検索
女性に多い?大きく3つに分けられる甲状腺の病気

2018.02.09

女性に多い?大きく3つに分けられる甲状腺の病気


なんだか疲れやすい、すぐに動悸(どうき)や息切れを起こす、暑がりで汗かき……、そんな症状に悩んでいる人は「バセドウ病」かもしれません。これは女性がかかりやすい甲状腺の病気です。今回はバセドウ病など、「甲状腺の病気」について解説します。

記事監修

岡村長門 医師


岡村クリニック院長、外科認定登録医-健康検定協会-


▼健康検定協会

http://www.kenken-kyoukai.jp/

▼岡村クリニック

http://okamura-clinic.net/

■甲状腺の病気は大きく3つに分けられる

甲状腺とは、喉仏の下にあるチョウのような形の器官で、甲状腺ホルモンを作る働きがあります。この甲状腺に発症するのが「バセドウ病」などの病気です。甲状腺の病気は、大きく「自己免疫疾患」「炎症」「腫瘍」の3つに分類できますが、いずれも女性がかかりやすいのが特徴です。

●甲状腺機能が亢進(こうしん)する「バセドウ病」

「バセドウ病」は後天性自己免疫疾患のひとつで、「甲状腺機能が亢進(高い度合いで進むこと)している病気」です。グレーヴス病ともいいます。


バセドウ病は誰でも発症するものですが、甲状腺の病気自体、女性が罹患しやすい病気です。男性:女性=1:4の割合で、圧倒的に女性が罹患しています。年代としては20-30代で発症する人が多いほか、更年期(40-50代)や出産後の女性などが罹患しやすいという特徴もあります。なお、15歳以下の発症は数%ほどで、小児の場合は難病疾患としても指定されています。


バセドウ病の症状は以下のようなものです。

  • 手足が震える

  • 食べているのに太らない、痩せる

  • 疲れやすい

  • おなかを壊しやすい

  • 精神的に不安定でイライラする

  • 運動をしていなくても動悸がする

  • 眼球が突出する

  • 甲状腺が腫れる

バセドウ病は免疫系の病気です。体内で甲状腺を刺激する抗体が作られ、この刺激によって甲状腺は過剰にホルモンを分泌してしまいます。免疫システムの異常で自分の体を攻撃する抗体を作ってしまう「自己免疫疾患」の一種なのです。

●甲状腺の炎症が原因の「橋本病」

バセドウ病とは逆に、甲状腺ホルモンの分泌が不足する「橋本病」という病気があります。これは1912年に九州大学の橋本策(はかる)博士が発見した病気です。甲状腺ホルモンが不足すると代謝が衰え、内臓が弱ってしまいます。橋本病の症状は以下のようなものです。

  • 甲状腺の腫れ

  • むくみが出る

  • 皮膚がカサカサと乾燥する

  • 食欲がなく、食べていないのに太る

  • 寒がりになる

  • 脈がゆっくりになる

  • 無気力状態

橋本病は慢性的な甲状腺炎によって甲状腺の機能が低下する病気です。バセドウ病と同じく自己免疫疾患ですが、抗体によって甲状腺が炎症を起こし、甲状腺機能が低下している点が異なります。

●痛み・発熱を伴う炎症「亜急性(あきゅうせい)甲状腺炎」

甲状腺が腫れて、痛みを伴う病気です。甲状腺の病気の多くは甲状腺が腫れても痛みはないのですが、この「亜急性甲状腺炎」の場合は痛みがあります。この場合の亜急性というのは、急性よりは症状が長く続くという意味です。とはいえ、慢性化することはありません。甲状腺が炎症を起こす原因ははっきり分かっていませんが、ウイルスが原因ではないかと考えられています。治りやすく再発することもほとんどありませんし、他人に感染するということもありません。


症状としては、甲状腺が腫れて痛み・発熱を伴います。また、バセドウ病と同じように甲状腺機能の亢進を伴うことも多く、その場合は動悸、発汗、疲労といったバセドウ病の症状が見られることもあります。しかし亢進の原因はバセドウ病とは異なり、症状が長く続くことはありません。

●甲状腺に腫瘍ができる「腫瘍性疾患」

甲状腺にしこりができるのが「腫瘍性疾患」です。甲状腺のしこりは機能異常を起こすことが少なく、悪性だったとしても根治が期待できることも多いのが特徴です。甲状腺の腫瘍は以下のように分類されます。


  • 良性のもの

    ・腺腫(せんしゅ)

    腺腫は甲状腺の左右どちらかに、腫瘍がひとつできるのが特徴です。大きくなっても呼吸が苦しくなったり、物を飲み込むのを妨げることはほとんどありません。


    ・腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)

    左右の甲状腺に複数の腫瘍ができます。大きさもさまざまです。腫瘍がたくさんできると、首全体が大きく腫れたように見えます。本来は良性の腫瘍なのですが、複数できている腫瘍の一部に悪性のものが含まれていることもあり、要注意です。

  • 悪性のもの

    ・がん、悪性リンパ腫

    甲状腺の悪性腫瘍、つまり「がん」です。甲状腺のがんは進行が遅く、ほかのがんに比べて治りやすいものが多いというのが特徴です。「悪性リンパ腫」は全身のリンパ組織を起源に発症します。甲状腺の悪性リンパ腫は、橋本病をきっかけに起きることが多いとされます。声がかれたり、息苦しさや物を飲み込みづらいという症状が出ることがあります。


甲状腺の病気は免疫系の異常によって発症するものが多いです。ストレスをためない、バランスの良い食事を心掛ける等、免疫力を高める生活を意識すると良いでしょう。


また、甲状腺の腫れ等の異常に気が付いたときは、すぐに専門医に相談しましょう。甲状腺疾患と診断された際には、制限食を摂る必要がある場合があります。食事療法については医師の指導が必要なことがありますので、よく相談するようにしてください。


(藤野晶@dcp)