人」と、男性・女性であまり変わりませんが、年齢階級が上がると女性のほうが、

10-19歳:3.2倍

20-29歳:5.4倍

30-39歳:3.9倍

40-49歳:3.3倍

50-59歳:2.8倍

となります。このデータを見るだけでも女性のほうが便秘になりやすいと分かるのではないでしょうか。

⇒データ出典:

厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」の「統計表第10表」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/xls/13.xls

■なぜ女性は便秘になりやすいの?

では、なぜ女性は便秘になりやすいのでしょうか? 主に以下のような理由が挙げられます。


  • 1.黄体ホルモンの影響

    女性の生理に関わっている女性ホルモン「黄体ホルモン」は大腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制する働きがあることが知られています。生理中は便秘になりやすいという女性が多いのはこのためです。


    また黄体ホルモンは体内の水分量を維持するよう促す作用があります。黄体ホルモンの分泌量が増えると、大腸での水分吸収が活発になり、その分便に残る水分量が減るのです。便は7割以上が水分といわれており、そのため排泄(はいせつ)もスムーズなのですが、水分が減ると排出しにくくなり、これが便秘の原因になりがちというわけです。

  • 2.筋力の弱さ・低下

    一般的に男性と比べて女性は筋力が弱いので、これも便秘の原因のひとつです。特に腹筋が弱いと腸は下がりやすくなり、蠕動運動のサポートがしにくくなります。また、腹筋の弱さは排便時のいきみ不足にもつながります。


    上記の男性・女性の便秘を訴える人数のデータをもう一度見てください。男性でも筋力の衰える70歳以上になると、便秘を訴える人が急増していることが分かります。これは腹筋がスムーズな排便に影響を与えているといえるでしょう。

  • 3.排便習慣の乱れ

    排便には「排便反射」という機能が関係しています。肛門に近い直腸まで便が運ばれてくると、腸の内圧が増し、粘膜が刺激されることによって排便反射が起こります。この排便反射によって大脳は排出への「便意」を感じます。


    しかし、便意を我慢すると「排便抑制のための刺激」が伝わって、内肛門括約(かつやく)筋、外肛門括約筋を緊張させ、結果便意は消失します。たとえば女性の場合、恥ずかしいのでと便意を我慢することを習慣にすると、やがて腸内のシグナルから便意を感じにくくなってしまい、これが便秘につながることがあります。便意を感じるというのは自然なことです。これを無理に抑え込むのはやめましょう。


そして、無理な食事制限、ダイエットによっても排便困難症状は起こります。食べ物をあまり摂らなくなると、当然便の量が少なくなり、排便習慣が崩れやすくなります。これにより便秘になるケースも少なくありません。



快便は、快適で健康な生活を送るのに必須のもの。「便秘かな」と思ったら食生活の乱れを正し、自然な排便リズムを回復することから心掛けてみましょう。


(高橋モータース@dcp)