仕事が続けられません。なにかトラブルを起こすわけでもないのですが、働き始めると自分に合ってないのでは…と思うようになり、半年くらいで遅刻や休みがちになってそのまま辞めてしまいます。もう4回転職しました。どうすれば仕事が続けられますか?


まず最初に言いたいのは、「別に仕事を続けることだけが大事なわけではない」ということだ。わたしの友人にも、向上心に従って次々転職をする人もいるし、組織の中で仕事を続けられない人でもすばらしく優秀な人はいる。だから決して「仕事を続けられない=ダメ」ではない、と思う。と擁護するのは、わたし自身も仕事を転々とした身だからだ。


新卒で入った出版社は1年未満で辞めたし、次に入った会社も1年ちょっとで辞めてしまった。トラブルがあったわけではない。その時々で、「ここにいるよりも、もっとしなければならないことがある」と思ったからだ。


最初の会社を辞めるときには「1年未満で辞めるなんて、社会人として経歴に傷がつく。この先まともな職につけないぞ」と脅されたし、常識的な大人には「まずは3年我慢してみなさい」と堅実なアドバイスももらった。けれど傷という言葉も、3年という時間もなんの意味があるのかがわからず、飛び出してしまった。結局今はフリーランスで楽しくしっかり働いていて、職歴も一番長くなった。稼ぎも、一番良い。


自分のことを「大きな組織で働くには向いていない人間だ」とは思っているが、転々としたこと自体を「ダメだった」とは未だに思っていない。


だから、この「どうしたら仕事を続けられるか?」に関してはわたしも答えられるような知見が何もないのだ、ごめんね。


けれど気になるのは、辞める理由が何であったか?だ。ひとつだけ言っておきたいことがある。


「仕事は自分のためにあるのではない。誰かのためにあるものだ」。


仕事は、自分を輝かせるためのツールではない。いや、もちろん仕事を通じて輝くことはできるのだけど、それはあくまで“結果”の話ということを忘れてはいけないと思うのだ。



就活生や転職を考えている人と話す機会がわたしには多くあるのだけれど、よく違和感をおぼえることがある。それが「わたしに合う仕事を探している」とか「わたしも自由に働きたいのでライターになりたいです」とか、そういう類の発言だ。


気持ちはよくわかる。どうせ働くのなら少しでも“向いている仕事”を選びたいと思うのは当然だし、働き方の理想もあるだろう。就活するときに「どんな仕事をしたい?」「あなたの夢は?」と聞かれるから、自分がどう在りたいかを主体に考え、仕事を選ぶ立場だと思ってしまうのかもしれない。でも(仕事ってそういうものじゃないよな?)と、心ですこし思う。


仕事論に関してわたしのような未熟者が何かを言うのは気がひけるが、わたしが未熟なりにも確信めいて思っているのは、「仕事は、喜んでくれる人がいて初めて成り立つもの」ということだ。それは目の前のお客さんかもしれないし、目には見えない場所にいるお客さんかもしれない。仕事を取りまとめてくれる上司かもしれないし、依頼主かもしれない。役に立つことで、対価としてお金がもらえる。それが、そもそも「仕事」というものはずだ。


自分が好きなことをしたいとか、自分が輝けることをしたいとか、望む気持ちはもちろんあるだろう。楽しくイキイキ働くことは絶対にできるし、その望みは持ち続けていい。

楽しく働くために、いろんなことを引き受けて前に進んでいくなら、どれだけ希望を持ったっていい。


でも、どんなときでも大事なのは「仕事は自分のためにあるものじゃなく、誰かの(役に立つ)ためにあるもの」と必ず頭の片隅においておくことだと思うのだ。


考え方ひとつではあるが、わたしは学生の頃それがわかっていなかった。お金がもらえるのは当然のように思っていて、そのうえで楽しい仕事を選びたいと思っていた。わたしが楽しく働ける会社はどこ? わたしがやりがいをもてる会社はどこ? そんな風に思っていた。


「仕事はわたしのためにあるわけじゃない」


そうわかってから、心持ちが大きく変わった。社会は、わたしなんかを待っていない。わたしの居場所を作りたいなら、まずは誰かの役に立つ。そしてそれが、結果的にわたしの喜びになるようなループを作れたら幸せだな。そう思うようになった。


質問者さんが、どんなことを考えて仕事を辞めているのか、どんな仕事なら「自分に合っている」と思えるのか。そのあたりが見えてこないのであまり具体的なことは言えないが、別に「続けよう」と思う必要はないと思う。大事なのは継続よりも、誰かの役に立つことだから。そしてそれがひいては自分の心の充実感につながるはずだから。


…最後に、わたしが思う仕事のやめどきを共有しておこう。「なんとなく嫌になっちゃった」で辞めて、漠然とした理想を追い求めていたらキリがないから、指針が必要だ。


① 他にやりたいことができた時

② 心がつらくてしんどくてもう逃げたい!と思った時 

③ 自分のいいところを抑圧されるような場所だなと感じた時


この3つだ。③はわたしが結構大切にしている考え方。わたしは、必ず人は誰かに喜ばれるような才能があると信じている。ぜひ、その才能を活かせるところで働いて欲しいなと本当に思う。才能って、生かすも殺すも、環境次第だから。


恋愛にたとえてみるとすごくわかりやすいのだけど、

Aくんと付き合っているときは「お前のそういうところ嫌だ」と言われてコンプレックスに感じていた部分を、Bくんは「そういところ、いいとこだよね」と言ってくれることなんて、よくある。会社も同じで、あなたの「ある部分」を「良い」と言ってくれる会社もあれば、「悪い」と捉える会社もある。でも、自分の持つ良さは存分に発揮して欲しい。それは、何度も言うがあなたのためじゃない。それがひいては、誰かを喜ばせ、良い仕事になるから。


この3つを辞め時と考えて、あとは考え方をちょっと変えてみるというので今回はいかがでしょう。仕事は、あなたのためにあるわけじゃない。忘れないでね。



(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)

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