肥満はいろいろな病気につながるといわれます。特に有名なのは糖尿病ではないでしょうか。糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる代謝疾患ですが、ほかにも肥満が原因となる病気はあります。そこで今回は、肥満が原因で発症しやすい代謝系の病気について解説します。

記事監修



岡村信良医師


医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会-

■肥満によって起こりやすい代謝系の病気

人間の体は、食事によっていろいろな栄養を摂取し、その栄養から肉体の組織を新しくし、エネルギーを作るということを繰り返しています。古くなった組織は分解・排泄され、新しい組織と入れ替わります。代謝とはこのような仕組みのことです。代謝の仕組みのどこかに異常が発生すると、代謝系の病気になります。そして、肥満は糖代謝異常、脂質代謝異常、高尿酸血症といった代謝の異常に深く関わっているのです。

●糖尿病

肥満が原因となる病気といえば、やはり糖尿病を思い浮かべる人が多いでしょう。上記のとおり糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態となる病気です。


人間は食事をすると、膵臓(すいぞう)からインスリンを分泌します。インスリンは血液中に増えた糖を細胞に運び、その糖が体を動かすエネルギー源となるのです。成人で多い糖尿病は「2型糖尿病」といって、このインスリンが不足したり効果が弱くなることや、体質的にインスリンが効果が弱くなることで、血液中の糖分濃度が高い状態が続くことから発症します。


糖尿病の治療法としては食事療法・運動療法・薬物療法があります。食事療法、運動療法は自分で行えますので、医師のアドバイスを受けながら取り組みましょう。食事療法としては摂取カロリーを減らすだけではなく、栄養バランスの取れた食事が必要になります。運動療法としてはウォーキングが効果的です。運動をするとインスリンの働きを高める効果が期待でき、ダイエットにもつながります。

●痛風・高尿酸血症

痛風」「高尿酸血症」も肥満との関係が深い病気です。痛風とは、血液中の老廃物「尿酸」が増え、それが関節部分で結晶化し、炎症と激しい痛みを起こします。痛みは1週間ほどで治まるのですが、根本の原因である尿酸値が高い状態が続いている限りは、いずれまた痛み(痛風発作)が起きます。この病気はプリン体を多く含む食品をたくさん食べたり、腎機能の低下が原因で起きるとされています。


自分でもできる対処法としては、毎日の食事に気を付けることです。プリン体はレバー、カツオ、マアジやサンマの干物などに多く含まれています。逆に含有量が少ないのは、豚ロース、牛肩ロース、ホウレンソウ、トウモロコシ、乳製品、海藻類等です。また、尿酸の排泄量を増やすため、水分を十分に取って尿を出しましょう。

●脂質異常症

「脂質異常症」は「血液中の脂質が基準となる正常値より高い、ないし低い状態」を指す疾患です。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、2007年7月より現在の名称に変更されました。分かりやすく言うと、コレステロールや中性脂肪が増加しているということです。コレステロールには善玉・悪玉がありますが、善玉コレステロールが少ない方が動脈硬化を起こしやすくなります。原因の多くは高カロリー・高脂肪の食事と運動不足で、肥満との関係も深いといえます。


脂質異常症の原因の多くは生活習慣にあるといえます。この病気を治療する目的は主に動脈硬化の予防です。病院で適切な治療を受ける必要がありますが、自分でも生活習慣を改善しましょう。具体的には食生活の見直しで、肉類や油物、アルコールを多く取っている人は要注意です。青魚や海藻類、根菜を食べるようにしましょう。また、有酸素運動を継続的に行うことも大切です。激しい運動が難しい人は、ウォーキングから始めてみましょう。



糖尿病や痛風といった病気は発症すると治療にも時間がかかりますし、放っておくとさらにほかの重大な病気にもつながることもあります。ただし、もちろん肥満が引き起こす可能性のある病気はこれだけではありません。太りやすい体質の人は、日ごろから生活習慣に注意を払い、定期的な健康診断を受けて早く異常を見つけられるようにしましょう。


(藤野晶@dcp)