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歯磨きしてもにおいが消えない……。口臭と病気の関係

2018.01.23

歯磨きしてもにおいが消えない……。口臭と病気の関係


においが強い食事をした、今朝は歯磨きができなかった……。口臭がある場合、こうした心当たりがあればまだいいものの、「まったく理由がわからない」と不安になってしまいますよね。口臭は、病気が原因で強くなることもあります。今回は「口臭と病気の関係」についてご紹介します。

記事監修


菊地由利佳 先生


歯科医師-健康検定協会- http://kenken-kyoukai.jp/

■口臭は誰にでもある! 「生理的口臭」

においの程度はありますが、口臭は誰にでもあるものです。これは「生理的口臭」と呼ばれ、以下のような場合は誰でも口臭が強くなります。

  • 起床時(起床時口臭)

  • 空腹時(飢餓口臭)

  • 緊張しているとき(緊張時口臭)

  • 生理時・妊娠時

  • 年齢によるもの(加齢による口臭)

  • 民族的特徴による口臭

起床時・空腹時・緊張しているときに口臭が強まるのは、唾液の分泌量が減るからです。唾液には洗浄・殺菌作用があるため、その分泌が減ると、口内で細菌が増殖し、口臭のもととなる物質がつくられてしまうので口臭が強くなるのです。


女性は、生理時・妊娠時にホルモンバランスが崩れ、そのために口臭が強くなることがあります。また、乳幼児には独特の口臭があったり、加齢変化によって口臭が強くなったりと、人間の成長に従って口臭も変化します。


さらに、口臭を強くするものとしてニンニクなどの食べ物、お酒やたばこといった嗜好(しこう)品があります。

■病気が原因になることもある! 「病的口臭」

何らかの病気によって口臭が強くなることもありますが、これを「病的口臭」と呼び、上記の生理的口臭と区別します。病的口臭は、ほとんどの場合、口腔内で起こる疾患によるものですが、全身疾患が口臭を引き起こすこともあります。


口臭を強くしてしまう主な病気は以下のようなものです。


  • 歯周病

    歯周病の場合、口腔内の歯周病菌から歯周病患者特有の不快な口臭を発生させます。歯周病は進行して「歯槽膿漏(しそうのうろう)」の状態になると膿(うみ)が出ることもあり、そうなると口臭がさらにひどくなります。

  • う蝕症(虫歯)

    いわゆる虫歯ですが、歯にできた穴にたまった食べかすから悪臭がすることがあります。また、神経が侵されるほど進行すると組織の腐敗臭があり、これも口臭が悪化する原因になるのです。

  • 口腔がん

    舌など口の中にできる悪性腫瘍です。進行すると腫瘍が大きくなり、口臭がひどくなります。

  • 口腔乾燥症

    唾液の分泌量が少なくなり、口の中がねばねばする・乾くという病気です。唾液の量が減るので口臭が強くなります。常用薬の副作用として口腔乾燥がある場合注意が必要です。

  • シェーグレン症候群

    涙腺、唾液腺に乾燥症状を起こす病気です。そのため唾液の分泌量が減り、口臭がひどくなることがあります。

  • 慢性鼻炎

    鼻甲介(びこうかい)の粘膜が腫れ、それが慢性的になった状態です。鼻詰まりが持続するため口呼吸になり、口の中が乾燥して口臭が強くなります。

  • 扁桃炎

    口蓋扁桃(こうがいへんとう)が赤く腫れ、表面に白い膿栓(のうせん)と呼ばれる白い塊ができます。この膿が異臭を発し、口臭のもとになることがあります。

  • 咽頭がん

    初期症状は、耳が詰まったような感じ、鼻出血、鼻が詰まった感じなどですが、口臭がきつくなる場合があります。

  • 気管支拡張症

    気管支が拡張したまま戻らない病気です。咳(せき)や痰(たん)が増え、膿の混じった痰が出るようになります。これが口臭のもととなります。

  • 急性気管支炎

    主にウイルスの感染によって気管支の粘膜に炎症が起こる病気です。強い痰や咳が出て、これが口臭のもとになることがあります。

  • 肺結核

    主に病原微生物によって肺の肺胞に炎症が起こる病気です。咳や痰がひどくなり、これが口臭のもとになることがあります。

  • 食道アカラシア

    食道の蠕動(ぜんどう)運動ができなくなる※という非常にまれな病気です。そのため食物を胃へ送ることができず、食道に食べ物がとどまってしまいます。これが口臭のもとになります。


    ※下部食道括約筋が緩むことができず、正常な蠕動運動ができなくなります。

  • 食道狭窄(きょうさく)

    食道が狭くなり、飲食物を胃へ送ることが困難になります。食物が食道にとどまってしまい、これが口臭のもとになります。

  • 逆流性食道炎

    胃の内容物が食道へと逆流し、胃酸によって食道粘膜がただれてしまいます。内容物の臭いなどが口臭のもとになることがあります。

  • 食道裂孔ヘルニア

    胃の一部(全部の場合もあり)が裂孔(食道を通すために横隔膜に開いている穴)の上に滑り出た状態になる病気です。逆流性食道炎になりやすく、そのため上記のように口臭が強くなる場合があります。

  • 腎臓の疾患

    「腎炎」「腎盂炎(じんうえん)」など、腎臓の病気にかかると腎機能が低下し、体内の不要なアンモニアをこし取ることができなくなります。すると、アンモニアは血液に溶けて体内を巡り、肺から呼気に含まれて排出されます。そのため、腎臓疾患の場合には口臭がアンモニア臭くなることがあるのです。

  • 急性ウイルス肝炎

    ウイルスの感染によって肝臓が炎症を起こす病気です。肝臓の機能が低下すると、血液を十分にきれいにすることができず、不要な物質が血液に溶けたまま体内を巡ることになります。この体内に不要な物質が肺から、呼気に含まれて排出されると、口臭がひどくなることがあります。

  • 肝硬変

    何らかの原因で肝臓に障害が起こり、肝臓の細胞が壊れて線維組織になって硬くなります。正常な組織が硬い線維組織に換わっていくことで肝臓の機能が著しく低下する病気です。肝臓が普通に働けなくなるので、上記と同じく口臭が強くなることがあります。

  • 糖尿病

    「血液中のグルコース濃度(これが血糖値)」が慢性的に高い状態です。糖尿病になるとアセトン臭という甘酸っぱい果物が腐ったような口臭がします。また糖尿病になると「喉が渇きやすくなる」ことが知られています。喉が渇くのは唾液の分泌量が減っているということです。上記のとおり、口中が乾くと細菌が繁殖しやすくなり、そのため口臭がひどくなることがあります。


このように、口臭の原因には様々なものが考えられます。とはいえ、ほとんどは舌苔(ぜったい:舌の表面に付く食べかすなどの細菌の塊)、歯周病によるものと言われています。歯垢(プラーク)、歯石、入れ歯の洗浄不足によって口臭が強くなるため、口腔内を清潔に保つことが一番の予防方法です。


しかし、病的口臭の場合には原因となる病気を治さなければ抑えることはできません。重篤な疾患のこともありますので、自分の口臭が急に強くなり、それが病的口臭のように思えるときには専門医を受診しましょう。


(高橋モータース@dcp)