このごろ、カレシのおなかが出てきたのが気になります。仕事が忙しいと言って運動をせず、夜遅いごはん、お酒はとまらず、「運動するぞ」と言いながらお菓子をダラダラ食べる、指摘するとむっとする、近い将来のメタボ(メタボリック・シンドローム)を予期させる体型と言動をなんとかしたい! プロトレーナーで理学療法士、鍼灸師でもある仲川豊基氏によると、「男性は、自覚する、意識を変革するといった気持ちの問題が重要になります。忙しくても継続する方法を少しずつアプローチしてその気になってもらいましょう」とのことです。詳しく聞いてみました。
取材協力・監修
仲川豊基氏
鍼灸師。理学療法士。パーソナルトレーナー。アース鍼灸整骨院院長。
アース鍼灸整骨院: 千葉県市川市1-24-3パークテラス市川1F
■強く指摘せずに、ともに実践する
まず、女性が彼にダイエットを促す「言い方」について、仲川さんは次のように提案します。
「男性はそんなふうに見えても、『最近、太ってきたな』と自覚していますし、『どうにかしないといけない』ということも理解しています。それだけに、他人、特に彼女や妻から指摘されると意地っ張りになり、『忙しくて不規則な時間しか食事ができない』、『接待があるから仕方がない』など、太ったことを正当化する傾向にあるでしょう。
そのため、強く言われると反発でダイエットのモチベーションが下がるケースがよく見られます。女性は、サポートする立場で見守る方が成功への道が近いと思われます」
では、男性のモチベーションを下げずにダイエットを促すためには、どうすればいいのでしょうか。
「スタイルがよくて自己管理ができている人が首を突っ込みすぎると、みじめな気分にもなって逆効果でしょう。まずは、『おなかが出ているよ』とか、『病気になりそう』などとマイナスのイメージは伝えないようにしましょう。そして、『いっしょに健康のためにダイエットをしようよ』など、誘うように持っていくと、アクションを起こす確率は高いでしょう」と仲川さん。また、「やる気アップで開始したダイエットを続けるための5カ条」を次のように挙げます。
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(1)無理をしない
エクササイズを1日1種目からスタートしてもOK。あれもこれもと無理をすると、面倒がってすぐにやめる、またあきらめてしまいます。
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(2)焦らない
すぐに目標通りの結果は出ません。小さくても積み重ねが成果につながります。
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(3)毎日、同じ時間に行う
歯を磨くのと同じように、エクササイズを習慣化します。
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(4)小刻みな目標を立てる
いきなり大きな目標を立てると、達成が難しくてあきらめにつながります。コツコツと続けられる目標を立てましょう。
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(5)成果が出たらほめる
「やればできる!」と思う達成感を覚えて次へのモチベーションをアップします。
■躍動的な動きをほめて、やる気を高める
ではここで、「彼や夫とともにトレーニングをする方法」を仲川さんに教えてもらいましょう。
「当初はいっしょに実践してみてください。男性のトレーニングは女性に比べると躍動的です。そこに感心する表現でほめて、『教えて』という気持ちで接するとやる気になってくれるでしょう」と仲川さん。
(1)「スロースクワット」で代謝アップ
ふとももとおしりの筋肉を鍛えます。どちらも筋肉の面積が大きいので、代謝をアップすることにもつながります。スローな動きである分、通常のスクワットよりもきつく、筋力がアップしていることが実感できるでしょう。
両手を腰に当てて両足を肩幅に開き、ふとももと地面と平行になるくらいまで腰をおろしましょう。下げるのに5秒、さらに、5秒かけて元の姿勢に戻します。これを5回で1セットとし、最初は1セットから始めて2週間後には2セットにするなど、習慣化を目指しながら回数を増やしていきましょう。
(2)「アームレッグクロスレイズ」で体幹を鍛える
体幹のバランスを強化して、おなかぽっこりと背中のぜいにくを落とすように鍛えます。一般に、女性より男性の方が得意とする動きです。
床に四つんばいになって、右の手と左の足を地面と平行になるように伸ばします。背中をまっすぐにして腰が反らないように、また頭が下がらないように注意しましょう。目線は自然なところに。次に、右のひじと左の膝(ひざ)がつくように体を丸めていき、ついたらひと呼吸して元の四つんばいの姿勢に戻ります。
最初はひじと膝がつかなくても、トレーニングを重ねるとつくようになります。さらに、左の手と右の足で同様に行いましょう。左右を交互に行うことを1回として、3~5回をくり返します。
(3)「スローリアレイズ」で背中と肩をシェイプ
背中と肩のトレーニングです。ひじを伸ばし、けんこう骨から回すことを意識してください。ゆっくり回すと、刺激がじわじわと上半身、けんこう骨、腕に伝わってきます。
足を肩幅よりやや広く開いて床に立ち、上半身が地面と平行になるように前かがみになります。背筋を伸ばしましょう。目線は自然なところに。次に、両方の腕を上半身の高さにまで真横に持ち上げます。その状態を保ったまま、両腕をくるくると小さく回します。前回し、後回しを5回ずつ1セットとし、1~3セットを行いましょう。
エクササイズの継続目標について仲川さんは次のアドバイスを加えます。
「これらを1日1回、毎日行いましょう。まずは2週間続けてください。最初の変化は、だんだんとエクササイズが楽に感じてくることです。その感覚こそ、筋肉が活性化されてきた証しです。ここでその変化をほめてあげましょう。
次の継続目標として、2カ月を設定します。早い場合は、この時点で筋肉が引き締まってきます。次は3 カ月、その次は半年と伸ばしましょう。この間に、自然に運動を好む体質に変わってくるでしょう」
さっそく夫に、「躍動的な動きをほめて教えてもらう」を試したところ、急にやる気になり、「一緒に続けよう」と誘うと進んでエクササイズを開始しました。継続の気配もしています。ともに実践してみてはいかがでしょうか。
(取材・文 岩田なつき/ユンブル)