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雨上がりのにおい、おひさまのにおい…。共通認識のある「におい」の正体

2018.02.08

雨上がりのにおい、おひさまのにおい…。共通認識のある「におい」の正体


雨上がりのにおいや赤ちゃんのにおい、おひさまのにおいなど……。はっきりしないけれど、なんとなく「共通のイメージを持つにおい」がありますね。これっていったい、「何」のにおいなのかご存じでしょうか?今回は、こうしたにおいの正体を調べてみました。

雨上がりのにおい


雨が降った後、土のような何ともいえないにおいがします。これは有機化合物の一種「ゲオスミン」のにおいです。「ゲオスミン」とは「大地のにおい」という意味のギリシャ語で、土壌中の微生物によって生産されています。


また、雨の降り始めに感じるにおいは「ペトリコール」といいます。これは1964年にオーストラリア連邦科学産業研究機構の研究者によって名付けられました。このときには「長い間日照りが続いた後の最初の雨に伴う独特の香り」と定義されています。


雨粒が地面や植物にぶつかると細かな粒子となって少量が大気中に拡散して舞い上がります。この水の粒子には植物の油状物質などさまざまな物質が含まれていて、これが大気中に拡散することでにおいを生じているのです。この「ペトリコール」が発生するメカニズムは、マサチューセッツ工科大学の研究者が高速カメラを用いて発見し、2015年に発表されました。


雨が降っている場所で発生した「ペトリコール」のにおいは風に運ばれ、そのためまだ雨が降っていないところでも雨のにおいがします。

赤ちゃんのにおい


赤ちゃんのにおいというと、甘いミルクのようなにおいを思い浮かべます。このにおいの正確な成分などは残念ながら明らかになっていないようです。しかし、赤ちゃんのにおいが女性の脳に影響を与えるという研究があります。その研究の概要は以下のようなものです。

  • 被験者は6週間以内に出産した女性15人と出産の経験がない15人の女性

  • 生後2カ月の新生児のパジャマからにおいを抽出

  • 6週間以内に出産した女性は、脳内のドーパミンシステムが活性化した

「ドーパミン」というのは脳内ホルモンのひとつで、分泌されると気分が良くなったり、やる気が出たりします。この研究では、6週間以内に出産した女性は、出産したことがない女性に比べて、赤ちゃんのにおいを嗅いだときにドーパミンが出ていることが分かりました。つまり、赤ちゃんのにおいは母親に喜びを与えるのです。


残念ながら、赤ちゃんのにおいの成分やにおいが出る原因などは現在でも分かっていませんが、お母さんに影響を与える赤ちゃんのにおいは確かに存在するようです。

おひさまのにおい


干した布団や洗濯物はふんわり柔らかで、いいにおいがします。このにおいを「おひさまのにおい」と表現することがありますね。おひさまのにおいの正体は、汗や脂肪、洗剤成分などが、太陽の熱や紫外線によって分解されて発生するアルデヒド、アルコール、脂肪酸などの揮発性物質です。これは、カネボウの研究によって明らかになりました。


また、このにおいを嗅いだときの脳からはアルファ波が検出されるという実験も報告されています。つまり、おひさまのにおいを嗅ぐとリラックスできて落ち着くということです。


「おひさまのにおいは布団を干した後のダニの死骸のにおい」という都市伝説もありますが、この説は間違っているようです。

お寺のにおい


お寺ではお香をたいた独特のにおいがします。お香の原料として使われる天然香料は数十種類もあり、中には漢方薬や香辛料として使われているものもあります。主な原料は以下のようなものです。


  • 桂皮(けいひ)

    ニッキ、シナモンという名前でも親しまれている香辛料です。

  • 大ウイキョウ

    中華料理で使われることがある八角という香辛料です。

  • 丁子(ちょうじ)

    西洋ではクローブという名前で使われている香辛料です。

  • 安息香(あんそくこう)

    アンソクコウノキという樹木の幹を傷つけ、そこから抽出した樹脂です。


「〇〇のにおい」というものの幾つかは成分や効果が判明しているようです。柔軟剤やお香などで楽しめるにおいもありますが、最近は「スメルハラスメント」という考えもあるので、周囲への配慮は忘れないようにしたいですね。


(藤野晶@dcp)