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お酒を飲むと頭痛がする、寒気がする…。「酒に弱い」原因って?

2018.01.02

お酒を飲むと頭痛がする、寒気がする…。「酒に弱い」原因って?


「お酒が飲めない」と言う人の中には、アルコールを摂取すると困った症状が出る場合があります。たとえば寒気がする、じんましんが出るなど……。ふつうの「酔い」とは違う症状のようにも思えます。こうした症状はなぜ、お酒によって引き起こされるのでしょうか?今回は、一般に「酒に弱い」といわれる方の症状について解説します。

記事監修

古川真依子先生


消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


▼東京ミッドタウンクリニック

http://www.tokyomidtown-mc.jp/

■お酒を飲むと「じんましん」が出る

アルコールとじんましんの関係はよく分かっていません。しかし、お酒を飲むとじんましんが出る、という場合には次のような理由が考えられます。


1.アレルギー性じんまじん(アルコールにアレルギーがある)

アルコールがアレルゲンとなるアレルギー体質のケースです。アレルゲンが体内に侵入すると、ヒスタミンという物質が放出されます。ヒスタミンには血管拡張作用があり、血管が拡張すると血漿(けっしょう)成分が血管の外へ染み出すことがあります。これによって皮膚が盛り上がりじんましんになるのです。また、ヒスタミンはかゆみの神経を刺激しますので、じんましんが出るとかゆくなります。


2.コリン性じんましん

運動・入浴・緊張などが原因で体温が上がり、汗をかくとじんましんが出ることがあります。これがコリン性じんましんです。アルコールを摂取すると体温が上昇しますから、そのためにコリン性じんましんが現れることもあります。このコリン性じんましんの場合にはかゆみはありません。


3.肝機能が低下している場合

肝臓の大きな機能のひとつに「解毒作用」があります。汚れた血液をきれいにする役割をしていますが、何らかの原因で肝機能が低下している場合、じんましんが現れることがあります。アルコールを摂取すると、分解するために肝臓が機能します。しかし、肝機能が低下していると、アルコールを分解しきれずにじんましんが出やすくなるというわけです。


4.ヒスタミンを摂取した場合

上記のとおり、ヒスタミンという物質はじんましんを引き起こす原因となります。実はワインにはヒスタミンが多く含まれています。ヒスタミンに対して感度の高い人の場合、ワインを飲むことでヒスタミンを摂取してしまい、これがじんましんの原因になることがあり得ます。特に赤ワイン、また欧州産のワインにヒスタミンが多く含まれています。


アサヒビール公式ホームページによれば、

ヒスタミンは、ブドウ由来で、ワイン中にも存在する乳酸菌によってワインの製造工程で作られ、乳酸菌を活用してりんご酸を乳酸に変える工程(マロラクチック発酵)を経ることの多い赤ワインに多く存在することが知られています(特に欧州のワインは多い傾向)

とのことです。

⇒引用元:

『アサヒビール株式会社』「ワインを知る」

https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/know/shimizu_faq/vol09.html

■お酒を飲むと「寒気」「頭痛」「すぐ吐き気」がする

お酒を飲むと「寒気がする」「頭痛がする」「すぐに吐き気がする」というのは、アルコールの分解過程に関係しています。体内に摂取されたアルコールを分解するのは主に肝臓の仕事ですが、その過程は下のようになります。

  • 1.胃・小腸から吸収されたアルコールが血液に溶け込んで肝臓に運ばれます。

  • 2.肝臓の「アルコール脱水素酵素」によって「アセトアルデヒド」という物質に分解されます※1。

  • 3.アセトアルデヒドは「アルデヒド脱水素酵素」※2によって「酢酸」に分解されます。

  • 4.酢酸は血液に溶け込んで肝臓から流れ出て、筋肉・心臓・その他の臓器で分解され、最終的には水と二酸化炭素になります。

  • 5.水と二酸化炭素は呼気、尿、汗となって体外に排出されます。

上記の分解過程の中の「2」で生成される「アセトアルデヒド」が有害毒物で、

  • 頭痛

  • 動悸(どうき)

  • 吐き気

  • 顔の紅潮

  • 眠気

  • 悪寒

といった症状を引き起こします。これらの症状のうち、主に頭痛、動悸、顔の紅潮のような末梢血管の拡張に伴う反応を「フラッシング反応」と呼びます。フラッシング反応が出る人がアルコールを摂取すると食道癌のリスクになるといわれています。


アルコールは非常に吸収の早い物質で、アルコール摂取後30分-2時間後には血中濃度がピークに達することが知られています。そのため肝臓が分解のために働き出すのも早く、アセトアルデヒドの生成による上記のような反応も、飲酒からあまり時間を置かずに現れるのです。


また、有害物質アセトアルデヒドを無害な酢酸に分解するには、アルデヒド脱水素酵素が必須なわけですが、実はこの酵素が遺伝的に有効に働かない人がいらっしゃいます。


アルデヒド脱水素酵素(正確には2型アルデヒド脱水素酵素)には、

  • 活性型

  • 低活性型

  • 非活性型

の3タイプがあることが分かっています。遺伝的に「低活性型」「非活性型」の「(2型)アルデヒド脱水素酵素」を持つ人は、アセトアルデヒドの分解が遅い・できないため、不快な反応が出やすく、そのため「お酒は嫌い」となることが多いのです。

※1:

正確には「アルコール脱水素酵素」と「ミクロゾームエタノール酸化系」「カタラーゼ」が「アルコール→アセトアルデヒド」の分解に関わりますが、主にはアルコール脱水素酵素が担当します。


※2:

「アルデヒド脱水素酵素」には「1型アルデヒド脱水素酵素」と「2型アルデヒド脱水素酵素」があり、「アセトアルデヒド→酢酸」の分解には主に「2型アルデヒド脱水素酵素」が働き、「1型アルデヒド脱水素酵素」は補助的に働きます。

お酒を飲むと不快な反応が出るのは、アルコールの分解過程で産出される有害物質「アセトアルデヒド」のせいです。アセトアルデヒドを分解する「アルデヒド脱水素酵素」が「低活性型」「非活性型」である人は、やはりお酒は控えたほうが良いでしょう。



自分が遺伝的にお酒に強いタイプか弱いタイプかどうかは、「エタノールパッチテスト」で簡単に分かります。もし気になる場合には、医師の診察を受け、このテストを行ってもらうと良いでしょう。


(高橋モータース@dcp)