こんにちは。マイカラット編集部のうさぎです。



あ~、



足が、痛い。


長時間立ったり歩いたりしていると、足の親指の付け根が痛くて「もう立ってられない!」「歩きたくない!」なんてヒールをへし折りたくなりませんか?私はけっこうよくなります。よほど大事な勝負のとき以外、ヒールは履きたくありません。フラットな靴でも痛くなるので、いっそ靴を履かないほうがいいのかもしれません。裸足で過ごすのも、そこそこ痛そうですけど。


加齢のせいかと思っていましたが、いつもうさぎに辛辣なカメラマン曰く、「外反母趾なのでは?」とのこと。ガイハンボシって何……?こわい……、治る……?


そこで今回は、足と糖尿病の専門病院『下北沢病院』でお話を伺ってきました。


(「下北沢病 完」になってしまっているのが逆に好感度高い。)
※ちなみに現在は修復済みです。

「外観も待合室もおしゃれな病院だな……」と思っていたら、なんとあの世界的建築家・安藤忠雄氏によって設計されているそうです。



おしゃれ度がすごい……。


お話を伺ったのは、菊池恭太先生。


菊池恭太医師


下北沢病院/足病総合センター・センター長・整形外科医。休日は海で過ごしているそう。尊敬する人物はパッキャオ。「小さな体で強豪を倒すから」


「さっそくですが先生、私の足をどう思われますか」


(足の汚さと靴下の跡が気になる。最近、唐突に右の薬指の爪が取れた。)

「うーん。両足とも、軽度の外反母趾でしょうね」



「両足とも!?左は親指の付け根がポコッてしちゃってるので自覚がありましたが、右もそうなんですか?ポコッてしてないのに……」


■外反母趾とは?


「外反母趾とは、母趾の付け根が外側(小指側)に20度以上曲がって変形した状態と定義されています。うさぎさんの左足のように、母趾(親指)のMTP関節(第二関節)から曲がることが典型例ですが、右のようにIP関節(第一関節)から曲がることもありますよ。ですから、両足とも外反母趾ですね」



「そうか、『“外”側に“反”った“母趾”』だから外反母趾なんですね!どういう意味なんだろうと思ってましたけど、意外とそのままだった……。


ちなみに、『軽度』と『重度』の違いはどこにあるんでしょう?」



「日本整形外科学会が出している『外反母趾診療ガイドライン』では、外反母趾角(X線における中足骨と母趾基節骨のなす角)が20~30度を軽度、30~40度を中等度、40度以上を重度としています」



「私の足で、たぶん20度くらいですよね。40度って、靴を履いただけで痛そう……」



「靴擦れのような痛みはもちろんですが、関節が上手くかみ合わなくなりますから、歩く際に関節痛が起こる可能性もあります」

■外反母趾の原因と症状


「そもそも、どうして外反母趾になっちゃうんでしょう?やっぱり先の細いおしゃれなヒールとかを履くからですか?」



「履物の影響もありますが、それだけとは限りません。ヒールを履いていなくても外反母趾にはなる可能性はあります。


外反母趾というと親指の疾患だと思われがちですが、“足全体の構造の崩れの結果”、親指が変形しているのです。具体的に多いのは、偏平足ですね。うさぎさんもなってましたけど」



「えっ?私、偏平足だったんですか??」


(横から撮った図。たしかに土踏まずのアーチがほぼない。)

「立った状態で真横から自分の足を見ることってほぼありませんから、気づきにくいんですよね。偏平足とは、縦アーチ、いわゆる“土踏まず”がつぶれ、中足骨という足の前側部分にあたる骨が開き、重心が内側に偏った状態です。体重の増加とか、筋力の低下、長時間の立ち仕事など、偏平足の原因はいろいろ考えられますが、見たところうさぎさんの場合はO脚が要因ではないでしょうか」



「このO脚は本当に何かと私を困らせる……」



「足はアーチが変化することで、歩く際の負荷を減らしているんですね。かかとから着地し、足底外側、小指側、そして親指側というように徐々に圧がつま先へ移動していき、最後に親指の付け根が十分に反って地面を蹴り出していきます。このときに回外/回内と呼ばれる足の複合運動によってアーチも変化させます」


