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腐った魚のような体臭がする。トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)とは?

2018.02.04

腐った魚のような体臭がする。トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)とは?


症例が非常に少ない病気のひとつに「トリメチルアミン尿症」と呼ばれるものがあります。これは「腐った魚のような体臭が出てしまう」というもので、一説によると世界で700人ほどしか症例がないそうです。人気ドキュメンタリー番組でも、この病気と闘う女の子の特集が放送されたことがあるので、病名を聞いたことがある人もいらっしゃるでしょう。今回は、このトリメチルアミン尿症についてです。

記事監修

古川真依子先生


消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


▼東京ミッドタウンクリニック

http://www.tokyomidtown-mc.jp/

■口臭や体臭が腐った魚のような臭いになる病気

トリメチルアミン尿症は、「トリメチルアミン」という物質が体の中で分解されずに、汗や呼気に混じって排出されてしまう病気です。


トリメチルアミンは、古くなった魚から発せられる生臭さの原因となるもの。そのため、トリメチルアミン尿症の人の体臭や口臭は、古くなった魚のような臭いになるのです。その特徴から、「魚臭症」や「魚臭症候群」とも呼ばれています。

■トリメチルアミンが体内で分解されないことで起こる

トリメチルアミンは摂取した食べ物が体内で消化される際に発生します。つまり、どんな人の体内にもあるものなのです。


では、なぜ私たちの体臭が魚のような臭いにならないのかというと、肝臓が分解してくれるからです。肝臓の中にはトリメチルアミンを無臭化する酵素があり、取り込まれたトリメチルアミンはここで分解され、特有の臭いがなくなります。


しかし、何らかの原因でトリメチルアミンを無臭化する酵素がないと、分解することができません。そのまま残ったトリメチルアミンは血液に溶けて体内を巡り、汗として排出されたり、肺で呼気に混じって排出されたりしてしまいます。ほかに、肝臓の機能が衰えている場合もトリメチルアミンをうまく分解することができず、トリメチルアミン尿症になるといわれています。


トリメチルアミンを分解する酵素がないのは主に先天性、肝機能障害や機能低下によるものは主に後天性とされています。

■トリメチルアミン尿症は治療できる?

トリメチルアミン尿症は根本的な治療法が確立されていません。そのため、臭いの原因である「トリメチルアミンを体内で作らないようにすること」が対応策となります。


トリメチルアミンは、コリン、レシチン、トリメチルアミンオキシドが分解されることで生成されます。つまり、これらの物質を多く含む食品を控えることで、トリメチルアミンの発生を抑え、体臭を軽減させられます。


コリンは卵やレバー、豆類などに多く含まれているもので、レシチンも卵黄に多く含まれています。トリメチルアミンオキシドは海で取れる魚介類に多く含まれているものです。食事の中で、こうした食品を使わない、または量を減らすことが、病気への対策となるのです。



世界的に症例の少ない病気ですので、「もしかしたら?」と気になっている場合も、一般的な汗の臭いであったり、気にし過ぎであったりするかもしれません。しかし、たとえトリメチルアミン尿症ではなくても、口臭などは別の病気が原因であるケースも考えられます。気になっている人は、一度医療機関で診察してもらうといいですね。


(中田ボンベ@dcp)