(理想的な力の流れ。アーチがあるため圧が集中しない。)


「ところが、偏平足の状態で歩きだすと、この重心の移動が上手くいかず、親指の付け根よりも『第2中足骨骨頭部』と呼ばれるいわれる人差し指の付け根あたりに大きな圧がかかるようになり、親指を十分に反って地面を蹴り出しづらくなります。こうした足のバランスの崩れが、外反母趾につながっているわけです」


(偏平足の場合の力の流れ)


「中足骨頭への圧……?そういえば足の裏の、この、人差し指の付け根あたりに画鋲が刺さっても血が出なかったほどカタいマメがあるんですが、これってもしや……?あと、親指にもマメがあります」


(足の裏は汚すぎるので自粛しますが、ここに強烈なタコがあります。)

「それも外反母趾の特徴です。歩くとき人差し指の付け根あたりに、連続的に大きな負荷がかかりますよね。そのため、外反母趾に伴って第2中足骨頭底側(人指し指の付け根あたり)付近にマメができるのです」



「このマメ、外反母趾のせいだったんですか!剣道をやってたからだと思ってました……」



「あと親指が少し上に反ってますよね。それも外反母趾の一症状です。足のバランスが崩れ関節の適合が悪くなると、MTP関節が動きにくくなり、その先のIP関節に負荷がかかるので指先が反ってくるんですよね。これが原因で二枚爪や陥入爪になる可能性もありますよ」



「ヤダ!これって反り爪なんじゃなくて、指が反ってたんですか?私ってば、ものすごく外反母趾じゃないですか!」



「外反母趾ですよ。これがもっと重度になると、亜脱臼することもあります」



「イヤダー!イタイ!!」

■外反母趾の治し方


「外反母趾って治せるんでしょうか?お話を伺っていたら怖くなってきました……」



「初期の外反母趾であれば、オーダーメイドのインソールを用いて足全体を『矯正』することが多いですね。アーチを潰さないようキープしてあげることで、痛みを軽減させて進行を防ぎます。重度の場合や完全に元の状態に『治す』という意味では、手術になるでしょうか」


(こちらがオーダーメイドのインソール。しっかりアーチをキープするため、市販のものよりも硬い印象。)

「えっ、一度外反母趾になってしまったら、手術でしかきれいには治せないんですか?」



「目が悪くなったら視力を元に戻す、ではなく眼鏡などで矯正することがほとんどですよね。外反母趾もそれに似ています。矯正したり進行を遅らせることはできても、自然に『治る』ことはないですね」



「ということは、よく『足指パットで外反母趾を改善!』なんて聞きますけど、あれは間違い……?」



「それだけではあまり意味がないかもしれません。もちろん、先の細い靴を履いた後のストレッチとして使用するならいいと思います。ただ、手やゴムひもを使って親指を矯正する方向へ動かしたり、足の筋力で指をグーチョキパーしたりするほうが効果は期待できるんじゃないでしょうか」



「なるほど、グー…、



チョキ、



パー!



……できた!



「すごい、全然できてないwwwww」



「関節がちょっとバカになってますね」



「関節がちょっとバカwwwwwww」



「おい、やめろ、繰り返すな」



「とにかく、ゆったりとした履物を選ぶこと、足指の運動を行うこと、インソールでアーチをキープすることで、ずいぶん歩きやすくなるはずですよ」



ちなみに、専門の義肢装具士によるオーダーメイドのインソールは、ちゃんと疾病があれば医師から処方され保険適用が可能だそうです。私も作っていただきたくなりました。


まずは自宅で気軽に始められるストレッチから挑戦して、足に負担の少ない歩き方を目指してみようと思います。


(取材・文 うさぎ)


取材協力・監修



菊池恭太医師。

医療法人社団青泉会 下北沢病院/足病総合センター・センター長・整形外科医。日本整形外科学会専門医、日本下肢救済足病学会評議員など。

北里大学医学部卒。北里大学病院整形外科、北里大学病院整形外科助教を経て国内医療機関に勤務。横浜総合病院整形外科医長および同病院創傷ケアセンターを経て現在に至る。


下北沢病院:東京都世田谷区北沢2-8-16

http://shimokitazawa-hp.or.jp/